
そもそも和製英語とはどんなものなの?
「和製英語」と呼ばれる語をご存じでしょうか? 日本で、英語の単語をつなぎ合わせたり、変形させたりして、いかにも英語らしく作った語のことです。「洋語」ともいいます。当然のことながら、それらの語は英語圏ではほとんど通じません。
「和製英語」は、たとえば「ナイトショー」「スケートリンク」「バックミラー」などがそうです。多くの国語辞典ではこれらの語を「和」(「和製英語」の略)、「洋語」などと表示して、英語の発音をカタカナに移して原語とほぼ同じ意味で使われている語と区別しています。たとえば英語のinformationはインフォメーションの形で日本語に取り入れられて、日本でも同じ「情報」の意味で使われていますから「英語」として扱っているのです。これらの語を外来語と呼んでいます。
英語のネイティブスピーカーには通じません
「和製英語」は日本で生まれた語ですから、それを外来語とみなすのはいささか問題があります。そこで、インフォメーションのような純粋の外来語と区別するために、「和製英語」をカタカナ語と呼ぶ人もいます。ただし、外来語もカタカナで表記されるわけですから、外来語も含めてカタカナで表記される語全体をカタカナ語と呼ぶ人もいます。「和製英語」はあくまでも「和製」なので、英語のネイティブスピーカーには通じません。従って、たとえば英語では、「ナイトショー」は「レイトショー late show」「スケートリンク」は「skating rink」「ice rink」、「バックミラー back mirror」は「rearview mirror」だと覚えておかなければなりません。
ただ、英語か洋語か判断に迷う語があることも確かで、辞典によって、英語なのか、和製英語なのか扱いの異なる語もあります。
もともとの英語とは違う、日本独自の意味で使われている「コンセント」

もう一つ厄介なのは、もともとの英語とは違う日本独自の意味で使われている語があることです。たとえば、英語の「trump」には、カードゲームの意味はないということを以前書きました。このような語は他にもあります。たとえば「コンセント」がそうです。アメリカ英語では「アウトレットoutlet」、イギリス英語では「ソケット socket」などといいます。「コンセントconcent」という語は『ランダムハウス英和辞典』によりますと、 (音声・音などの)一致、調和という意味の古語のようです。つまり、現代語としてconcentという語は使われていないのです。
ではなぜ日本では、配線から電気を取るためのプラグの差し込み口を「コンセント」と呼ぶようになったのでしょうか。従来、プラグ(電気コード先端の差し込み)と差込口を組んだものを「コンセントプラグ」と呼んでいましたが、大正の末頃に、現在の東京電力の前身である東京電燈会社が電気工事規程を起草するにあたって、「コンセント」と「プラグ」に分け、「コンセント」はもっぱら差込口に対して用いるようになったからだといわれています。
和製英語は日本国内で使う分には問題ありませんが、いかにも英語らしくできているので、海外で使うときにはじゅうぶん気を付ける必要があるでしょう。
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監修

辞書編集者、エッセイスト。元小学館辞書編集部編集長。長年、辞典編集に携わり、辞書に関する著作、「日本語」「言葉の使い方」などの講演も多い。文化審議会国語分科会委員。著書に『悩ましい国語辞典』(時事通信社/角川ソフィア文庫)『さらに悩ましい国語辞典』(時事通信社)、『微妙におかしな日本語』『辞書編集、三十七年』(いずれも草思社)、『一生ものの語彙力』(ナツメ社)、『辞典編集者が選ぶ 美しい日本語101』(時事通信社)。監修に『こどもたちと楽しむ 知れば知るほどお相撲ことば』(ベースボール・マガジン社)。NHKの人気番組『チコちゃんに叱られる』にも、日本語のエキスパートとして登場。新刊の『やっぱり悩ましい国語辞典』(時事通信社)が好評発売中。
