「できない=面白い」! STEAM教育者・中島さち子さんに聞いた、算数・理科が好きになるヒント【キラリ☆サイエンスFes!】

3月8日の国際女性デーにあわせて、東京都がSTEM分野での女性活躍を応援するために主催した、女子小中学生が理系分野にふれるきっかけづくりのイベント「キラリ☆サイエンスFes!」が初開催されました。「理科や数学って、なんだか難しそう…」そんなイメージをくつがえしてくれる体験型イベントです。会場には、女子小中学生とその保護者あわせて356名が来場。美容やファッション、音楽など、身近なテーマから科学や数学に触れられるプログラムがそろい、子どもたちの「やってみたい!」があふれる1日となりました。今回はイベントの様子とともに、当日の登壇ゲストの一人である、数学研究者・ジャズピアニスト・STEAM教育者として活躍する中島さち子さんに、“好きから学びにつなげるヒント”を聞きました。

STEAM教育者・中島さち子さんに聞く「“好き”から始まる学び」

数学研究者・ジャズピアニスト・steAm代表の中島さち子さん

――子どもが理科や数学に興味を持つために大切なことは何だと思われますか?

中島さん:できるかどうかより、“楽しいかどうか”を大事にしてほしいです。なかなか分からないことや、うまくできないことって、実はすごく面白いんですよ。勉強になると、「できる・できない」で考えてしまいがちですが、本来は「面白い」と感じることが学びの入り口です。“できない=つまらない”ではなく、“できない=面白い”という視点が、子どもたちの可能性を広げてくれます。

――そのために家庭でできることがあれば教えてください。

中島さん:特別なことをしなくても、日常の中にヒントはたくさんあります。料理や遊び、音楽など、どんなことにも科学や数学はつながっています。例えば、身の回りの道具でいうと、ハサミも立派なテクノロジーなんですよね。身の回りのものを少し違う視点で見てみることが大切だと思います。勉強として考えるより、遊びの延長として楽しんでほしいですね。

――親としてできるサポートはありますか?

中島さん:“待つこと”だと思います。親がこうしてほしいと思った瞬間に、子どもはやりたくなくなることもあるので。私も子どもの頃、音楽教室に通っていたときに、しばらく教室に入れず、外から様子を見ていた時期があったんです。半年くらいずっと外で見ていたのですが、親は無理に入らせようとはせず、見守ってくれていました。

無理にすすめるのではなく、子ども自身のペースを大切にすること。その積み重ねが、“好き”を育てていく土台になるのだと思います。

――中島さん自身は子どもの頃、どのように“好き”を見付けてきましたか?

中島さん:好きなことを見付けるのは、あまり焦らない方がいいと思います。ずっと砂場で遊んでいたり、川を眺めていたり、そういう時間もすごく大切。ぼーっと考え事をしてみるのもいいですよね。私は数学でも、ずっと考え続けることが好きでした。

学校のテストももちろん大事ですが、あれは効率よく理解を確認するための手段の一つ。できるかどうかだけで判断するものではないと思っています。それよりも、遊ぶように試してみて、「どうしたらできるようになるかな」と考え続けること。そういう体験が“好き”につながっていくのではないでしょうか。

自然の中で遊んだり、体を動かしたり、じっくり考えてみたり。そうした時間をたくさん持つことが大事だと思います。数学者も、行き詰まったときには自然の中に行くことが多いんです。感覚が研ぎ澄まされて、新しい気づきにつながることがあるからです。

数学は、ただ問題を解くためのものではなく、感じ取る力や感性にもつながるもの。だからこそ、たくさん遊ぶことが欠かせないと感じています。

“楽しい”が学びにつながる。会場で見えた子どもたちの姿

おすすめが分かる!ファッションテック体験(株式会社ZOZO)

中島さんの言葉を聞いていると、「楽しい」という気持ちが学びの入り口になることがよく分かります。実際に会場には、女子小中学生に関心の高い「美容」や「ファッション」を入り口に、科学やテクノロジーを体験できるブースが並び、親子連れでにぎわっていました。

自分で材料を量ってつくる美容液づくりや、ARを使ったメイク体験、描いたクラゲがスクリーンの中で泳ぎ出すワークショップなど、思わず「やってみたい!」と感じる体験がずらり。

〜描いたクラゲが泳ぎだす!〜クラゲワークショップ(株式会社steAm)

「これ、本当に自分で作れるの?」「自分が描いた絵が動いてる!」そんな驚きや発見の声があちこちであがり、体験する中で子どもたちの表情が変わっていくのが伝わってきました。

モーションキャプチャー体験では、自分の動きがデータとして画面に映し出され、「人の動きってこうなっているんだ!」と興味津々。体を動かしながら、自然とテクノロジーの仕組みに触れている様子が見られました。

どのブースにも共通していたのは、「学ぶぞ」と構えなくても楽しめること。気づけば夢中になり、「もっとやってみたい」と感じる体験があふれていました。

笑いと驚きが広がる! ステージイベントも大盛況

メインステージでは、ゲストによるサイエンスショーやライブパフォーマンスが行われ、子どもたちが楽しみながら科学や数学に触れられるプログラムが行われました。

⾝近なふしぎ⼤発⾒!びっくりサイエンスショー

「身近なふしぎ大発見!びっくりサイエンスショー」では、サイエンスエンターテイナーの五十嵐美樹さんのもと、サポーターとして登場したガンバレルーヤの二人が、生クリームがバターに変わる仕組みを体を張って実験。子どもたちと一緒に挑戦した「バターづくり対決」では、ボトルを一心不乱に振り続ける姿に、会場から大きな笑いと歓声があがりました。

変化していく様子を目の前で体感した子どもたちは、「どうしてこうなるの?」と興味津々。実験のあとにはハイタッチを交わす場面もあり、会場はあたたかな一体感に包まれていました。

音が見える!?みんなで鳴らそう!音のふしぎ発見ライブ

続いて行われた中島さんによるライブパフォーマンスでは、「音」を“波”として視覚化。音楽と数学のつながりを体感できる内容に、子どもたちは夢中になって見入っていました。

ステージでは、子どもたちが実際に上がって参加する場面も。楽器を手に取り、みんなでリズムを刻みながら演奏に挑戦します。会場全体がひとつの音に包まれ、音楽と数学を身近に感じられる時間となりました。

ガンバレルーヤのよしこさんは「音楽と数学が似ているとか、音の波を見ることが普段はなかったので、ものすごく楽しかった!」とニッコリ。まひるさんは、「好きなことや、ワクワクすることを持つことがまず大事。自分の中のワクワクを見付けてほしい」と子どもたちにメッセージを送りました。

「楽しい!」から広がる子どもたちの未来

中島さんのお話を含め、今回のイベントで印象的だったのは、「楽しい」という気持ちが、学びの入り口になっていたことです。笑い、驚き、夢中になる体験の中で、「もっと知りたい」という気持ちが自然と生まれていました。まずは、子どもが「好き」と思えることを大切にすること。それが、未来の可能性を広げる一歩になるのかもしれません。

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取材・文/やまさきけいこ

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