成績は順調！受験までのストーリーはこちら
1月校から受験がスタート
――1月校は受験しましたか？
母：同じ学校を3回受験しました。
父：最初に2連敗。不合格でした。敗因は、過去問を解くこともせずに受けたことだと思います。完全にリサーチ不足でした。
――合格発表は親子一緒に見たのですか？
父：はい、本人が結果を知りたいと言うので。一緒に見て、「不合格」と分かった瞬間、「あ、やらかしてしまった」みたいな顔をして、その場からいなくなりました。本人はショックだったのかもしれませんが、そこでようやくのんびりマイペースな息子のスイッチが入ったようでした。
――お父さんとお母さんはショックでしたか？
父：いえ、結構、楽観的にとらえていました。うちの場合、本番は2月1日ですし、何の対策もしないで受けたら厳しいのは当たり前だよなあという感じで。
――3回目の結果は？
母：ようやく〇をもらえました。息子は、ちょっと気持ちが落ち着いたようでした。
父：本人は、全落ちが怖かったみたいです。
父：でも、それまで楽観的に捉えていたのですが、親として少し不安な出来事がありました。その学校は合格最低点が開示されているのですが、息子の結果がかなりギリギリの合格ラインだったんです。試験の後「すごくできた！」と言っていたので、「あれ？」と…。
教科ごとの結果を見ても、やっぱり苦手な算数が思った以上にできていない印象でしたが、本人は初めての合格をもらえて、とても喜んでいました。その学校もいわゆる難関校ではあったので、本番に向けて自信もついたようでした。
いよいよ本番がスタート！
――2月1日の受験校はいかがでしたか？
父：午前中に志望度の高いB校、午後は模試ではA判定が出ていたC校を受験しました。
――その結果は…？
父：B校は×、C校は〇（一般クラス）でした。
――2月2日は？
父：午前中に第一志望校のA校を受験しました。1日のC校が〇だったので、午後は受験しませんでした。
――3日は？
父：もう一度、C校を受験しました。C校には、一般クラスと難関クラスの2つがあるので、難関クラスまたは特待生を狙って受験したのです。1日と同じ一般クラスは〇でしたが、難関クラスには手が届きませんでした。
――この時点でのお子さんの様子はいかがでしたか？
父：B校の発表のときは「まだ、A校があるから」と思っていたようですが、A校も×だったときは、さすがに泣いていました。
――4日以降はどうでしたか？
父：4日はどこも受験せず、塾に行って勉強していました。5日ももう一度C校を受けたのですが、そのときは×でした。それで、我が家の受験は終了したのですが、この後、思ってもみないことが起きて…。
――繰り上げ合格でしょうか？
父：いいえ、C校で、3月に入学者全員による組み分けテストが行われたのです。そのテストで、一般クラスから難関クラスへ数名移動になったのですが、息子もその数名に入れたのです。最終的に、念願だった難関クラスに入ることができて、本人も大喜びでした。
母：繰り上げ合格とは違いますが、うれしい結果になりました。
父：辛い日もありましたが、最終的にはハッピーな終わり方ができたと思います。
受験を終えて、今、思うこと
――受験を終えての感想は？
父：結果的には、第三志望への進学となったのですが、家から近いし、本人のやりたい部活動もあるし、良かったと思っています。
母：もしA校に受かっていたら、往復で通学に3時間弱もかかっていたんです。そういう意味では、家から近いC校は朝早くに起きなくてもいいし、私も良かったと思います。
周囲の人からの「おめでとう」に救われた
――おじいちゃんやおばあちゃんも喜ばれたでしょう？
父：とても褒めてくれて、本人は本当にうれしそうでした。正直、私は第3希望だったし、そんなに褒めてくれなくても…という気持ちでしたが、おじいちゃんやおばあちゃんから「難しい学校に合格できてすごいね」「えらいね」と祝福されて、本人の気持ちも明るくなったと思います。
仲間の親御さんたちの心遣いもありがたかったです。「残念会」ではなく「お祝いの会」を開いてもらって、子どもは「喜んでいいんだ」と思えたようです。
息子から言われた「ダメだった僕の気持ちなんか、分からないんだ」
母：本当に、周囲の人には助けてもらいました。実は、私、子どもの気持ちを傷つける言葉をかけてしまって…。
――傷つける言葉とは？
母：C校は徒歩で通える距離なのですが、子どもが自転車通学したいと言い出したのです。それまで考えてもいなかった選択肢だったので、少し言い争いになりました。「自転車通学はダメなんて、今までそんなこと言ってなかったじゃないか」という息子に、「だって、A校かB校に進学すると思っていたから…」と言ってしまったんです。本人には、とてもショックな言葉だったようで、「A校もB校もダメだった僕の気持ちなんか、分からないんだ！」と泣きました。
父：正直、その言葉を聞いたときはかなり私も落ち込んだんです。でも、自分の気持ちをストレートに親に吐き出せるようになったことが息子の成長を感じた瞬間でもありました。
母：中学校では、勉強も部活動も頑張って、どんどん成長していってほしいと願っています。
今後の受験生パパ・ママへのアドバイス
――先輩パパ・ママとしてのアドバイスをお願いします。
母：親がハリネズミのようにトゲトゲしないほうがいいと思います。私は、良好な親子関係でいたいという思いがベースにあったので、トゲトゲしないように気を付けていました。中学受験で親子関係が崩壊したら、本当に取り返しがつかないですから。
父：中学受験は、最後の親子の共同作業、二人三脚みたいに言われていますが、我が家は勉強面での伴走はしていなかったので、共同作業をした感じはないんです。でも、息子の中学受験を通して、親子ともに成長できたと思います。さらっと全部受かってたら多分分からなかった悔しい思いや挫折感を通して、いろいろ考えるところがありました。
――受験を迎える前にしておきたいことは？
父：第一志望に落ちたケースの体験談は役に立つと思います。中学受験後、親の方が引きずると聞いてはいたのですが、じゃあ、実際、どういうふうに自分がへこむのかが全く想像ができず、心の準備ができていなかったので。親のほうも、何かしら準備は必要だと思います。ただし、6年生の親御さんにはおすすめできませんが…。
母：不合格は、失恋と同じなのかもしれません。へこむし、引きずるし…。憧れていた人（学校）に振られても、急には気持ちがついていけませんよね。立ち直るのに時間がかかるのは当たり前。親が勝手に学校に恋をしてふられちゃったんだなと思ったら、ちょっと笑えて気持ちが楽になりました。
――お子さんの将来への期待は？
父：期待するよりは、もう見守るって感じですね。どんな職業に就いてほしいなど親からの希望はないですが、面白い人間になってほしいなと思っています。
――ありがとうございました。自然体で挑んだ中学受験。そして結果を前向きに捉えたけいくん親子。素晴らしい中学校生活が送れますように。応援しています！
前編から読む
ほかの体験記もチェック
取材・文／ひだいますみ
