新小1ママ必読!「佐藤ママ」が我が子にしていた入学準備とは?学習机は最初は遊び場、入学前はスケジュールの整えを

三男一女4人の子どもたちが全員、東大理Ⅲに合格し、東大医学部を卒業後、医師として各分野で活躍している佐藤亮子さん。佐藤さんがやってきた子どもの気持ちに寄り添う育児法、一人ひとりの個性に合わせた勉強法が注目され続けています。佐藤ママ流子育てはポイントをしっかり押さえて学力・成績アップを目指しながら、手間を省くところは省いて暮らしを楽しむというもの。今回は、小学校入学直前ママへのアドバイスです。

この春、お子さんが小学校に入学するというご家庭の保護者の方、ご入学おめでとうございます。誕生からここまで成長したお子さんの姿に感無量という方も多いでしょう。

 わが家の子どもたちは、長男と次男が年子で、三男は次男と2つ違い、長女はその3歳下、と年齢の近い4人のきょうだいです。長女が生まれた年に、長男が小学校に入学しました。私が子どもたちに向けてしてきた、小学校入学のための準備を振り返ってお伝えします。

学習机は子どもにとっては初めての自分のテリトリー。最初は遊び場でいいのです

 我が家は、まず、長男が入学する前年の秋に学習机を買いました。長男と次男は1歳違いだったのでどうせ来年も買うのだからと2つまとめ買い。長く使うものなのでしっかりした木製の国産メーカーの製品を選びました。

その数か月後のある日のこと。当時2歳だった三男が急に泣きだしたのです。びっくりして理由を尋ねると、兄たちが机を買ってもらったのに自分にはないのが悲しく、ずっと我慢していたのに耐えきれず号泣したことがわかりました。三男はまだ小さいので椅子からころげ落ちると危ないと思って買わなかったのですが、慌てて小さな子ども用の机を買いました。

では、その机で私は子どもたちに勉強させたでしょうか。いいえ、机は子どもたちの自由にさせていました。子どもたちは机を遊び場にして、長男は持っているミニカーを全部引き出しの中に並べていて、机はたちまちミニカーの駐車場になりました(笑)。

入学を控えて学習机はすでに準備されていると思いますが、入学前の今は、「せっかく机があるから勉強しなさい」とドリルを渡すのではなく、好きにさせてあげてください。学習机はその子にとって初めてのテリトリー、お城なのですから。そのうち教科書やノートがやってきて自然と勉強態勢に入るので、心配することはありません。

 入学前までに、それまでの生活から1時間前倒しのリズムを作りましょう

新しい生活に向けて不安だったり緊張していたりするお子さんも多いかもしれません。また、最初のお子さんの場合など、お子さん以上に保護者の方が緊張しているかもしれませんね。でも、今から準備しておけば大丈夫。登校前にあわてて「早く、早く」「何してるのっ!」なんて言葉が出ることがないよう、まずは生活の習慣を整えておきましょう。

 元気に登校するためには睡眠時間の確保から始めましょう。

小学生に必要な睡眠時間は912時間とされています。(『健康づくりのための睡眠ガイド2023』厚生労働省)

わが家の子どもたちは小学校低学年では午後8時から8時半の間に就寝していました。これで10時間程度の睡眠時間が確保できます。たっぷり寝ればパッと起床でき、ご飯を食べて登校し、集中して授業を聞くことができます。

わが家の子どもたちは幼稚園に通っていましたが、私は就寝時間から入浴や登校準備の時間を考えて逆算すると午後6時ごろに夕食を取れば余裕が生まれると考え、それまでより1時間前倒しのスケジュールを組みました。夕食を前倒しするなら、おやつの量を減らすことも必要になってくるので、生活の時間割を変更するのはとても大変なことです。できる範囲で少しずつ調整していってください。

ワーママは、合理的な夕食メニューで時間の短縮を

 お仕事を持っている方で、早い時間に夕食を作れないという方は、作り置きしたり、冷凍したりしておくなどの工夫をしてはいかがでしょうか。私も4人子どもがいたので、いつも食事の準備に追われていましたが、ある日ふと思いました。それは「毎日違うメニューを出す必要、ないのでは?」ということです。

そこで、次のような献立を考えました。まず、大きな鍋に(わが家の大鍋は町内会の行事で使うのかと思われるほどのビッグサイズです)鶏もも肉、玉ねぎ、じゃがいも、にんじんを適当な大きさに切って、たっぷりの水で大量に茹でます。この「鶏もも肉と野菜のスープ」をベースにして味を変え、“材料は同じでも違うメニューに見える”方法を編み出しました。

たとえば、最初はこのスープを別の鍋に取り出してコンソメキューブを入れ塩、こしょうで味つけてポトフに。1人に1本、大きなフランクフルトソーセージを入れれば子どもたちは大喜びです。

さらにこのスープに市販のルウを煮溶かして、クリームシチューやカレーライスに。最後はトマト缶やトマトケチャップを入れて煮詰めて味つけして茹でたスパゲティにかけトマト味のスパゲティにしました。時短料理を工夫して上手に手抜きしてくださいね。

110分、椅子にお尻をつけて鉛筆が持てるようにしておきましょう

小学校に入学するとき、最初に習慣にしておきたいことは椅子に座ることです。

席に座らず教室内を立ち歩くお子さんも多いようですが、それでは授業になりませんね。子どもたちは椅子に座って食事をする習慣はついていると思いますが、これとは別に椅子にお尻をつけて机の前に座り、鉛筆を持って紙に何かを書く習慣をつけておきましょう。

勉強のドリルでなくてもぬりえでも何でもOK! 110分でいいので机の前に座る習慣をつけておくと、先生の話を集中して聞くことができ、学習内容を理解することができます。

 入学前の学習は、子どもの意思を尊重して無理強いしない

 「小学校入学前にどれほど勉強を進めておいたらいいでしょう」とよくお母さんたちから質問されますが、私は“好きなものを好きなだけ”と答えるようにしています。

嫌がっている子どもに無理やり勉強させたり、難しい内容をさせたりするのは勉強嫌いを作るだけです。、逆に子どもがやりたがっているのに、まだ早いからと制止するのは向上心を削ぐことになります。子どもの能力を最大限引き出してあげることはとてもいいことだと思います。子どもの意欲と力を見ながら、“好きなものを好きなだけ”を基本ルールにするといいでしょう。

 私が入学前にできたらいいなと思う国語と算数の項目は次のような内容です。

〇ひらがなの読み書き

〇カタカナの読み書き

1けたのたし算

この3つを基準にできる範囲で身につけておきましょう。小学校1年生では、このほかに「漢字80字」、「1けたの引き算」なども習い、なかなかもりだくさんのカリキュラムなので先取り学習しておけば学校生活がスムーズにスタートできます。

 カタカナの間違いを逃さない!学年が進んでも書けないことが多い1年生の難所です

 ここで子どもたちが間違えやすいポイントがカタカナです。特に、

「シ」と「ツ」

「ソ」と「ン」

「ソ」と「リ」

は区別がつきにくく、書き間違えが続出します。

学年が進んでも書けていない子どもが見受けられる1年生の難所です。

その理由のひとつは保護者は子どもにひらがなを教え終わったらほっとして緊張の糸が切れてしまうからではないかと思います。

カタカナの勉強を見てあげるときは、

「迷ったらひらがなを参考にしてみて。『シ』は『し』と同じで最後に上に払って『ツ』は『つ』と同じく下に払う。『ン』は『んと同じで最後に上に払う。『ソ』は最初は左上から右下に書くと正しく書けるの。『リ』はひらがなの『り』と同じように書いてみて」

と教えるとわかりやすいかもしれません。

「九九」も入学前に音楽で暗唱できるようになっていました

実は、我が子たちには2年生で習う「九九」も入学前に教えていました。車に乗っているときに、九九の暗唱ソングを聞かせていたら自然に頭に入ったようです。子どもは耳がよいので覚えも早かったですね。

かけ算の理論を説明するのは難しいので、単に「ににんがし、にさんがろく…」というように呪文のように暗唱させました。暗唱できた後、2年生になって、かけ算のしくみと考え方を習えばいいのです。ですから、余裕があれば教えてもかまわないと思います。九九の暗唱CDやアプリを使って、音楽といっしょに楽しく覚えることです。

 忘れ物をする、というペナルティを子どもの心に残さないで

それにしても小学校1年生は生まれてからまだ6年ちょっとしかたっていません。そんな小さい子が毎日学校に行くのですから本人にとっては大変な生活の変化です。保護者の方はなるべく手伝ってあげていただきたいと思います。翌日の持ち物は子どもといっしょに揃えましょう。

よく、「子どもは自立させたいから手伝わない」「忘れ物をした体験から学ぶことがある」などという保護者がいますが、私は反対です。それは単に親の怠慢への言い訳でしかないように思います。親が自立させようと必死にならなくても子どもは成長とともに自立していきます。

忘れものをして、不安になったり先生に注意されたり、と心に残る嫌な体験よりも、必要なものが全部揃っている満足感の方が学校での生活を送る上での意欲につながるのではないでしょうか。それは勉強も同じです。

お子さんも保護者の方も楽しい小学校生活がスタートできるよう、私の経験から、してきたことをお伝えしました。お子さんが理解できるまで、習熟するまで焦らずつきあってあげるのが親の役割だと思います。

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教えてくれたのは

佐藤亮子さん|教育アドバイザー

大分県生まれ。津田塾大学英文科卒業後、高校で英語教師に。結婚後、3男1女を育て、全員が東京大学理科Ⅲ類から医学部医学科を卒業する。母親ならではのきめ細かい学習サポート法が注目されている。進学塾「浜学園」でアドバイザーとして活動するほか、様々なメディアで発信している。著書に『3男1女東大理Ⅲ合格百発百中 算数 国語 絶対やるべき勉強法』『3男1女全員東大卒医師に!一点集中ムダ取り勉強法』(幻冬舎)などがある。

構成/今津朋子 写真/岡本尚樹(佐藤さん)

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