【モンテッソーリ流・小学生になる子へのかかわり方】「もうすぐ小学生」ではなく「年長さんである今」に目を向ける

ママやパパのお悩みに寄り添った連載「モンテッソーリ教師あきえの子育てROOM」。卒園や入学を控えた今の時季だからこそ意識したい「子どもとのかかわり方」についてお話を聞きました。

無意識に言ってしまう「もうすぐ小学生なのに大丈夫?」

小学校入学を控え、「うちの子は落ち着きがなくて座っていられない」「ひらがなの読み書きに不安がある」「一人で通学なんてできるのかしら」など、さまざまな不安を持っているママやパパも多いかと思います。それゆえ、以下のような声かけをしてしまうことはありませんか?

小学生になったらじっとしていなきゃいけないんだよ!

ひらがなが書けないんでは小学生にはなれないね

小学生のお姉さんは一人で学校に行っているよ。行けないなら幼稚園に戻らないとね

私たち大人は、小学校での過ごし方について、なんとなくイメージができますよね。そのため、我が子を心配するがあまり、上のような声かけをしてしまったり、マインドになってしまったりすることがあるかもしれません。足りなくなるであろうことを先に伝えて、帳尻合わせをしてあげたくなるんですよね。
しかし、子どもは「年長さんである今」を必死に生きています。そんな子ども達に対して、「卒園に向けて」「入学に向けて」それぞれ私たちができることについてお話します。

「卒園に向けて」子どもと一緒に振り返り、気持ちを共有する

中には0歳から保育園に行っていた子、年少さんから幼稚園に入った子、園で過ごした年数はさまざまですが、卒園を前に、園での生活を子どもと一緒に振り返る時間を持ってみてください。

ポジティブな気持ちで会話をする

「運動会、みんなで一生懸命走ったよね」「年少さんの時の先生は〇〇先生。とてもやさしかったね」など、子どもと一緒に園での生活を振り返り会話をしてみましょう。子どもが「私はこうやって大きくなってきたんだ」と、改めて理解できるきっかけにもなりますし、園での大切な思い出を親子で共有することはおすすめです。その時に、園の行事で使ったものや写真などを見ながら話すとよりイメージがわき、子どももその時のことを思い出して温かい気持ちになるでしょう。

卒園に向けてしていることを共有する

例えば、卒園式の時に着る洋服や、謝恩会などの出し物、お友達とのお別れ会など、卒園式に向けて準備していることがあれば、ぜひ、それを子どもに共有してあげてください。「先生へのお手紙だからここに『ありがとう』って書いて」など、必要な部分だけ子どもにやってもらい、他はすべて親が準備するなんてこともあるかと思います。もちろん、子どもに内緒で準備しているサプライズなどは別ですが、子ども自身があらゆることの真ん中に立っているという意識を持つことで、「これは自分の卒園式」なんだと、自分事化して考えられるようになります。自分事化して考えるということは、子どもの自立にとって欠かせないことです。

「入学に向けて」親の不安を投影しない。今の子どもに目を向ける

年少さんから年中さんになる、小学2年から3年になるよりも、年長さんから小学生になるということは大きな環境の変化があるように思います。実際に通う場所が変わる子どもがほとんどですし、自分で登校するようになるなど、変わる部分はたくさんありますよね。

子どもの不安な気持ちを取り除いてあげる

大人の私たちは、ある日突然「入学してからできなかったら」「1年生になるまでにこうなってほしい」という思いがあふれ出て、その気持ちを子どもに投影してしまうことがあります。しかし、子どもの育ちは常に一歩ずつ着実に歩んでおり、急に持ち上げることも引っ張りあげることもできません。もし、子どもが感じている不安を口にすることがあれば、その時に答えてあげるようにしましょう。

  • 子ども「小学校ってどうやって行くんだろう?」
  • 親「一緒に歩いて行ってみようか?」
  • 子ども「小学校ってどんなことをやるんだろう?」
  • 親「1年生はどんな勉強をするのか、本屋さんでドリルを見てみようか?」

 

他にも「小学校に行っている子に聞いてみよう」「小学生が題材になっている絵本を見てみよう」「ママが小学生だった頃はこうだったよ」などでも良いと思います。

「小学生だから」という前提条件を取っ払う

今の時期、子どものことを「4月から小学生の〇〇くん」と見ていることが多くなりがちですが、「小学生だから」を取っ払って、「6歳〇ヶ月の〇〇くん」として見てあげるようにしましょう。そして、どんなことに困っているのか、不安を感じているのか、何に期待をしているのか。そこに寄り添って、満たし、支えることが子育てなのです。

生活リズムや環境の変化についての見通しを立てる

ここまで話してきたように、私たち大人が持っている不安はできるだけ手放したほうがいいと言えます。しかし、小学生になって生活リズムや環境(毎日の準備の仕方や持ち物など)が変わることは確かです。

 

「小学校には8時までには行かなくてはならないから、家を7時半には出なくてはいけないね。そうすると、朝起きるのは6時半。いまよりも30分早くなるんだね。明日、その時間に起きてみようか?」

「小学校に行くようになったらランドセルを持って行くよね。園のバッグよりも大きくなるから、棚を新しくしないとね。日曜日に見に行ってみよう」

 

このように、小学生になってからの生活に見通しが立てられるよう、声かけをしていくといいですね。

子どもの「今」をしっかり見て満たしていく

卒園、入学を控えた今の時季、子どもの成長を嬉しく思う反面、不安な気持ちを抱えることもありますよね。しかし、今までの6年間、子どもの育ちをしっかりと手伝い、その時にできることをやってきたはず!と、自分自身を信じてあげてください。そして、戻りたいと思っても戻れない「今」だからこそ、今しかない子どもとの時間を楽しみましょう。

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記事監修

国際モンテッソーリ教師(AMI)
モンテッソーリ教師あきえ

幼い頃から夢見た保育職に期待が溢れる思いとは裏腹に、現実は「大人主導」の環境で、行事に追われる日々。そのような教育現場に「もっと一人ひとりを尊重し、『個』を大切にする教育が必要なのではないか」とショックと疑問を感じる。その後、自身の出産を機に「日本の教育は本当にこのままでよいのか」というさらなる強い疑問を感じ、退職してモンテッソーリ教育を学び、モンテッソーリ教師となる。「子育てのためにモンテッソーリ教育を学べるオンラインスクール Montessori Parents」創設、オンラインコミュニティ”Park”主宰。2021年1月に初著書「モンテッソーリ教育が教えてくれた『信じる』子育て」(すばる舎)、2022年3月に「モンテッソーリ流 声かけ変換ワークブック」(宝島社)を出版。

モンテッソーリ教師あきえHP

あきえ先生主宰オンラインスクールMontessori Parents

取材/本間綾

 

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