「もふもふ」すること、なんて言うか知ってる?【知って得する日本語ウンチク塾】

国語辞典編集者歴44年。日本語のエキスパートが教える〝知ってるようで知らなかった〟言葉のウンチクをお伝えします。

「もふもふ」から生まれた「もふる」といいう動詞

みなさんのお宅には、“もふりたくなる”ようなペットはいますか?我が家にも少し前までメインクーンという長毛種のネコがいて、私もしょっちゅう“もふらせてもらって”いました。

ところでこの「もふる」という語ですが、どういう意味かおわかりでしょうか?イヌやネコなどのペットを飼っている人でしたら聞いたことがあるでしょうし、普通に使っているかもしれませんね。最近の辞書でも、見出し語にしているものが少しずつ増えてきました。

「もふる」は「もふもふ」というオノマトペから生まれた語です。

「もふもふ」も新しい語で、2000年以降に生まれた語だと考えられています。動物の毛などが豊かで、やわらかい触り心地であるさまを表す語です。SNSなどで使われ始めた語のようですが、残念ながら誰が作った語なのかはよくわかっていません。

今は動物の毛などに対して使うことが多いようですが、「もふもふのメロンパン」などのように、最初は食べ物に対しても使うことがあったようです。どうやら、やわらかい感じを表現した語として生み出されたようです。確かに、「も」と「ふ」の連続音はやわらかな感じを表しているような気にさせられます。

「もふもふ」と「ふかふか」

似たような意味の語に「ふかふか」がありますが、「もふもふ」の方が動物の毛の量が一段と多い印象を受けます。

そして注目すべきことは、「もふもふ」は「ふかふか」にくらべて、変幻自在といいますか多様な変化がみられる語だということです。

「もふもふした子ネコ」のように「する」を付けて用いられたり、「もふもふな子イヌ」のように形容動詞として用いられたりするのは「ふかふか」も同じですが、「もふもふ」は「我が家のもふもふが……」などと名詞的にも用いられることがあります。この用法は「ふかふか」には見られません。

また、このような「もふもふ」していると思われるものを触ったり撫でたりするという意味で、「ぬい(ぬいぐるみ)をもふもふする」のような使われ方までするようになりました。さらには、「もふもふする」の省略形で、冒頭に示した「もふる」という動詞まで生まれたのです。比較的短期間にこうした変化が生じたというのは、「もふもふ」「もふる」は、辞書編集者にとってとても興味深い語なんです。

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記事監修

神永 曉|辞書編集者、エッセイスト

辞書編集者、エッセイスト。元小学館辞書編集部編集長。長年、辞典編集に携わり、辞書に関する著作、「日本語」「言葉の使い方」などの講演も多い。文化審議会国語分科会委員。著書に『悩ましい国語辞典』(時事通信社/角川ソフィア文庫)『さらに悩ましい国語辞典』(時事通信社)、『微妙におかしな日本語』『辞書編集、三十七年』(いずれも草思社)、『一生ものの語彙力』(ナツメ社)、『辞典編集者が選ぶ 美しい日本語101』(時事通信社)。監修に『こどもたちと楽しむ 知れば知るほどお相撲ことば』(ベースボール・マガジン社)。NHKの人気番組『チコちゃんに叱られる』にも、日本語のエキスパートとして登場。新刊の『やっぱり悩ましい国語辞典』(時事通信社)が好評発売中。

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