目次
授業や教育としての図書を指導するのが司書教諭

小学校には、司書教諭という先生がいて、1997年の学校図書館法改正以降、12学級以上ある学校では常駐することが定められています。司書教諭は、子どもたちから見れば、クラス担任の一人に過ぎません。けれど、学校の図書運営には欠かせないエキスパートなのです。
例えば、「朝の読書会」や「お話会」といった、読書に関する企画やイベントを運営したり、授業で必要な本があれば、地域の中央図書館から取り寄せてくれるなど、子どもたちだけでなく、先生たちにとっても頼もしい存在です。日ごろから、子どもたちに本の魅力に触れてもらえるように考えてくれています。司書教諭はクラス担任を兼務している学校が多く、その場合図書室に常駐することはありません。
本の貸出の受付やリスト作りなど事務的な作業を担うのが学校図書
一方、図書室に常駐するのが学校司書です。学校司書は教員ではなく、本の貸出の受付や本の修繕、本のリスト作りなど事務的な作業を行います。中央図書館から派遣されたり、自治体が雇用して派遣される学校もあります。
司書教諭と異なり、絶対にいる必要はないので、学校や自治体によっては、配置していなかったり、1人が何校か掛け持ちしていたりするところもあります。担任を持っている司書教諭は、学校司書と連携をとって、図書室の業務を担っています。
先生たちには授業で使う資料となる本の相談にのり、子どもたちには本の素晴らしさを伝える
それまで学校での読書は文部科学省による指針が明確ではなく、必然的に担任の先生が担っていました。図書館や学校の図書室で探してきた本を子どもたちに読み聞かせたり、教室の一部に学級文庫のコーナーを作るなど、子どもが本を手に取りやすい環境を整えたりすることもありました。
ただ、先生はとても忙しいので、先生によっては、子どもたちの読書にまで手が回らないこともあったようです。さらに昭和の世代までさかのぼれば、教室で読み聞かせをしてもらった記憶がほとんどなかったのではないかと思います。
それが1997年以降は、司書教諭が中心となり、学校でも子どもたちを積極的に本の世界へ誘っています。

学校からお子さんがもらってくる「図書館だより」もその一つで、司書の先生が中心となって発行しています。図書室に新しく入った本や、学年ごとにおすすめの本を紹介しているので、ご家庭でもぜひ目を通してもらい、お子さんに読書の機会を設けてもらえるといいのかなと思います。
司書教諭が常駐するようになったことで、図書室の環境もぐんと良くなりました。子どもたちに人気の本だけでなく、授業や学習で役に立つ本を選定してくれたり、こちらから「こんな本が欲しい」「次の単元で動物のことをやるのだけれど、どんな本がいいか」といった相談をしたりすることもある。子どもたちだけでなく、私たち先生も、大変助かっているのです。
親子で学校の図書室をどんどん活用しよう!
子どもたちのなかには、本をまったく読まない子もいます。仮に、本を読む習慣のない家庭であったとしても、学校では図書室があり、本のエキスパートの先生がいる。つまり、子どもが本を読む環境が整っているということです。時折、子どものほうから、「こんな本が読みたい」と、直接先生にお願いしている場面を見かけることがありますが、本の好きな子がここにもいたなと、うれしくなります。
読書もデジタル化が進む昨今ですが、子どもが触れる本は、やはり紙がいいなと思います。「次はどうなるのだろう」と指でページをめくるときの高揚感は、なにものにも代えがたい経験になるでしょう。まんがでも絵本でもいいのです。子どもが読みたいと思う本がいつでも読める環境であること、それが学校図書として大切にしていることなのです。
1年生の保護者の方のお悩みを募集中! 採用された方には2000円分の図書カードをプレゼント

小学校生活がスタートしたパパママの皆さんの質問に、現役小学校教師と小児科医が回答する「『小一』ママとパパの子育て相談室」が雑誌「小学一年生」で連載中です。
「食べものの好き嫌いが多くて困っている」「毎朝起こすのが大変」など、小学1年生のお子さんにまつわる質問を大募集しています。
お悩みが採用された方には図書カード2000円分をプレゼントします。ぜひ下記より質問をお寄せください!
お悩み・質問応募は>>こちらから
私がお答えしました
低学年の担任経験が豊富で、現在は主幹教諭として教鞭をとる傍ら、先生が読む教育情報サイト『みんなの教育技術』に執筆も行う。
1925年創刊の児童学習雑誌『小学一年生』。コンセプトは「未来をつくる“好き”を育む」。毎号、各界の第一線で活躍する有識者・クリエイターとともに、子どもたち各々が自身の無限の可能性を伸ばす誌面作りを心掛けています。時代に即した上質な知育学習記事・付録を掲載し、HugKumの監修もつとめています。
『小学一年生』2025年12月号別冊『HugKum』
イラスト/メイボランチ 構成/天辰陽子
