号泣必至。永瀬廉と出口夏希が命の輝きを体現した『余命一年の僕が、余命半年の君と出会った話。』で余命宣告の意味をあらためて考える

King & Princeの永瀬廉と、新進女優の出口夏希が共演した『余命一年の僕が、余命半年の君と出会った話。』が6月27日(木)よりNetflixで独占配信されました。タイトルを聞いただけで涙腺スイッチの準備をしてしまいそうですが、いわゆる王道の“余命もの”とは一線を画す仕掛けも用意された“技あり映画”となっています。

永瀬廉と出口夏希が織りなす切ない期間限定の愛

『余命一年の僕が、余命半年の君と出会った話。』は6月27日(木)よりNetflixにて世界独占配信中

『余命一年の僕が、余命半年の君と出会った話。』というタイトルは、けっこうインパクトがありました。愛し合う2人のどちらか一方だけではなく、両方が余命宣告を受けていた!という設定が新鮮ですよね。

原作は2021年に発売された森田碧の同名デビュー小説。通称「よめぼく」はSNSで「号泣必至!」と話題を呼びました。

『余命一年の僕が、余命半年の君と出会った話。』は6月27日(木)よりNetflixにて世界独占配信中

“余命もの”といえば、大ヒットした浜辺美波と北村匠海共演の『君の膵臓をたべたい』(17)や、小松菜奈×坂口健太郎共演の『余命10年』(22)など良作も多く、たくさんの観客から涙をしぼりとってきました。

本作では、King & Princeの活動と共に、俳優としても順風満帆にキャリアを重ねてきた永瀬廉と、山下智久主演ドラマ「ブルーモーメント」でヒロインを務めた注目女優の出口夏希が、切ない“期間限定”の愛の物語を紡ぎ上げています。

メガホンをとったのは『ソラニン』(10)、『アオハライド』(14)、『今夜、世界からこの恋が消えても』(22)などのラブストーリーで知られる三木孝浩監督、脚本に『君の膵臓をたべたい』の吉田智子。ガーベラの花言葉が物語のキーワードとして散りばめられた本作は、非常に丁寧な作りのラブストーリーに仕上がっています。

物語に寄り添うガーベラの花言葉のバリエーションがすごい!

『余命一年の僕が、余命半年の君と出会った話。』は6月27日(木)よりNetflixにて世界独占配信中

永瀬さん演じる主人公は、絵を描くことが好きな地味で目立たない高校生の早坂秋人(永瀬廉)。彼は突如、心臓に悪性腫瘍が見つかり、「余命1年」と宣告されます。

でも、秋人は幼なじみの絵里(杏花)や翔太(秋谷郁甫)はもちろん、妹の夏海(月島琉衣)にもそのことを言わず、普通の生活を送ろうとします。

『余命一年の僕が、余命半年の君と出会った話。』は6月27日(木)よりNetflixにて世界独占配信中

ある日、秋人は、病院の屋上で絵を描いていた少女・春奈(出口夏希)に出会います。彼女から、その絵が「天国」であること、そして自分の余命があと半年であることを告げられた秋人。

そんな彼女に惹かれた秋人は、自分の病気を隠し、毎週彼女の病室へお見舞いに訪れるようになります。やがて秋人は、春奈が仲違いしていた親友の三浦綾香(横田真悠)と春奈を引き合わせたりと、彼女のためにいろんな行動を起こしていきます。

『余命一年の僕が、余命半年の君と出会った話。』は6月27日(木)よりNetflixにて世界独占配信中

秋人は、病院に行く前に必ず花屋に立ち寄りますが、そこで店主の実希子(木村文乃)から勧められた花が2000種類以上あるというガーベラでした。なんと色や本数によって花言葉が違うとか。例えばピンクは「感謝」、オレンジは「我慢強さ」、黄色は「究極の美」、白は「純血」で、ガーベラ全体の花言葉は「希望」だそうです。

ネタバレは避けますが、その花たちが非常に重要なキーアイテムとなり、秋人たちの心情に寄り添っていきます。また、ふたりが描く美しい色彩の絵も絶妙な小道具としてドラマを盛り上げていきます。

『余命一年の僕が、余命半年の君と出会った話。』は6月27日(木)よりNetflixにて世界独占配信中

本作では、余命宣告を受けた2人の純愛や葛藤だけではなく、その人を取り巻く周りの人々の心の揺れもグラデーション豊かに描かれています。

最初は自分自身の余命を知り、絶望のどん底にいた秋人は、自分自身をとことんアンラッキーな人間だと思い込んでいました。ところが、残された時間を春奈のために使おうと決めた頃から、人生においての「希望」を見出していきます。

不治の病に冒されたふたりが、赤裸々な悲しみを吐露するシーンは本当にいたたまれないのですが、そんなふたりが互いを思い合い、周りの人たちに支えられながら、心の成長を遂げていく過程を見ていくうちに、「彼らは本当にアンラッキーなのか?」と首をかしげてしまうことに。幸せや不幸せを測る物差しは、決して命の長さではないのだなと、痛感させられます。

『余命一年の僕が、余命半年の君と出会った話。』は6月27日(木)よりNetflixにて世界独占配信中

また、本作を観て「余命」を知ることの意味についても、考えさせられました。秋人が劇中で、余命宣告についての見解を述べるシーンがありますが、めいっぱい残された人生を生きようとする彼を見てきたからこそ、非常に説得力を感じ、涙を禁じえませんでした。

最後に用意された“優しい真実”にきっと涙する

『余命一年の僕が、余命半年の君と出会った話。』は6月27日(木)よりNetflixにて世界独占配信中

最初に暗闇の中にいた秋人が、春奈との出会いを経て、少しずつ瞳が輝いていく過程を真摯に演じた永瀬さんと、彼を照らす太陽のような明るさとその裏側にある悲しみが同居した春奈役を好演した出口さん。

「黒一色だった世界がカラフルな世界に変わった」という秋人の言葉どおり、半年という短い時間で大切に愛を育んでいくふたりの姿はなんともまぶしいです。

『余命一年の僕が、余命半年の君と出会った話。』は6月27日(木)よりNetflixにて世界独占配信中

また、HugKum世代のママやパパは、きっと秋人や春奈の親にも感情移入させられそう。息子を心から愛する心優しい父の一樹(仲村トオル)と母の滋美(大塚寧々)。息子が少しでも長く生きてほしいと、延命の手術を勧めようとする気持ちは「わかる、わかる」とうなずいてしまいそう。

春奈の母親で病院の看護師でもある葉月(松雪泰子)が、春奈が早く天国に行きたいという理由を聞かされるシーンも号泣ポイントかなと。秋人の両親も含め、自分の子どもに何もしてあげられないと嘆く親心はもちろん、それをきちんとわかっている子どもの思いやりもちゃんと描きこまれている点が素晴らしい。

様々な愛が花束のように集められたとても豊かなラブストーリー『余命一年の僕が、余命半年の君と出会った話。』。最後の最後に用意された、ある“優しい真実”が本作の特筆すべき感動ポイントかと。

本作はいろいろな世代の方に響く物語になっているので、多くの方に観ていただきたいです。

『余命一年の僕が、余命半年の君と出会った話。』は6月27日(木)よりNetflixにて世界独占配信中
原作:森田碧 「余命一年と宣告された僕が、余命半年の君と出会った話」 (ポプラ社刊)
監督:三木孝浩 出演:永瀬廉、出口夏希、横田真悠、杏花、秋谷郁甫、木村文乃/大塚寧々、仲村トオル/松雪泰子…ほか
公式HP:https://www.netflix.com/よめぼく

文/山崎伸子

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