【近所でできるおもしろ自由研究】夏の車内で目玉焼きが焼ける?虹はどうやってできる?屋外でできるアイデアをサイエンス博士が教えます

せっかくの夏休み、「自由研究」といえども楽しくなくてはもったいない! そこで、アクティブな夏を過ごすアウトドア派のファミリー向けに、屋外で楽しめる「おもしろ自由研究」をご紹介。「科学を楽しく!」がモットーのサイエンスジャーナリスト・ゆーまん博士に、親子で楽しく取り組める研究テーマを教えてもらいました。

その1:顔を探そう

家の窓や車、ポストなど、町の中には人の顔そっくりに見える建物や乗り物があります。お子さんがデジカメやスマホを持っている場合は、街の中で顔を探しましょう。顔に見えるものを写真に撮ってコレクションします。

建物だけではなく、石の配置や建物の影、木の模様が顔や人の形に見えることも。そうしたものも写真に撮っておきましょう。多くの心霊写真の正体がこれですね。

写真を整理したら、なぜ顔に見えるのかを考えましょう。自分なりの考えをまとめれば、立派な自由研究です。

町中や身近な場所には、いろいろなところに「顔」がかくれていますよ

ちなみに3点が逆三角形に並んでいると人の顔に見えるのは、「シュミラクラ現象」あるいは「顔パレイドリア現象」と呼ばれる心理効果です。人間が相手の顔を即座に認識するために備えている機能です。動物に襲われた時、相手の顔がどこかわからないと身を守れませんからね。

その2:地図を作ろう

家や学校の近くの地図を作りましょう。ポイントは何をテーマにした地図を作るか?です。花の地図でもいいし、飼っている犬の地図、電柱の地図、公園までの距離の地図、ひと口に地図といっても、基準を変えればさまざまな地図が作れます。どんなテーマにするのか、考えましょう。

観光地の名所案内図や、ガイドブックの地図が参考になる場合も。どんなふうに省略して、何を目立たせているでしょうか

テーマが決まったら、実際に歩きながら町を観察します。道のつながり方と公園や住宅などをメモしながら、ラフな地図を書いていきます。テーマに沿った写真を撮ったり、スケッチをしてもいいですね。

メモができたら、ちゃんとした地図を書き起こします。縮尺にこだわらず、どこに何があるかがよくわかるように地図に書き込みます。

外に出たくないなら、家の中の地図でもゲームの地図でもいいでしょう。その地図を片手に町を歩きたくなるような魅力的な地図を作りましょう。

自分の町の名所やお気に入りの場所、旅行先で尋ねた場所などテーマはいろいろ。強調したい場所は縮尺を無視して大きめに描いたりするとポイントがわかりやすいですね

その3:虹で遊ぼう

夏は水遊びの季節です。虹を作って遊びましょう。やり方は簡単。太陽を背にしてホースの水を霧にすれば、そこに虹の出来上がりです。

水遊びしながらできる自由研究。涼やかで楽しい!

ホースがない場合は霧吹きでも大丈夫です。細かい霧状の水が出るものであれば、何でもOKです。霧のサイズが大きくなれば、それだけ大きな虹を作ることができます。

太陽の向きによってできる虹が変わります。虹は太陽からまっすぐ伸ばした線と地面のぶつかった点=対日点から角度にして42度の場所に現れます。つまり太陽の高さによって虹のできる場所や大きさはどんどん変わっていくのです。

対日点と虹の見える位置の関係。太陽と観測者の視点を結んだ延長線上の地面の点が対日点

時間を変えながら虹を作り、実際に太陽の高さと虹の関係を調べましょう。ここで気をつけなければならないのは、霧吹きやホースの場所を固定しておくことです。そうしないと太陽との位置関係がわからなくなってしまいます。

虹の写真を撮るときには背景に注意。やや暗めの空間を背景にして撮ると見えやすい

その4:太陽の目玉焼き

夏になると必ずニュースでやるのが、車のボンネットや外に出しておいたフライパンで目玉焼きを作ること。あれは本当にできるのでしょうか?  やってみましょう。

天気のいい日にフライパンを外に出し、1時間ごとに目玉焼きを焼いてみます。何時間外に出しておいたら、目玉焼きが焼けるでしょうか。

炎天下の車のボンネットの上で、アルミホイルの皿に卵を割り入れて実験。さてどうなるか

フライパン以外でもお皿やアルミホイル、ホットプレートのプレートなどでも試してみましょう。目玉焼きができるなら、水はお湯になるのでしょうか?  そのお湯でカップ麺を作ることはできる?できない?

ボンネットよりも車内のダッシュボードのほうが熱くなることを発見。ここで同様の実験をやってみるとどうなる?

結果が出ていることを自分でもう一度やってみて、結果をたしかめることを追実験といいます。追実験こそが科学に一番大事な作業だと言えます。誰がやっても同じやり方なら同じ結果が出るのが科学だからです。太陽の目玉焼きを作り、ニュースが本当かどうか追実験です。

目玉焼き以外にも…ジュースの氷が解けてお湯になるのは、外気温で何度の日でどのくらいの時間? 車の色で違いはある? 夏ならでは自由研究もおもしろい

他にも自由研究のヒントがいっぱい!

【ゆーまん博士の自由研究・虎の巻】
↓↓ほかのテーマは下記リンクから ↓↓

虎の巻2:リビングで、お庭で… 家の中のものでできちゃう研究テーマ編

虎の巻3:町中へ、外へ… 親子でアウトドア派におすすめ!の研究テーマ編

【ゆーまん博士のアドバイス】科学論文の基本をつかんで自由研究を仕上げる!

自由研究は何をやってもOKなんですが、書き方がわからないというお子さんも多いでしょう。自由研究をまとめると、それは論文になります。論文の書き方にはルールがあります。

科学論文は次の項目で成り立っています。

・要約……どんな実験を行ったのかの概要です。
・序文……なぜこの実験を行ったのかを理由を説明します。
・実験方法……実験方法の解説です。
・実験結果……実験した結果をまとめます。
・考察……実験結果から何がわかるのかをまとめます。

自由研究も基本は同じです。テーマを決める・調べる・考える、この3項目の流れを押さえれば大丈夫です。

科学と聞くとつい身構えてしまいますが、自由研究のテーマは科学に限りません。建物の階段の段数の違いでも電信柱の位置でもなんでもいい。調べてまとめて考えることが重要です。

正解を探す必要もありません。コップを真上から見たら円形に見えるように、見る位置で物事はさまざまに形を変えます。その変化を見つけ、楽しむことが自由研究の本質です。正解探しではないし、正解なんてないんです。あるのは、「わかっていること」だけです。今年の夏は自由研究で自分の力で「わかる楽しさ」を体験してください。

ゆーまん博士とは…

川口友万 | サイエンスジャーナリスト
富山大学理学部物理学科卒業後、企業での出版・広告・編集の仕事を経てフリーライターとして独立。「サイエンスにもっと笑いを!」をモットーに、「科学の常識」と「社会が持っている知識」との乖離を埋める科学エンターテイメントを目指す。多数の著書がある他、科学実験イベント、講演、科学監修など広く活動。HugKumでは、「ゆーまん博士の最新科学Catch UP」が好評。

構成・文/川口友万 イラスト/まめこ

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