Mr.Childrenの歌もドハマり!きらめく初恋の尊さに大人が泣く『青春 18×2 君へと続く道』

若い頃ならではの純度の高い初恋を、日本と台湾を舞台に描いた『青春 18×2 君へと続く道』。過ぎ去った日々のきらめきや、かけがえのない出会いを紡いだ本作は、大人の心にこそ響く上質の映画に仕上がっていました。

シュー・グァンハンと清原果耶が織りなす時代と場所を超えた純愛

©2024「青春18×2」Film Partners

台湾の人気スターであるシュー・グァンハンと、若手実力派女優の清原果耶がダブル主演を務める日台合作映画『青春18×2 君へと続く道』が、5月3日(金)より公開されました。こちらは映画館で観てほしい1本として、本作を心からプッシュします。

メガホンをとったのは、切ないラブストーリー『余命10年』(22)で、多くの観客から涙をしぼりとった藤井道人監督。『新聞記者』(19)などの社会派ドラマでも定評のある藤井監督ですが、ほとばしる情熱と人の心のナイーブな揺らぎの両方を切り取れる名手で、今や日本映画界を担うトップランナーとなりました。

本作は特に、日台の実力派俳優たちとともに送り出す、藤井監督初の国際プロジェクトということで気合も十分。主演の2人以外にも、道枝駿佑、黒木華、黒木瞳、松重豊ら豪華俳優陣が脇を固めています。また、ロケ地が日本と台湾で、壮大かつ美しい風景が切り取られているので、旅行気分も味わえそう。

“一休みは、より長い旅のため”の意味合いが深い

©2024「青春18×2」Film Partners

冒頭、どこかの会社の会議で、ある男性が多数決で職を追われるシーンからスタートします。その人は、シュー・グァンハン演じる現在のジミー。その後、彼は帰省した故郷で、父親から「時には立ち止まることも大切だ。“一休みは、より長い旅のため”」と言われますが、このフレーズがあとで効いてきます。

どうやらジミーは、自分の経営する会社で干されてしまったらしいです。その時のすったもんだが動画でアップされているところを見ると、彼は大会社のトップだったよう。すべてを失った彼は、改めて青春時代の自分に思いを馳せていきます。

©2024「青春18×2」Film Partners

始まりは今から18年前の台湾。カラオケ店でバイトする高校生ジミーは、日本から来たバックパッカーのアミ(清原果耶)と出会い、恋心を抱きます。ところが突然アミが帰国することに。意気消沈するジミーに、アミはある約束を提案しますが……!

人生につまずいたジミーは、かつてアミから届いた絵ハガキを再び手に取ります。初恋の記憶が鮮やかによみがえったジミーは、彼女との約束を果たすべく、アミが生まれ育った日本へと旅に出ます。東京から鎌倉、長野、新潟を経て、アミの故郷・福島を訪れた先で、ジミーは18年前のアミの想いを知ることに!

©2024「青春18×2」Film Partners

回想シーンでの若きジミーたちが過ごす時間がとにかくまぶしい。ジミーは、年上の彼がいるというアミにアプローチするも、肩すかしなリアクションを受け「そもそも恋が始まってなかったのかもしれません」と思ってしまう。でも、ジミーと一緒にいるアミの表情を見ると、実にキラキラしていて、互いに心が通じ合っているように感じられます。

そもそも青春ラブストーリーでは、片思いなのか両思いなのかというギリギリの際を攻める設定が一番燃えますよね。手をつなぐシーンでドギマギしたり、わずかなすれ違いにハラハラしたりと、そういった純な“初恋あるある”が満載です。

また、特に物語の大事な伏線にもなっているのが、ジミーとアミが2人で空にランタンを飛ばすシーンです。「僕たちの旅が続きますように」という想いを込めてランタンを放つ2人。同シーンは、非常にスクリーン映えする実に尊いシーンになりました。

ミスチルの主題歌でさらに涙腺崩壊!

©2024「青春18×2」Film Partners

藤井監督が本作について「誰かにとっては恋愛映画で、また別の誰かにとってはロードムービーであり、成長物語でもあると思います」と語っていますが、まさにそのとおりかと。男女2人の純愛を軸にしつつ、ジミーが旅の途中で一期一会の出会いも実にエモーショナルに綴られ、いろんな感情があふれ出します。

©2024「青春18×2」Film Partners

思えば、人生は旅そのものであり、外へ出て素晴らしい出会いを果たしていくことがいかに大切なのかを改めて気づかされた気がします。どこか人生をこじらせてしまったジミーの背中を押し、再スタートを切らせてくれたのも、そういう人々と共有したすてきな時間があったから。

特筆すべきなのが、世代を超えて愛され続けるMr.Childrenが主題歌「記憶の旅人」が手掛けている点です。ミスチルは藤井監督が10代から愛聴していたという憧れのアーティストということで、今回ダメ元でラブコールをしたとか。その後、脚本を読んだ桜井和寿がいち早く書きおろしたのが同曲だそうですが、ずばり本作のテーマが見事に集約されていました。きっと本作は終盤で、かなり涙腺を刺激されると思いますが、最後に締めくくる同曲で、より一層余韻と感動が増しそう。

大人はもちろん、きっと家族で観ても素敵な思い出を作れそうな1作『青春 18×2 君へと続く道』。画も非常に美しいので、映画館で観ていただくことを推奨します。

『青春18×2 君へと続く道』が、5月3日(金)より公開中
監督:藤井道人 脚本:藤井道人/林田浩川 原作:ジミー・ライ「青春18×2 日本慢車流浪記」
主題歌:Mr.Children「記憶の旅人」(TOY’S FACTORY)
出演:シュー・グァンハン、清原果耶、ジョセフ・チャン、道枝駿佑、黒木華、松重豊、黒木瞳…ほか
公式HP:happinet-phantom.com/seishun18x2/

文/山崎伸子

©2024「青春18×2」Film Partners

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