【前回までの流れ】
● 周りの友だちに誘われるように、なんとなく塾に通い始める。→しっかり考えたほうがいい。
● 入塾テストがあるかどうかは、子どもの性格を見て、伝えてほしい。
● 塾に入るなら、算数はがんばったほうがいい。
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人生には、ターニングポイントというモノがあるらしい。僕は、まだわずか13年しか生きていないので、今のところ語れるほどのドラマはないように思う。 振り絞って考えてみても、中学受験のことぐらいしかない。 はっきりしていることは、もしも中学受験をしていなかったら、今の僕にはなれなかったということ。 中学受験をしなかったら間違いなく、僕の黒歴史は今も続いているだろう。
こうして考えると、中学受験が僕にとって人生のターニングポイントといえなくもない。 じゃあ、中学受験の過程において「何が僕を変えたのか?」「どうして僕は変われたのか?」という疑問に突き当たる。 そのこたえを見つけるには、思い出したくもない、黒歴史の中の自分を見つめ直すしか方法がない気がする。
小学生の嘘はすぐバレる…
今回は、僕がついた嘘と、塾で迷惑をかけたときの話をしようと思う。正直、もう二度と繰り返したくない失敗だけど、あえて振り返ってみる。
普段、僕は塾の授業をサボったり、仮病を使って休むことはほとんどなかった。見た目は真面目に通っていた。サボりたいと思うことはあったけど、友だちがたくさんいるから塾に行くこと自体は嫌ではなかったんだ。
母からよく「高い授業料払っているんだし、塾にはいつも先生がいるんだから、授業が始まる前も終わった後も、必ず自習室で勉強しなさい」と言われていたけど、自習についてはよくサボっていた。「自習室に行ってくる!」と母には言いながらも、結構、友達の家に遊びに行ってゲームをしたり、すぐには塾に行かず公園で遊んでから行っていた。
ある日のこと。いつものように母に嘘をついて、友だちの家で『マインクラフト』に熱中していた時のこと。ふと子ども携帯を覗くと、「お母さん(17件)」の文字が出ていた…。ヤバい、これはまずいとたらりと冷や汗が出た。
恐る恐る電話をかけると、母は開口一番こう言った。
「今、自習室にいるの?」
(え、なんでそんなこと聞くの?)と内心焦りながらも、「うん、そうだよ」と即答した。実は、塾のカードキーで入室状況が保護者に通知される仕組みがあったんだけど、ズル賢い僕はそのカードキーの存在を母に言っていなかった。だから、「バレるわけがない」と安心していたんだ。
しかし、母は一呼吸おいて、落ち着いた声で…
「塾にあなたが自習室にいるかどうかを確認したのよ」
まさに「天国から地獄」とはこのこと。内心(え、そんな手があったの!?)とパニックになったけど、バレてしまったからにはぐうの音も出ない。慌てて友だちの家を飛び出し、塾へ行くと、受付のところで塾の中でも一番怖い先生が鬼のような形相で待っていた。
「お前はお母さんをだましていたのか!」と、首根っこを掴まれ一喝された。思い切り説教された上に「そんなことやっているから、成績が上がらないんだよ。しばらくここで反省しろ!」と、自習室の隅っこに置き去りにされた。やっと解放されたのが夜の9時。
落ち込んだ気持ちで帰宅すると、母は僕を冷たい目でにらみつけ「嘘をついた罰です。反省文を書きなさい!」と原稿用紙を突き出した。仕方なく書き始めましたが、なんだか悲しくなって涙が出てきた。そんな僕をみた母は「何泣いてんのよ! 泣きたいのはママのほうよ」とさらに叱られたのだった…。
母がよく言っていた「子どもの嘘なんて、大人はすぐに見破る」。本当にその通りだ。中学生になった今、思い返してみると、本当にバカだなぁとつくづく思う。小学生のときなんて、きっと顔に全部出ていたんだろうなと、今では笑えてくる。
読者の方はこの事件で僕が懲りたかと思うかもしれないが、その後もたびたび、すぐにバレるしょうもない嘘をついていた。そんなことを繰り返すもんだから、その後、地獄のような日を迎えることに…。その話はまた別の機会ですることにします。
成績が伸びないのは、先生のせい!?
今紹介した嘘以上に、恥ずかしいことをやっていた。
僕の通っていた塾では、困ったことや分からないことがあれば、いつでも先生や大学生に質問できる学習サポート環境が整っていた。しかし、僕はそれを悪用して、わざと分かっている問題を分からないふりをして聞いていた。何でそんなことをしていたかというと、質問をすることで「勉強に意欲的だと思われたい」「先生から注目されたい」「日頃からコミュニケーションをとって仲よくなっておきたい」とか、そんな理由があったからだ。要するに自習時間を無駄にしていた。
今になって考えれば、先生や本当に勉強したいと思っている生徒の邪魔をしていたように思う。言ってみれば、「時間泥棒」のようなことをしていた。
自分でもあきれてしまうことが他にもある。入塾テストのときは難問が解けて「成績が伸びる可能性がある」と言われたのに、一番下のクラスからはなかなか抜け出せない。僕は僕なりに努力しているのに、その原因は先生の教え方が悪いからだと思っていた。
そう思う理由としては、一番上のクラスは塾長を始めベテランの先生たちが教えてくれる。だけど、一番下のクラスは毎週のように先生がかわり、時にはバイトの大学生が教えることもあった。(こんなんじゃ成績が伸びるわけないよなぁ)なんて思っていた。
その実を言うと、僕も含め、一番下のクラスにいる生徒は、宿題をやらない、算数の途中式も書かない、小テストで間違ったところも復習しないまま放置。ただただ面倒くさいというだけで、塾から指導を受けている勉強法は無視して、自分勝手なやり方で勉強しているフリをしていた。宿題は、いつも答えを見て写していた。要するに手を抜いて、いい加減な勉強をしていた。今から考えれば、成績なんて伸びるわけがない。
そんないい加減なやり方をしているのに、教えてくれていた先生の責任だと思っていた。なんとも愚かな話だ。母には悪いけど、あの時期は、「塾代をドブに捨てていた」と言われても仕方がないだろう。
今になって思うけど、嘘をついたり楽をしたりしても、結局は自分のためにならない。これを読んでくれている小学生の皆さんには、僕のような失敗はしてほしくない。嘘やサボり、手抜きからは、何も得るものなんてないから…。
さらに、僕は人によって態度を変えるズルいやつでもあった。怖い先生、厳しい先生の授業では真面目をよそおい大人しくしているくせに、優しくて甘い先生のときには周りの友だちとぺちゃくちゃとしゃべってばかりいた。自分を甘やかしても、結局全部自分に返ってくることは身にしみてわかった。塾の先生たちには、本当に迷惑をかけてしまったと深く反省をしている。
自分の過去を思い返してみると、周りの人たちから「こいつは伸びないな」と判断されてしまうと、あきらめられてしまうことも学びました。
● 嘘をついても結局はバレてしまい、自分を苦しめるだけ。小さな嘘が積み重なれば、周囲との信頼関係は壊れる。
● 成績が伸びない原因を他人(先生)のせいにしていたが、実際は自分の努力不足や不真面目さが問題だった。
● 周囲の人からの信頼を失い「伸びない」と判断されてしまうと、そこから挽回するのは非常に難しくなる。
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執筆/清宮翔太