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塾は慣れる期間を考えて、ゆっくりスタートがおすすめ

―佐藤さんのおうちではいつ塾に入りましたか?
佐藤 わが家の子どもたちは、長男、次男、三男の上3人は4年生から塾に通いました。
一番下の長女だけ2年生から通っていました。女の子は男の子に比べて体力がないので、時間をかけてゆっくり勉強したほうが負担にならないと思ったからです。
―塾に通い始める時期はいつが適しているとお考えですか?
中学受験は4年生からが本格的なスタートですが、最近は東京など都市部を中心に塾に通い始める時期が早くなっていて、席を確保する意味で早めに入塾する場合があると聞きました。
私は塾に通うことに慣れる期間を1年ほど設け、3年生ぐらいからゆっくりスタートするのがいいかと思います。この時期は成績は二の次にして、慣れることを目標に見守ってあげてください。
私の実感としては1年生からの入塾は少し早いかなと思います。前回も述べたように小学1~2年生はまだ幼稚園児の延長線上にいる感じで幼いです。特に1年生だと小学校に慣れるので精いっぱいなので、通塾が負担になりかねません。お子さんの体力や生活を見て無理をしないほうがいいと思っています。
大手塾、中規模塾、個人塾それぞれに特色があります。我が子に合う塾を見極めて

―大手塾、中規模塾、個人塾と塾の規模もいろいろで、塾選びに迷います。
佐藤 それぞれに良さがあるのでお子さんの個性に合わせて選べばいいと思います。
まず、大手塾ですが、組織がしっかりしていてテキストの内容が練られていて、いい先生がそろっているので、通いやすいと思います。選択肢としては無難と言ってもいいでしょう。たくさんの子が通っているので切磋琢磨して勉強できるのもいい点です。
うちの子どもたちは4人とも現在、関西を中心に東京、愛知の都市部に教室を持っている浜学園にお世話になりました。授業は家に近い教室で受け、大きな模擬試験があるときは電車で1時間以上かけて本部がある教室に行って受けていました。
―中規模校のいい点はどこにありますか。
佐藤 大手ではないけれど、地域に数拠点の教室がある中規模塾のいい点は、小回りが効き規模が限られている分、分からない点があればすぐに先生に聞けることだと思います。大手塾の中には成績順に席が決まるなど、生徒間の競争が厳しいものがあると聞きますが、大規模塾の雰囲気になじめない子どもには規模が小さい塾が向いているでしょう。
わが家の子どもたちはわが家から近い浜学園の教室に行きましたが、入塾したときはまだ規模が小さく、人数が少なかったので子どもたち同士がすぐに仲良くなれました。私も事務室のスタッフの方と親しくなって、分からないことがあれば電話してすぐ答えていただいたり、子どもたちも授業後にスタッフの方と親しくお話ししたりして、温かな雰囲気の中で勉強することができたのはよかったと思います。小規模でも成績などはほかの教室も合わせて塾全体を見ての偏差値が出るので、成績が分かりにくいことはありませんでした。
―個人塾はどうですか?
佐藤 先生が1人で開いている塾が個人塾です。中学受験に実績のある先生が独自のやり方で運営しているので、先生の個性や指導法が子どもにぴったりと合えば効果があると思います。
塾に通い始める低学年から3年生ぐらいまでは、家に近い個人塾や中規模塾に通い、子どもの成績や目指す方向が決まってから、大規模校に移るというのもいいでしょう。
体に負担がかかからないよう、自宅に近い場所にあることが望ましい

―塾を選ぶポイントについて教えてください。
佐藤 もちろん、塾のカリキュラムや実績が大事です。なんとなく目指している中学があったとして、その中学校への合格実績が1名とかだったら考えてしまいますよね。塾の雰囲気はその塾に通わせた経験がある方に評判を聞いてみましょう。
私は長男が塾に通おうとしたとき、中学受験を予定している知人に聞き、評判がよかったので浜学園を選びました。テキストを見て、易しい問題から自然な形で難しい問題へと導くような構成になっていること、子どもに分かりやすくデザインされていることも決め手になりました。
―通塾の時間はどう考えたらいいですか?
佐藤 時間と距離は大切だと思います。まだ小学生なので体に負担がかからないよう近い場所にあることが大事です。保護者の方が車で送迎するなら20~30分以内、子どもが一人で行くなら徒歩、バス、電車に乗る時間を含めて15分以内を目安にしてください。電車で行く場合は乗り換えがなく、あっても1回まで。2回も乗り換えて行かなくてはいけないのは考えものです。
親は、送迎、宿題のスケジュール作り、睡眠時間の管理のサポートに徹する

―塾に通い始めてからの親のサポートはどのようにしたらいいでしょう。
佐藤 『佐藤ママの やっておくべき9歳までの受験準備』にも書きましたが、4年生からの中学受験の勉強内容は難度が高く親が教えることはできないので、サポート役に徹したらいいと思います。具体的に言えば、私は、塾への送迎、宿題のスケジュール作り、生活時間の管理、特に睡眠時間を確保することに気を遣いました。宿題は塾のある前の日に慌ててするのではなく、3日ぐらいに分けてすると負担がありません。
その上で知識問題を覚えるときの出題役を務めたり、間違えた問題を集めたノートを作成したりしていました。
クラス分けにこだわらない。過度の欲と期待で子どもを追い詰めないで
―塾のクラス分けに落ちたり、上にいけずにいて不安になるご家庭があるようですが。
佐藤 塾にはクラス分けがあります。クラス分けして同じ水準の子どもを教えるからこそ、効率的に指導でき、学校で学ぶよりも成績が上がりやすくなります。理解が不足している子が上のクラスで授業を受けても本人は苦痛です。理解力に合ったクラスで勉強するのが一番いいので、クラス分けやクラス落ちに敏感になりすぎるのはどうでしょう。
特に小学校5年生終わりから6年生にかけてクラスが落ちたり、成績が上がらずに上のクラスに上がれないでいると、保護者の方は不安にかられ、どうにかして成績を上げたいと思われるようですが、お子さんを必要以上に鍛えようとしたり、プレッシャーを与えると子どもの心が傷つきます。
―塾での成績で親子ともども不安になることがあるようですが、アドバイスは?
佐藤 たとえば、50メートル走で、この時点で7秒で走れる子と10秒以上かかる子がいたとして、10秒以上で走る子を7秒で走らせようとするのは難しいです。無理に7秒で走らせようとすると子どもが壊れてしまいます。
中学受験で子どもの負担になるのは親の過度な欲と期待です。人生100年時代、中学受験はまだ最初の段階なので、今、50m走で10秒以上かかっても、まだ人生は先が長いので、受験の先を考えたらいいと私は考えています。このあたりは親の覚悟や人生観が問われる部分ですね。
保護者は大人ですから、自らが生きてきたこれまでの何十年かの経験を活かしてほしいと思います。その経験を基に、お子さんのこれからの将来を落ち着いて見通す大事な時期ではないでしょうか。中学受験に臨む12歳前後は、これからの子どもたちの人生において意外に奥の深い時期です。
結果的に中学受験を選択しなくとも、塾での学びは決してムダにはなりません

―親の人生観……たしかに深いですね。さて、転塾を選択するご家庭もあります。
佐藤 宿題が多すぎてこなせない場合は宿題が少ない塾に移るのもいいでしょう。いじめなど子ども同士で人間関係がこじれたなどの場合も転塾がいいと思います。ただ、成績が上らないのは塾の指導法が原因だとして、何回も塾を変える人がいますがいい結果になりません。塾によって解法が違うので、それに慣れる時間が必要です。頻繁な転塾は子どもにはマイナスです。
―途中で塾を辞め、受験をあきらめる場合もあります。
佐藤 5年生の終わりごろが多いのですが、塾をやめ、受験しない選択をする家庭が出ます。それはそれでいいと思いますが、塾をやめた途端に遊ぶばかりになるのはどうでしょう。小学校で習う内容は人生を通して役立つ大事なことばかりなので、しっかり身につけることが大事です。
また、中学受験をしなくても数年後には高校受験があるので、その対策が必要です。算数の特殊算など中学入試特有の勉強はしなくてもいいので、先のこと、つまり高校受験、大学受験で力になる勉強を始めましょう。そのヒントになるのが英語の先取り学習です。『佐藤ママの やっておくべき9歳までの受験準備』でその学習法を書いていますので読んでくださいね。
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記事監修
浜学園アドバイザー。佐藤亮子のにっこり教育サロン運営。英語教諭を経て結婚。専業主婦として4児を育て上げる。三男一女がそろって、東京大学理科3類に合格し、医師の道に進んだ。子育て法と受験テクニックに注目が集まり、講演会で全国を飛び回る日々で、著書も多数。最新刊は『中学受験しても、しなくても 佐藤ママの9歳までの受験準備』(小学館)。YouTube「佐藤ママチャンネル」は登録者6万人超え。
