夕食のあとの過ごし方
スウェーデンにある、夫の実家に滞在していたときのことです。夕飯を終えて「さて、このあと何をしようかな」と思っていたら、夫のママが引き出しから取り出したのはボードゲーム。テーブルにはコーヒーとチョコレートが手際よく並べられ、気づけば自然な流れでゲームが始まったのです。
そのときは「ボードゲームが好きなんだなぁ」くらいに思っていたのですが、これは北欧ではおなじみの風景だと、あとになって気がつきました。
北欧の人たちはボードゲームが大好き!
本屋には色とりどりのボードゲームが山のように積み上げられていたり、スーパーの一角には広いボードゲームコーナーがあったり。「面白いゲームを見つけたから、みんなでやろう!」と、大人同士でもボードゲームの会が開かれるのも、ふつうのことなのです。
ちなみに、ノルウェーで船旅をしていたときに、となりに座っていたファミリーが暇つぶしにテーブルに広げていたのも、やはりボードゲームでした。
大人から子どもまで親しんでいるのは、北欧は冬が長いので家で過ごす時間が長いこと。また、物価が高いのでショッピングや外食などの娯楽が少ないことも理由にあるかもしれません。

ボードゲームは、家族の時間なのかも
わが家でも夕飯のあとは、子どもたちとボードゲームを囲む時間がすっかり定番になりました。
いいなぁと思うのは、子どもから大人まで楽しめて、さらに、そこからおしゃべりが生まれるところ。テレビを見て過ごしていた時間が、ゲームを囲みながらの「家族の時間」になるのです。
これに味を占めて、友人から面白いと聞いたゲームをじわじわとそろえているこの頃。知れば知るほど、北欧の人たちがこれに夢中になる理由がわかってきたような気がします。


自分にとって心地いい、mysig(ミューシグ)
家族の時間といえば、ひとつ思い出したことがあります。
Hygge(ヒュッゲ)という言葉を知っている方も多いでしょうか。これはもともとデンマーク語ですが、スウェーデンでもmysig(ミューシグ)という同じような言葉があります。
直訳するのは難しいのですが、「心地いい」、「落ち着く」、「ほっとする」というような意味。
居心地のよい空間づくりもミューシグには欠かせませんが、何より大切なのは、家族や親しい人たちと過ごす時間だといいます。
日本の懐かしいもの、昔から変わらないものは何だろう?
以前、ミューシグに必要なものは何か? という話になったとき、あるスウェーデン人の友人がこんな風に答えていました。
「昔から変わらないもの、懐かしいものかな」
その言葉に、ハッとさせられたことを覚えています。
まさに、ボードゲームもそのひとつと言えるのかもしれません。家族や友人とテーブルを囲み、おしゃべりする時間。それ自体が、小さなミューシグなのだと思います。
日本ならではのミューシグは、なんだろう?
家族のおしゃべりの真ん中にあるような存在。昔からある、懐かしいと感じるもの。
そこに、家族で過ごす時間のヒントがあるような気がしています。

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プロフィール
イケア勤務を経て、ウェブメディア&ショップ「北欧、暮らしの道具店」の初期スタッフとして約6年間働く。その後、スウェーデン人の夫である、オリバー・ルンドクイスト氏と一緒にノルウェーのトロムソに移住。1年半滞在したのち帰国し、現在は長野県松本市に在住。著書に『北欧で見つけた気持ちが軽くなる暮らし』(ワニブックス)、『北欧の日常、自分の暮らし』(ワニブックス)、夫との共著書に『家族が笑顔になる北欧流の暮らし方』(オレンジページ)がある。
自家焙煎のコーヒー豆と小冊子のお店「Hej Hej COFFEE(ヘイヘイコーヒー)」はじめました。
文・構成・写真/桒原さやか

