国連演説で高市総理が語った「旧敵国条項」って? 小学生にも分かるように解説【親子で語る国際政治】

今知っておくべき国際問題を国際政治先生が分かりやすく解説してくれる「親子で語る国際政治」。今回は、2026年9月の国連総会で高市総理が語った「旧敵国条項」について、小学生にもわかるように解説します。

「旧敵国条項」は、戦争が終結に向かっている頃に作られた

2026年9月22日、ニューヨークの国連本部で、高市早苗総理大臣が国連総会で演説しました。その中で特に注目されたのが、「旧敵国条項」と呼ばれる規定です。ニュースで名前を聞いた人も多いかもしれません。これは何なのでしょうか。

まず、「旧敵国」とは、国連憲章をつくった国々(アメリカ・イギリス・中国・旧ソ連)と、第二次世界大戦で戦った国を指します。

国連憲章は、第二次世界大戦が終結に向かっていた1945年にできました。そのため、当時の日本、ドイツなどが「敵国」として扱われる規定が、憲章の中に残っています。

代表的なのが、国連憲章53条と107条です。53条には、第二次世界大戦で憲章の署名国の敵だった国を「enemy state(敵国)」とする説明があります。また107条には、第二次世界大戦の結果として取られた措置について、憲章が妨げないという内容があります。

現在も日本が「敵国」として扱われているわけではない

では、現在も日本が「敵国」として扱われているのでしょうか。ここは注意が必要です。旧敵国条項は国連憲章の文章としては今も残っていますが、現在の国際社会で、第二次世界大戦直後と同じように日本を敵国として扱っている、という意味ではありません。日本は1956年に国連へ加盟し、その後70年間にわたって国連の活動に参加してきました。

さらに重要なのが、2005年の国連総会です。このとき、国連加盟国の首脳らは、国連憲章から「敵国」に関する記述を削除する意思を確認しました。つまり、国際社会では、古くなった規定を削除する方向が確認されているのです。

削除の意思があっても、国連憲章を変えるのは簡単ではない

ただし、憲章そのものから実際に削除するには、国連憲章の改正手続きが必要です。そのため、条文は現在も残っています。国連憲章を変えるには多くの国の合意が必要で、古い規定を消すことは簡単ではありません。

高市総理は2026年9月の演説で、2005年の国連総会決議にも触れながら、「敵国」条項を削除すべきだと強く訴えました。日本にとっては、第二次世界大戦から80年以上が過ぎた現在も、当時の戦争を前提とした表現が国連憲章に残っていることを問題としているのです。

高市総理の演説は、日本の立場を示したもの

条文が残っている以上、「なぜ削除されないのか」という問題が残っていることは事実です。しかし、ここで大切なのは、「旧敵国条項があるから、日本は今も国際社会で敵国として扱われている」と単純に考えないことです。

旧敵国条項は、現在の日本の安全を直接左右する法律ではありません。実際に、日本は国連の加盟国として活動し、国連平和維持活動への協力や資金面での貢献などを続けています。

今回の高市総理の演説は、「古い条文を改めて見直し、現在の国際社会に合った国連憲章にする必要がある」という日本の立場を示したものと理解すると分かりやすいでしょう。

歴史を知ることは、今の国際関係を理解するうえでも大切なのです。現在の国際情勢を考える際にも知っておきたい歴史です。

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この記事を書いたのは

国際政治先生 国際政治学者

国際政治学者として米中対立やグローバルサウスの研究に取り組む。大学で教壇に立つ一方、民間シンクタンクの外部有識者、学術雑誌の査読委員、中央省庁向けの助言や講演などを行う。

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