サイエンス好きキッズ大集結!「脱炭素」をど迫力の実験で学ぶ
「地球温暖化の原因ってなんだろう?」「脱酸素って何?」
迫力ある科学実験を通して、そんな疑問に答えることを目的に開催された本イベント。会場にはサイエンス好きキッズたちが大集結していました。

HugKum読者ファミリー「Hugラボ(ハグラボ)」から参加してくれたのは、なみちゃん(7歳)&けんごくん(5歳)。好奇心が旺盛でさまざまな分野に興味・関心があるふたりも、「脱炭素」というテーマに触れるのは今回がはじめてです。一見難しそうなテーマですが、はたしてイベントは楽しめるのでしょうか…?!
地球温暖化ってなに? 原因や問題を実験で見える化
子どもたちの期待が高まる中登場したのは、YouTube登録者数100万人超えのサイエンスアーティスト・市岡元気先生と、数々のドラマやバラエティ番組に出演して注目を集める人気子役・永尾柚乃ちゃん。元気先生の実験を、柚乃ちゃんが“特別助手”としてサポートします。

柚乃ちゃん:科学実験が大好きなので、今日はとても楽しみです!
元気先生 :たくさん実験を用意してきたので、ぜひ楽しく「脱炭素」について学んでいただければと思います!
地球温暖化の原因は?
さっそく話題になったのが、「地球温暖化」。地球温暖化とは、文字通りに地球の平均気温が上昇する現象のことを指しますよね。
元気先生 :地球温暖化が進むと、夏がこれ以上暑くなるほかにも、色々な問題が生じます。
その原因となるのが、わたしたちも呼吸として出している二酸化炭素です。二酸化炭素は、太陽の光による熱を地球に保ち続けてしまう「温室効果ガス」のひとつなのです。
元気先生 :ちなみに、二酸化炭素ってどこにあるんだろうね。
柚乃ちゃん:目には見えないんですけど……。
元気先生 :そう、目には見えないんだよね。目に見えるようにする方法があるので、やってみましょうか。
二酸化炭素=目には見えない、という話題から始まったのが、ひとつ目の実験。会場に用意されたのは液体窒素が充満したマイナス200℃の容器と本物のバラです。

柚乃ちゃんが容器にバラを入れてみると……


なんとバラがカチンコチンに凍って、握ると粉々になってしまいました!
同じように、今度は風船を入れてみます。

すると……。

こんなに小さく萎んでしまいました!
写真からは分かりませんが、風船の中には水が生じています。
二酸化炭素が冷えるとドライアイスになるのと同じ現象が起き、風船の中に入っていた空気の中の二酸化炭素が冷えて液体化したのです。

でも、息を吹きかけるとまるで何もなかったかのように元通りに。
地球温暖化は何が問題になるの?
では、そんな二酸化炭素を原因とした地球温暖化が進むと、一体何が問題なのでしょうか。以下のようなクイズが出題されました。
①チョコが食べられなくなる
②南極の氷が溶ける
③強い台風が多くなる

けんごくんも張り切って参加してくれています。
そしてこのクイズ、実は選択肢「全部」が正解でした!
元気先生 :世界中で栽培されている植物はその環境に合った状態で育っているんです。だから、温度が変わったり雨の量が変わったりすると育たなくなってしまいます。チョコレートの原料・カカオも雨が足りないと栽培できません。
南極の氷が溶けるのも問題ですね。南極の氷が温暖化によって溶けてしまうと、海の高さが上がってしまいます。すると、人間が住める地域が海に沈んで少なくなるかもしれないんです。
3つ目の強い台風が多くなる、というのはなぜなのか。ちょっと分かりにくいと思うので実験してみましょうか。

元気先生 :水とお湯の入ったビーカーに、液体窒素を入れてみます。強い台風は、大きい雲ができることによって生じます。僕たちの周りには目には見えない水蒸気というものがあるんだけど、これが冷えることで雲ができるんですね。なので、まずは水に液体窒素を入れて雲を作ってみましょう。
いくよ、せーの!

元気先生 :雲ができました。ちょっと今のサイズ、覚えておいてください。今度はお湯の方に液体窒素を入れてみます。

元気先生 :大きな雲ができました! 地球温暖化によって海の温度が上がってしまうと、大きい雲ができやすくなります。すると、大きい台風や急なゲリラ豪雨、積乱雲など、異常気象が発生しやすくなると言われてます。地球温暖化を防いでいかないと、僕たちが住む環境が暮らしにくくなってしまうということなんです。
「脱炭素」へのアクション『HTT』とは?
地球温暖化が、わたしたちの暮らしをおびやかすものであることが実験を通してよくわかりましたね。この地球温暖化を食い止めるには、原因となる二酸化炭素を減らすことが大切です。
「二酸化炭素とはCO2。このCは炭素を指します。なので、脱炭素。炭素を減らす取り組みが必要になります」と元気先生。そんな二酸化炭素を国内でもっとも多く排出しているのが「火力発電」なのだとか。

柚乃ちゃん:なるほど、じゃあ、電気を使わなければいいんですかね?
元気先生 :なかなかいきなり電気を使わないっていうのは難しいかもしれません。だから、無理せず電気を節約していく方法があったら良いですよね。そこで、地球を守るための合言葉を紹介します。それが『HTT』なんです。
『HTT』とは「【H】へらす・【T】つくる・【T】ためる」といった、脱炭素社会の実現に向けてできるアクションの頭文字をとった合言葉。
では、電気をへらすアクション、つくるアクション、ためるアクションとは、それぞれどのようなものなのでしょうか。
【H】へらすためにできることとは
「へらす」方法のひとつには、電球の種類を選ぶことがあります。このことについても、実験を通して先生が解説。
元気先生 :手回し発電機を使って、白熱電球とLED電球の2種類をそれぞれ点けてみましょう。

すると、白熱電球の発電には5人で集まってもなかなか難航…! 白熱電球にはたくさんのエネルギーが必要とされることがわかりますね。
一方、LEDはどうでしょうか。

LEDは柚乃ちゃんひとりでも簡単にすぐに点灯! 少ないエネルギーで効率良く電気が使える=省エネといえます。
ほか、熱が伝わりやすい素材の実験では、断熱材やカーテンが室温を保つのに役立ち、エアコンの節電につながることも知ることができました。
【T】つくる・【T】ためるには?
「つくる」方法については、太陽光パネルを使って家の中の電気を再現したプロペラを回す実験とともに教えてくれました。

太陽光発電は、火力発電のように二酸化炭素を排出しないので地球にやさしい発電方法と言えます。

「ためる」方法については、太陽光パネルで作った電気を、先生自作の電気自動車内の蓄電池に貯める様子を見せてくれました。
晴れの日の日中に太陽光パネルで電池を作って蓄電池に蓄えておけば、雨の日や夜間でも、二酸化炭素を発することなく電気を使うことができるのです。
化学反応で光る照明?!
イベントの最後には、化学反応によって光を発する「化学発光」の実験で大盛り上がり!


元気先生 : これはNASAが開発してロケットでも使おうとしていた化学反応なんです。化学が発達すると、いつかは電気を使わない照明ができるかもしれないですね。
大盛況のうちにイベントは終了。周囲からは、参加していたお子さんたちの楽しげな声が聞こえてきました。
「Hugラボ」キッズも楽しめた様子!さっそくHTTを実践

なみちゃん:雲の実験は、水の方が雲が大きくなると思ったのにお湯の方が大きくなったのでびっくりした。そして、たくさん勉強になりました!
けんごくん:面白かった! 知ってることたくさんあった!
「Hugラボ」から参加してくれたけんごくん&なみちゃん姉弟も充実した時間を過ごせたようです。お家に帰ってからは、早速「電気すぐ消さなきゃ!」と『HTT』を実践していたのだとか! まずは「脱炭素」を意識をすることが大切ですね。
まずは身近なことから!「脱炭素」で地球を守ろう
「脱炭素」と聞くと、「なにかを我慢しなければいけない…?」と身構えてしまう人も多いのではないでしょうか。けれども実際には、ちょっとした省エネや節電への心掛けから始められることが、今回のイベントから伝わってきましたね。たとえば、電球をLEDに変えたり、カーテンを活用したり……そこから次第に、太陽光パネルや蓄電池などへも興味を広げ、『HTT=【H】へらす・【T】つくる・【T】ためる』を実行できるのが理想的です。身近なことから「脱炭素」を目指してみましょう!
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取材・文/羽吹理美