1日5時間のスマホで人生の14年を失う!? まずは動画の自動再生をオフにしよう【脱スマホ術】著者・戸田大介さんに訊く

「スマホを見すぎている」と感じても、気づくとまたスマホを開いている……そんな経験はありませんか? 実はスマホには、私たちを夢中にさせる仕組みがたくさん組み込まれていて、「やめよう!」という決意だけではなかなかやめられないのだそうです。それは大人も子どもも同じこと。では、どうすればスマホの使用時間を無理なく減らせるのでしょうか。話題の書籍『脱スマホ術』の著者でアプリ開発者の戸田大介さんに、家族で実践できる仕組みづくりのコツを伺いました。

1日のスマホ使用時間は平均5〜6時間 これを続けると人生の14年を失うことに!?

――スマホのスクリーンタイムの数字に自分でもびっくりすることがあります。大人の1日のスマホ平均使用時間はどのくらいなのでしょうか?

戸田さん:大人の場合は、5〜6時間くらいがちょうど平均だと思います。多い人で7〜8時間くらいで、3〜4時間だとかなり少ない方という印象ですね。子どもの使用時間も、大人と大きく変わりません。ただ、例えば部活をやっている子は単純に自由時間が短いのでスマホを使う時間は減りますし、そうでない子は増える傾向にあります。

小学生の場合は、どれくらい自由に使わせてもらえるかという問題がありますが、完全に自由に使える状態なら、1日5時間というのは珍しくない数字です。

『脱スマホ術』著者・戸田大介さん

――これが積み重なると「14年」という数字になるのですね…。

戸田さん:はい。15歳でスマホを持ち、平均寿命の84歳まで毎日5時間スマホを見るとすると、その合計時間が14.4年(12万5925時間)になるということです。

『脱スマホ術』より

とはいえ、この「スマホ時間」は睡眠や仕事の時間とは異なり、自分次第で有効活用できる可能性があります。そう考えると、前向きになれるのではないでしょうか。私自身も、以前は普通に5〜6時間はスマホを使っていたと思います。「見すぎちゃったな」という後悔も日々ありました。でも今は多くて2時間、だいたい1時間くらいの使用時間になっています。

「見ない」という決意だけでスマホをやめるのは不可能!

――そもそも、スマホはなぜこんなにやめられないのでしょうか?

『脱スマホ術』より

戸田さん:これは「見ないことが不可能」な状況が完全に作られてしまっている、ということだと思います。

よく例に出すのが、「目の前にずっとケーキが置かれている」という状況です。ダイエット中の人が「絶対に甘いものは食べないぞ」と決めているとします。でも24時間、目の前にケーキがあって、しかも丁寧にフォークまで添えてあったら……気持ちだけで耐えられる人は、おそらくいないと思うんです。

 『脱スマホ術』より

実はその24時間目の前にあるケーキというのはスマホと同じなんです。しかもそれを認識している人はほとんどいません。どんなに「スマホを見るのをやめよう!」と思っても、いつでも手の届く範囲にスマホがある状況では、抗いようがありません。

――SNSもやめられないような仕組みがたくさんありますよね。

戸田さん:そうですね。通知が送られてくるのもそうですし、アプリを開いたら、自分が何も操作しなくても「◯◯さんからいいねが来ました」というメッセージが出てきたり、開いた瞬間に見たことのないコンテンツが更新されて出てきたりしますよね。そうすると「アプリを開く」ということと「快楽」とが脳の中で結びついて強化されて、それがやがて一種の依存状態を招いてしまいます。

――ますます気持ちだけではどうにもできない問題ですね。

戸田さん:「夜7時以降はスマホを見ない」「SNSはもう使わない」と、無茶な決意をする人がすごく多いのですが、これが全然効かないんです。もちろん気持ちはすごくわかりますし、決意すると何かいいことが待っている気がするのでついやってしまうのですが、効果がないことはかなりはっきりしています。

『脱スマホ術』より

決めたその日できたとしても、1週間、2週間経っても「見ない」と決めただけでどうにかなる問題ではありません。「状況を変える」「環境を変える」「設定を変える」というように、自分の意思とは関係のない外部の仕組みで変えないと、行動は変わらないというのは事実だと思います。

子どものスマホ制限は効果がないことも。仕組みづくりを見直してみよう

――そうなると、子どもに「スマホを見るのをやめなさい!」というのもあまり意味がないでしょうか?

戸田さん:大前提として、子ども自身が納得していないとスマホ対策はまったく効果がなくなってしまうんです。よく、ペアレンタルコントロールや有害サイトのブロックなど、子どもが見られないようにする技術がありますよね。でも、突破する方法はみんな簡単に見つけてしまう。抜け道はいくらでもあります。無理やり制限された状態が、長期的に効果を発揮することはあまりないんです。

でも、お子さん自身がスマホと少し距離を置きたいと思っていることも少なくありません。先日、地元の中学校でお話しさせてもらう機会があって、「ついスマホを見すぎて困っている人はいますか?」と手を挙げてもらったんです。そうしたら、ほぼ全員が挙げていました。親に制限されるのは嫌でも、自分でも「さすがに見すぎだな」という気持ちはある。これは小学生でも同じだと思います。

だから、叱ったり、過度な制限をしたりするのではなく、「そんなにストレスはないけれど、現実的にスマホ時間を減らせる方法」を一緒に考えていくのがいいのかなと思います。

おすすめは「自動再生のオフ」

――無理なく、スマホ時間を減らせるおすすめの仕組みづくりはありますか?

戸田さん:まずおすすめなのが、動画(YouTube)の自動再生をオフにすることです。これによって、見ている動画の再生が終わった後に別の動画が自動で再生されるのを防げます。先ほどの中学生たちにいろいろな対策を説明したとき、「アプリを消す」というのは効果がありそうだけどやりたくない、という子が多かったんです。でも自動再生オフだったら、みんな「これならできる」と言うんですよね。

ボタンをオフにするだけという気楽さもありますが、何より重要なのは、見たければ見られるというところだと思います。「別に見ても見なくてもよかったけど、流れてきたから惰性で見た」という時間だけをカットできるのでストレスが少ないと思います。

「流れてきたからなんとなく見る」から、自動再生のオフ機能の活用で脱却を

――LINEはどうでしょう。他者とのやり取りなので、自分だけグループを抜けるわけにもいかないようで…

戸田さん:LINEは特に、スマホを使い始めたばかりの時期は「やり取りしていること自体が楽しい」という状態になりがちですね。ただ、その時期を過ぎればある程度落ち着くとは思います。スマホを使い始めてしばらく経った人が、いちばん使っているアプリがLINE、ということはあまりありません。ただ、LINEから見始めて、SNSやYouTubeに流れるという流れはすごく多いので、そのあたりは対策が必要ですね。

スマホにとらわれずに集中するためには、オンとオフを切り替えるのがポイント!

――戸田さんが開発された「集中」というアプリは、「勉強したいのにスマホに気を取られる」「作業中についスマホを触ってしまう」というお悩みにぴったりですね!

戸田さん:書籍『脱スマホ術』のもとになったのが、この「集中」というアプリです。もともとは、私自身に怠け癖があり、自分はどれくらい仕事をすると「やりたくない」と思うのかを把握するために、作業した時間が勝手に記録されるアプリが欲しいと思ったのがきっかけです。

「集中」のアプリは、10分、25分、60分などの作業時間と、休憩時間をタップするだけでタイマーがスタートし、どれくらい集中できたかを記録・グラフ化して振り返ることができるのが特徴です。短い時間から区切って作業することで、ダラダラとスマホを触るのを防ぐことができます。

――作業時間と休憩時間を組み合わせるのが集中のコツなのでしょうか?

戸田さん:そうなんです。集中する時間とリラックスする時間をはっきり分けることが何より大切です。それがごちゃごちゃに混ざっている人がすごく多いと感じます。勉強しなくてはいけない時間に、常にSNSの通知がオンになっていたら、いつでもスマホに流れてしまいます。

ですから、集中すると決めた時間だけはスマホを部屋の外に出したり、スマホを「集中モード」に設定して通知が来ないようにする。それだけでも、集中すべき時間にリラックスのモードが入ってこなくなります。部屋の外にスマホを出すこと自体が一種の儀式になって、「今から90分だけは集中するぞ」と意識がはっきりと切り替わるタイミングにもなるんです。

親子で一緒に「脱スマホ」を始めよう!

「脱スマホ」のコツは?

――親子で一緒に「脱スマホ」をしてみたいです。どんなことに気をつけたらよいでしょうか?

戸田さん:ベースになるのは、親も一緒にスマホの時間を減らすということだと思います。子どもが勉強しているなら、親もその隣で自分の勉強をするなり、本を読むなりできると思うんです。子どもだけが頑張っている時間ではなく、「みんなそういう時間なんだよ」と思える方が、抵抗は大きくならないと思います。

ほかにも、「食事中はスマホを見ないようにして、みんなで箱に入れて部屋の外に出す」というのもいいですし、「夜のこの時間になったら、廊下や玄関などに充電器をたくさん置いておいて、みんなで充電しよう」「この30分だけはみんなスマホを見ない時間にしてみない?」という感じで、無理なくできるものを家族で考えるのがよいと思います。重要なのは、あまりストイックになりすぎないことです。決意ではなく仕組みで、そして親子で話し合いながら、ゆるく始めてみてください。

――ありがとうございました!これまで何も考えずに使っていたスマホですが、まずは仕組みを整えて、少しずつ距離を置く時間を増やしたいと思いました。戸田さんの著書『脱スマホ術』はスマホとの付き合い方にとどまらず、「先延ばし」「集中切れ」などの問題への解決方法がたっぷり紹介されています。ストーリー形式なので、お子さんと一緒に読むのもおすすめです。

戸田大介 ダイヤモンド社 1,760円(税込)

「自然と机に向かう時間が増えた」そんな声が後を絶たない不思議な集中アプリがあるのをご存じだろうか。中高生からビジネスパーソンまで絶賛の声が止まらず、口コミだけで500万ダウンロードを突破。そのアプリ開発者が、「スマホでダラダラ」を克服し、仕事や勉強に集中できる、シンプルで効果抜群のワザを教える。

お話を聞いたのは

戸田大介 アプリ開発者

山形県出身。新卒で電通アイソバー(現・電通デジタル)に入社。データアナリストとして勤務したのち、bondavi株式会社を創業。データと行動科学の知見をもとに、人の前向きな行動を引き出すアプリの開発に取り組む。全アプリを広告なし・無償で提供し、ユーザー任意の寄付により運営している。『継続する技術』『集中』は国内有数のヒットとなり、累計ダウンロード数は1000万を超える。著書『継続する技術』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)。

この記事を書いたのは

平丸真梨子 ライター

音楽大学卒業後、出版社勤務を経て、現在はフリーライター・編集者として活動中。小学生2人の母。主に教育系、不登校への取り組み、著名人インタビューなどを執筆しています。子育ての中で感じた疑問や発見を活かしながら記事を作成することを心がけています。

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