先生とのコミュニケーション、放課後デイの選定のポイントを解説!
Q:新しい担任の先生に我が子を理解していただき、ご協力していただくためにはどのようにお伝えすれば良いのでしょうか?
A:我が子を理解してもらう前にやるべきことは先生を仲間にすることです!
私たちも訪問支援という形で療育や学校、保育園などにも伺う機会があるのですが、このような経験から皆さんにお伝えできることは、まずは先生に味方(仲間)になってもらおう、ということです。
我が子のことを先生に知っていただくのは二の次。先生を対立軸にしないように気をつけてください。関係性がまだ薄い時期は、こちらからいろいろお願いするよりも、先生のお話を聞いて、普段工夫してくださっていることや、気づいたことを伺うことから関係性を築いていきましょう。
●Point
・先生がやってくれていることで助かることを言葉にして伝える
・先生なりにフォローしてくれていることに感謝をして認める
その後に、自分たちが思うことを少しずつお願いしてみるという段階を踏むと、上手にコミュニケーションが取れるようになります。
どうしても上手くコミュニケーションをとることが難しい場合には、教頭先生や副担任の先生など、別に相談できる先生を見つけておくことも大切です。放課後デイのような事業所の方から担任の先生に伝えてもらうという方法もあります。
Q:今の療育や放課後デイが我が子に合っているのか不安です。選び方のポイントがあれば教えてください。
A:子どもへの評価方法とフィードバック体制をチェックしてみて。
ご相談の中でも一番多いご質問です。まずは、ホームページなどに掲載の理念を確認しましょう。そして、具体的に何をどうするのか、すなわち事業方針がしっかり書かれているかどうかがポイントです。その次は、見学に行ってみて、ホームページに書いてあることが本当に実行されているかの確認をします。
そして、我が子をどのように評価してくれるのか、事業所の方に質問してみましょう。
評価をしていくと、その子の特徴が見えてくるので、手立てが明確になり、お子さんに合うプログラムを構築しやすくなるのです。
繰り返しトレーニングをさせることではできるようにはなりません。フィードバックをしてくれないところもありますので、フィードバックをしてくれるのかもチェックしてください。
Q:何度も同じ注意をしなければならない我が子についイライラしてしまいます…。
A:その子の過去に目を向けて!成長したポイントがきっとあるはず。
定形発達ではないお子さんの場合、脳の神経のネットワークが定型のお子さんに比べて複雑なことから、物の捉え方や思考パターンが定形発達のお子さんとは違います。枠の中に字が入らないからと、100回書かせても上手くはいきません。定形発達のお子さんのように、トレーニングをすればできるようになるわけではないのです。
理解ができないことを大前提として、子どもの世界がどんなものなのか、子どもにはどう見えているのかを聞いてあげることが大切です。
また、他のお子さんと比べたり、未来を想像してしまうとイライラや不安の原因になります。去年の我が子はどうだったのかに目を向けてください。
子どもに必要なものは「笑い」と「愛」。親の笑顔が子どもを伸ばします!
子どもは親御さんの様子を敏感に察知しています。お母さん・お父さんの声のトーンや表情が子どもにコピーされていきますので、親御さんが笑っているところ、楽しんでいるところをたくさん見せてあげてください。
例えば、好きなスイーツを美味しそうに食べることでもいいし、大好きなテレビ番組を見て笑うことでもいいと思います。親自身の楽しんでいる姿が日常にたくさんあるといいですね。
笑うことが子どもを伸ばすことには、医学的根拠があります。“笑う”ことで、元気になり力がみなぎるホルモン「ドーパミン」や、安楽な気持ちになる(または幸せな気持ちになる)ホルモンと言われている「セロトニン」が出てきます。自閉症のお子さんは、特にセロトニンが少ない傾向にあると言われているので、彼らの脳の中にたくさんセロトニンを出してあげることで、心身のリラックス・不安の軽減へとつながります。
笑うこと以外にも、褒められることでもたくさん脳の中にドーパミンが出て、その後にセロトニンが出て幸せな気持ちになります。加えて、褒めた大人(保護者)も脳内にオキシトシン(愛情ホルモン)が出ますので、親子で幸せな気持ちなれるという効果もあります。
言葉がなかなか出ないお子さんでも、笑い声は出ます。どんな特性を持つお子さんでも、親御さんとたくさん笑うことで、自信を持ち、その子なりの発達をしていきますので、どうか“笑い”を忘れずに。お子さんが幸せに感じられる、愛ある日々を心がけてみてくださいね!
こちらの記事では行き渋りや空気を読めない発言についてなどの対応法を紹介!
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お話を伺ったのは
むぎちょこ(西村千織)/言語聴覚士
ことばの発達と発達障害が専門の言語聴覚士。病院勤務の後、公的療育機関に17年勤務し、ことばの遅れがある幼児や発達障害のあるお子さんに対して、のべ数万回の言語聴覚療法を実践。2020年より理学療法士西村猛の運営する株式会社ILLUMINATE取締役兼発達障害のあるお子さんのための支援事業所「発達支援ゆず」所属。子どものことばの発達にお悩みを持つ保護者の方向けのオンライン相談事業も実践。
YouTubeチャンネル「こども発達LABO.」では、理学療法士の西村猛と2人で、ことばとからだの発達や発達障害に関する情報を発信中。著書に「「ことばが遅い子・心配な子」から「ことば」を引き出す親子あそび」(PHP研究所)がある。
HP「こども発達LABO.」はこちら
YouTube「こども発達LABO.」はこちら
お話を伺ったのは
にしむらたけし(西村猛)/理学療法士
子どもの運動発達と発達障害が専門の理学療法士。株式会社ILLUMINATE代表取締役。公的療育機関等に20数年勤務した後、2017年に独立起業。現在は、会社代表として「発達支援ゆず」の3事業所を運営するかたわら、全国の保育園・幼稚園・こども園などで、子どもの運動発達や発達障害に関する研修会講師として活動中。
運動発達の専門家として、NHKあさイチ、テレビ朝日グッドモーニングを始めメディア出演等多数。著書に「寝る前10秒 子どもの姿勢 ピンポーズ!」(主婦の友社)がある。
文・構成/鬼石有紀