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ナッツアレルギーによる救急受診が増加
-食物アレルギーの中で、ナッツアレルギーは増えているのでしょうか?

山本先生 国立成育医療研究センターでは、食物アレルギーで救急外来を受診した患者数や症例を調べたことがあります。上のグラフは、その結果ですが2017年からナッツ類(クルミ、カシューナッツなど)のアレルギーによる、救急外来の受診者数が急増していることがわかりました。
乳幼児は環境によって、ナッツアレルギーを発症することも
―ナッツアレルギーが増えている背景は、どのようなことが考えられますか。
山本先生 日本小児科学会では、食品による窒息を防ぐためにもピーナッツなどの硬い豆類は、未就学児(特に5歳以下)には避けることを推奨しています。日頃から注意している、ママ・パパも多いでしょう。
そのため乳幼児の場合は、経口摂取によってナッツアレルギーを発症するよりも、環境リスクのほうが高いと考えられます。
国立成育医療研究センターとダスキンが2021 年に行った共同研究で、クルミをよく食べる家庭(週間消費量4g以上)と、あまり食べない家庭(週間消費量4g未満)を比較したところ、クルミをよく食べる家庭では、ホコリ中のクルミアレルゲンの量が多く認められました。子どもの寝具のホコリからもクルミアレルゲンが認められました。
湿疹があると、バリア機能が低下しているので、お肌からアレルゲンが体内に取り込まれることもあるでしょう。
ナッツアレルギーは重症化しやすく、自然治癒が難しい
―ナッツアレルギーの特徴を教えてください。
山本先生 ナッツアレルギーは微量でも発症しやすく、アナフィラキシーショックを起こしやすい傾向があります。また、自然治癒が極めて難しいといわれています。
「症状をださない、ちょっとずつ、楽しく、おいしく」をモットーに進める、成育の経口免疫療法
―ナッツアレルギーは除去食が治療の柱となるのでしょうか。
山本先生 国立成育医療研究センターでは、経口免疫療法を取り入れています。経口免疫療法とは、医師の指示に従い、アレルゲンとなる食物を経口摂取することで、免疫を変えていく治療です。必ず医師の指示に従って進めてください。
―経口免疫療法というと、怖いと感じるママ・パパもいるようです。
山本先生 経口免疫療法は、アレルゲンとなる食物の量の増やし方がカギです。なかには治療の途中で口の中がかゆくなるなどの軽い症状でも不快な症状が出てしまい、治療を嫌がる子どももいます。症状をだすと、続けるのが嫌になります。
国立成育医療研究センターの経口免疫療法は、安全を第一に、アレルギー症状が出ない量を定期的に摂取して、ゆっくりと時間をかけて免疫を変えていく「超低用量・緩除増量法」で行うのが特徴です。「症状をださない、ちょっとずつ、楽しく、おいしく」をモットーに治療を進めていきます。
ナッツアレルギーの子ども33名全員が、経口免疫療法によって実用的な耐性を獲得


―山本先生のグループが行った、ナッツアレルギーの経口免疫療法の調査について教えてください。
山本先生 2021 年~2024 年の4年間に、当センターで治療を受けた4~18歳のクルミおよびカシューナッツアレルギーの子ども33名(クルミ27名、カシューナッツ6名。うちアナフィラキシー経験15名)を対象に、経口免疫療法を行い調査しました。前述の「超低用量・緩除増量法」による経口免疫療法です。
ナッツ蛋白0.45mgという極微量から始め、アレルギー症状が出ないことを確認した量を超えないように、蒸しパンなどの治療用食品を用いて家庭摂取を継続してもらいました。

その結果、特定の食品のみに反応する特異的IgEの中央値は、クルミは4.46→1.93(57%減)。カシューナッツは、8.57→3.62(58%減)という結果でした(表参照)。
治療日数の中央値は、クルミが1289日、カシューナッツが1384日。調査には、アナフィラキシーショックを起こした経験がある子どもも含まれていますが、解析対象者全員が重篤な副反応を起こすこともなく、たとえばナッツ入りのドレッシングやソース、お菓子、パンなどが食べられるようになるなど、実用的な耐性を獲得しました。
―超低用量・緩除増量法を取り入れた経口免疫療法は、国立成育医療研究センターでないと受けられないのでしょうか。
山本先生 超低用量・緩除増量法による経口免疫療法は、まだ一般的な治療ではなく、限られた医療機関でのみ実施されています。治療を希望されるママ・パパは、以下のメールでお問い合わせください。回答までにお時間をいただく場合がございますが、超低用量・緩除増量法による経口免疫療法を行っている医療機関を紹介します。
国立成育医療研究センター アレルギーセンター事務局
info_allergy@ncchd.go.jp
予防には、ナッツ系の成分が配合されているスキンケアアイテムは避けて!

―ナッツアレルギーを防ぐポイントを教えてください。
山本先生 ナッツ系の成分が配合されているスキンケアアイテムは避けましょう。
また子どものナッツアレルギーを防ぐために、ナッツ類を除去し続けることは勧めません。食物アレルギーの発症を防ぐには、少しずつ食べることで食べ物に慣れていき、耐性を獲得することも必要です。そして、1回だけ食べられたら大丈夫ではなく、定期的に摂取をすることが重要です。
ただし、アトピー性皮膚炎、食物アレルギー、ぜんそく、鼻炎などのアレルギーがでたことがある場合は、すでにナッツアレルギーを発症しているかもしれませんので、医師に相談してからすすめてください。
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山本貴和子先生
この記事を書いたのは
子育てや子どもの病気、事故を中心に取材・執筆を行う。情報発信によって、病気の予防・早期発見、事故予防につながる記事作りを心がけています。2 人の子どもがいます。
資料提供/国立成育医療研究センター