友達を挑発する、友達のものを隠す…小2の息子が度々起こすトラブルに頭を悩ませています
小2の息子のことで悩んでいます。学童の先生から「お友達を煽るような発言をして、怒ったお友達が手を出してお腹に傷ができています。これまでも煽ることがたびたびあって、別の友達ともトラブルになりました。そのようなことがないよう家庭でも言い聞かせてください」と電話がありました。すなわち息子が悪いから怪我をしたのも仕方ないよという言い方でした。 学校の先生からも「友達と言い合いになり、手を出しました」「友達の鉛筆を隠しました。イヤなことを言われた仕返しだと言ってます」とたびたび電話があります。2歳ぐらいからとにかく気が強くて負けず嫌い、自分の思いを曲げないのと、遊びの時も自分が思うようにならないと癇癪を起こす、というのに頭を悩ませています。叱るよりは状況を聞き出そうとすると「知らない、わからない」と突っぱねてだんまりを決め込むのです。トラブルを起こさないように親が言い聞かせるべきなのでしょうが、どう息子と関わったらいいのでしょうか。(小2の息子に悩む母)
自分の気持ちをわかって欲しいのにそれが上手くいっていないのでは
親も事あるごとに「言い聞かせてください」と連絡があって辛いでしょうけど、一番切ないのはこの子よね。大体、やっちゃいけないとか、言い聞かせてわかる子はいません。
この子は自分の気持ちをわかって欲しいのにそれが上手くいっていないのではないかしら。鉛筆を隠したり、手を出したりするのは、友達から何かされていて言えない代わりの行為なのかもしれないし、ひょっとしたら、本当はその友達とコミュニケーションを取りたいのに上手に関われないから、ということも考えられます。
まだ2年生でしょ。きっとモヤモヤしている気持ちをどう表現していいかわからないんです。だから、どうしてやったかなんて言えるはずがない。
行為を否定しない声かけで気持ちを引き出して
なんとなく感情が落ち着かなくて行動に出ているのだと思います。まず、言葉と気持ちを結びつけて、気持ちを言語化する手助けをしてあげてください。そのためには「だってね」「あのね」と子どもが話したくなるような問いかけをしてあげてください。
「友達の鉛筆、かっこよかったの? それとも仕返し?」「頭に来ちゃったんだよね」とか、追求ではなく、状況を説明させるのでもなく、やってしまった行為を否定しない声かけをすると、もっと自分の気持ちをわかってほしくなるのです。
気持ちを受け止められると、感情が落ち着いて思考が始まります。そうか、そう言えばいいのか、そうすればよかったんだ、と自分で考えられるようになっていきます。感情が動転しているときに問い詰められると、次から次へと言い訳を考えて行くようになり、どんどん行動が激しくなっていきます。そうして、誰も僕のことをわかってくれないという思いに取り憑かれていくようになってしまいますよ。
訳もなく乱暴、訳もなく悪い子になろうとしている子はいません
保育園でよくあるトラブルの一つに「友達の靴を隠す」というのがあるんです。みんなが困ってワイワイしている内に、隠した子が「ここにあったよ!」と言って持ってくる。そんな時、隠したことを叱るべきか、ウソをついたことを叱るべきか、保育者からどう叱ったらいいですか、と講演会の時に相談されたことがありました。でもそれは叱る事ではありません。その子は自分の存在をわかって欲しくてやっているんです。「僕のことを見て」という心の叫びが、友達の靴を隠すという行為になっているのね。だから、叱るのではなくて、その子のことを気にかけているという言葉かけや関わりをしてあげて欲しいと答えました。
講演が終わると、聴衆の一人だったお父さんが近づいて来てこう言ったんです。
「僕も幼稚園で同じことしてました。でも、どうしてそんなことをするのかその時の自分はわからなかった。ただ「あってよかったね!」というみんなの笑顔がうれしかったという気持ちは覚えています。先生の答えを聞いて腑に落ちました。あの時の僕はみんなに構って欲しかったんだなあって」
わけもなく乱暴、わけもなく悪い子になろうとしている子はいません。そうせざるを得ない訳が絶対にあるはずです。何かあったのを聞き出そうとするのではなく、まずは、子どもの気持ちをわかりたいという言葉を誘い水にして関わってみてください。
記事監修
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保育者。自主幼稚園「りんごの木」代表。子供の気持ち、保護者の気持ちによりそう保育をつづけて36年。小学生ママ向けの講演も人気を博している。ロングセラー絵本『けんかのきもち』(ポプラ社)、『こどものみかた』(福音館書店)、『あなたが自分らしく生きれば、子どもは幸せに育ちます』(小学館)など、多数。
構成/Hugkum編集部 イラスト/海谷泰水