「塩麹」と「しょうゆ醤」の発酵調味料を日常づかい。4つのかんたんレシピで、時短&栄養満点の発酵ごはん

発酵料理教室「神楽坂発酵美人堂」の店主清水紫織さんは、妊娠をきっかけに体質改善、腸内改善を追究した結果、発酵の素晴らしさにたどり着いたと言います。

著書の『親子でおいしい発酵ごはん』では、多忙な子育て世代向けに、簡単にできる110の発酵レシピを紹介。発酵とはそもそも何か、家庭で作れる2大発酵調味料「塩麹」「しょうゆ醤」を使った簡単なレシピもうかがいました。

※この記事は『親子でおいしい発酵ごはん』(著者:清水紫織/グラフィック社 )の一部を引用・再構成しました。[撮影:小嶋文子、スタイリング:鈴石真紀子]

そもそも「発酵」って何?

酒、醤油、味噌、ビール、ヨーグルト……私たちの身近にはたくさんの発酵食品があります。発酵とは、微生物の働きで食物が変化することで、旨みが増したり、栄養価が高まったり、保存性がアップするといった、人間にとって有益に作用することをいいます。

腐敗は、発酵と同じく微生物の働きによるものですが、両者は似て非なるもの。人間にとって有益なものが「発酵」で、有害なものが「腐敗」です。ただし発酵していれば、腐敗しないとはかぎりません。

さて発酵させる微生物の代表的なものに、麹菌、酵母、乳酸菌、酢酸菌があります。なかでも麹菌は、醤油、味噌、酒、みりんなど日本の代表的な発酵食品に欠かせない麹をつくる菌。原料は、米、麦、大豆などの蒸した穀物です。

麹菌はたんぱく質をアミノ酸に分解するプロテアーゼ、でんぷんをブドウ糖に分解するアミラーゼ、脂質を分解するリパーゼといったさまざまな酵素を生成し、食物を発酵させます。

いつもの調味料を発酵調味料に変えるだけで、身体にやさしい発酵ごはんが楽しめます。まず麹菌を用いた基本の発酵調味料、塩麹としょうゆ醤について紹介します。

万能調味料の塩麹

塩麹は日本の伝統的な調味料の一つです。東北や北陸地方を中心に、古くから野菜などの漬け床として使われてきました。

肉や野菜の下ごしらえに漬け込んで旨みを引き出したり、柔らかくしたり。また魚の臭みをとることもできます。塩の代わりに炒め物に加えるだけで、味が決まります。まさに万能の調味料です。

塩麹の作り方は簡単。米麹に塩と水を混ぜあわせるだけ。『親子でおいしい発酵ごはん』ではヨーグルトメーカーあるいは炊飯器を使って安全に作ることができる「減塩塩麹」のレシピを紹介しています。ダシの旨みを加えることで塩分をカットすることができました。

醤油のもとになったしょうゆ醤(ひしお)

『万葉集』の歌にも詠まれているという醤。古代の醤は、魚、獣肉、大豆などに麹と塩を加えて熟成し、発酵させた塩辛風のもので、そのまま食用にしたり、調味料として使われたりしていました。

醤油よりもまろやかで旨みがあるしょうゆ醤。納豆や豆腐、お刺身にかけてもよし。肉や野菜にまぶしてひと晩置くだけで、立派な発酵メニューになります。

材料は豆麹と麦麹をミックスしたひしお麹に醤油、昆布、水とシンプル。『親子でおいしい発酵ごはん』では、塩分控えめでダシの旨みをプラスした「減塩しょうゆ醤」のレシピを紹介。「減塩塩麹」同様、ヨーグルトメーカーあるいは炊飯器で作ることができます。

塩麹としょうゆ醤を日常づかいに! かんたんレシピ4選

お弁当にもOK! 塩麹 漬けゆで卵

  • 材料(1人分)
  • ゆで卵…1個
  • 塩麹…大さじ1
  • 水…大さじ1
  • 作り方
  • ポリ袋で1:1の割合で混ぜた塩麹と水、殻をむいたゆで卵を漬けて冷蔵庫で数時間〜ひと晩寝かせる。

優しい味つけに…さつまいも 塩麹 ごはん

  • 材料(作りやすい量)
  • 米…2合
  • 塩麹…大さじ1
  • さつまいも…150g
  • 水…400㎖
  • 作り方
  • 洗って浸水した米と一口大に切ったさつまいもと一緒に塩麹、水を加えて炊飯する。

しょうゆ醤を混ぜるだけ! しょうゆ の納豆ごはん

  • 材料(1人分)
  • ごはん…1膳(150g)
  • 納豆…1パック(30〜40g)
  • しょうゆ醤…大さじ1
  • 作り方
  • 納豆のタレ代わりに、納豆としょうゆ醤をよく混ぜ、ごはんにかける。

箸が止まらないおいしさ! 野菜スティックの マヨディップ

  • 材料(作りやすい量)
  • お好みの野菜…適宜
  • しょうゆ醤…大さじ1
  • マヨネーズ…大さじ1
  • 作り方
  • マヨネーズとしょうゆ醤を1:1の割合で混ぜ、生野菜やゆでた野菜につける。

時短にも健康管理にも『親子でおいしい発酵ごはん』

子どもが生まれてから口に入れるものに気をつかうようになったママ・パパ向けのレシピシリーズ「親子ですこやかシリーズ」第一弾。発酵料理教室「神楽坂発酵美人堂」の店主清水紫織さんが、子どもとおいしく食べられる発酵ごはんを伝授しています。

基本の発酵調味料「減塩塩麹」「減塩しょうゆ醤」の作り方や、発酵調味料を使ったメインのおかず&野菜の副菜おかずを紹介するほか、麹甘酒やみりんを使ったスイーツ、玉ねぎ醤、発酵ケチャップなどさらにステップアップした発酵調味料のレシピも掲載。作り分けせず、子どもも大人も一つの鍋で一緒に食べられるので時短につながり、麹の力で腸活にも効果的な発酵レシピを、ぜひご活用ください。

発酵調味料で苦手な野菜もバクバク食べられる!

子どもが食べ慣れないケールをチップス感覚で楽しめる「ケールのパリパリ焼き」と、塩麹とバターの組み合わせが絶妙な「アスパラガスとじゃがいもの塩麹バター炒め」。Chapter3の「野菜の副菜おかず」では、発酵調味料を使い子どもが苦手な野菜の苦味やクセを減らし、おいしく食べられるレシピが満載。

『親子でおいしい発酵ごはん』発売記念イベント開催!

7/27(日)、『親子でおいしい発酵ごはん』の発売記念イベントが東京・麻布台ヒルズの大垣書店で行われます。著者の清水紫織さんと本書にも登場している食育スペシャリストのとけいじ千絵さんによるトークショー、掲載レシピの試食や発酵調味料を仕込むデモンストレーションなど、内容盛りだくさんです。

お申し込みなどくわしくは下記URLでご確認ください。

https://www.books-ogaki.co.jp/post/60496

著者紹介

清水紫織(しみず・しおり)

発酵料理教室「神楽坂発酵美人堂」店主。J.S.A.ソムリエ。妊娠をきっかけに自身のアレルギーについて学ぶなかで、腸内環境を整える重要性に気づき、発酵食品の魅力を知る。東京農業大学醸造科学科で学びながら2015年に発酵料理専門の料理教室と食品ブランド「神楽坂発酵美人堂」を立ち上げる。2023年から山梨県甲州勝沼にもアトリエキッチンを作り、都内でのレッスンに加えて2拠点生活をスタートしている。2児の母。著書に『はじめてでも、とびきりおいしくなる!発酵料理のきほん』(朝日新聞出版)などがある。

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構成/国松薫

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