
算数の単元で苦手とする子が多い「時計・時刻」。算数は積み上げの教科であるため、一つの単元でつまずくと、それ以降の単元がさらにわからなくなる、という事態になりかねません。「時計・時刻」の理解不足は、速さの計算など高学年の学習に大きく影響します。今回は、「時計・時刻」がつまずきやすい理由と家庭でのサポート方法を紹介します。
▼小学生がつまずきやすい他の単元については、こちらの記事もお読みください。
「時計・時刻の単元」つまずきやすいポイントは3つ!
小学生でも特に1年生にとって、時計を読むのは簡単なことではありません。時計につまずく理由は大きく3つあります。
①長針・短針の役割がごちゃごちゃになる
最近ではデジタル時計を使うことも多いため、幼少期にアナログ時計に触れる機会がない生活をしている子も多いです。数字が多く並ぶアナログ時計に慣れておらず「どの針を見ればいいか」がわからなくなりがちです。特に「短針が動いている」という事実に気づきにくいことも混乱の原因となっています。
②「○分前」「何時間後」などの感覚がつかめない
時計は数字の足し算引き算に比べ計算が難しいため、時間の逆算を苦手に感じる子が多いです。たとえば「45分は、⚪︎時の15分前」といった表現は、子どもにとって感覚がつかみにくいものです。
③午前・午後がごちゃごちゃになる
12時間表記と24時間表記の違いに戸惑い、「午後3時って何時?」と混乱するケースがあります。また「午前は朝」というイメージを持っている子どもは、午前1時が真夜中であることに混乱します。日常生活のなかで生活リズムと時計の感覚を結びつける練習が必要になります。
3つのつまずきポイント別・理解のヒント

では、これら3つのつまずきポイントに対処するためのヒントをお伝えします。
①長針・短針の混乱を防ぐには
まずは「短針だけを読ませる/長針だけを読ませる」という練習を繰り返します。
短針と長針を分けて考えることで、 「短針が3を過ぎたら3時台」「長針が3で15分」というように、同じ3でも短針と長針で別のものを表していること、数字の読み取り方が違うことを理解できます。
②○分前・○分後の感覚を育てるには
日常生活の中で「あと何分で10時かな?」「今から30分後は何時何分かな?」と時間を意識した声かけを取り入れましょう。
時間の巻き戻しクイズをして遊んだり、ホワイトボードなどを使って時間の引き算を視覚化したりする練習も有効です。「45分は15分前」など、「60分基準」の感覚を定着させることがポイントです。
③午前・午後を理解するには
朝起きる時間、給食、夕方の習い事など、1日の流れと時間を結びつける練習をします。 体感にひもづいた学習をすることで「午前=AM」「午後=PM」という表現をただの記号ではなく実感として覚えることができます。
慣れてきたら24時間表記も取り入れて、「午後6時=18時」のような変換クイズで遊んでみましょう。
家庭でできる時計学習アイデア

ご家庭でも取り入れられる時計学習のアイデアをご紹介します。
① 手作り時計を使った「今何時?」遊び
手作りのアナログ時計は厚紙を切り抜いて簡単に作ることもできますし、100円ショップでアナログ時計を買って電池を入れず手回しで使う方法もあります。
「今何時?」遊びは、おうちの方が現在の時刻を伝えたり、デジタル表記の現在時刻を見せたりして、子どもが短針・長針を現在時刻に合わせてみるクイズ遊びです。
②時計ぴったりゲーム
タイマーを使って〇時ちょうどを当てるゲームです。たとえば、子どもにタイマーを渡し「午後3時ちょうどに鳴るようにセットしてね」と伝えます。子どもは「今は何分前か」を考える練習ができます。
③生活の中で「今何時?」を習慣化
ご飯やお風呂など、何かをするタイミングで「今何時?」と時計を読むことを習慣化します。
「だいたいいつも同じ時間だな」「今日はいつもよりお風呂が早いな」と気づくことで、規則正しい生活習慣を身につける練習にもなります。慣れてくると、先に時計を読んで「そろそろお風呂だな」と動けるようになります。
④「3分間で何ができる?」遊び
ストップウォッチを使って3分を計り、そのあいだにできることに挑戦したり、競争したりします。
たとえば、朝の身支度や、遊び終わったあとのおもちゃの片付けなど「3分間でできるかな?」とチャレンジしたり、親子で制限時間内に積み木を何個積めるか競争したりする遊びが考えられます。遊びを通して3分間がどれぐらいの長さかを体感できます。
⑤「出発まであと何分?」で逆算感覚を自然に育てる
朝の登校時間やお出かけ前に「出発まであと何分かな?」と声かけをします。
子どもは時間を逆算する練習になりますし、あと10分なら「その間にやらなければいけないことは何か」「余裕があるのか、急がなければならないのか」を自分から考えるようになります。10分前がどれぐらいかを生活に結びつけてイメージできるようになります。
[まとめ]日常生活のなかで自然に身につける
今回は「時計・時刻」の苦手をなくす方法をご紹介しました。
時計の読み方や時間の感覚は、日常生活のなかで学びやすいテーマです。問題集に頼らなくても、ご家庭での声かけや遊びを通じて、自然に“時刻感覚”を身につけることができます。無理に詰め込まず、親子で楽しみながら時計に触れていきましょう。
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記事執筆
京都大学大学院エネルギー科学研究科修了。ユーザー行動調査・デジタルマーケティングのbeBitにて国内コンサルティング統括責任者を経験後、2014年、RISU Japan株式会社を設立。小学生の算数のタブレット学習教材で、延べ30億件のデータを収集し、より学習効果の高いカリキュラムを考案。国内はもちろん、シリコンバレーのスクール等からも算数やAI指導のオファーが殺到している。HugKumでの過去の記事はこちら≫
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構成/HugKum編集部 協力/RISU


