日本語吹替版も話題！ミュージカル『キャッツ』の実写版映画がアツい！【親子で観たい映画】

全世界累計観客動員数8100万人、日本公演通算1万回を記録するミュージカルの金字塔を実写映画化した『キャッツ』が、1月24日に公開となりました。メガホンをとったのは、映画版『レ・ミゼラブル』を成功に導いたトム・フーパー監督。主演に抜擢されたのは、英国ロイヤル・バレエ団プリンシパルダンサーのフランチェスカ・ヘイワードで、なんと映画初出演、歌も初挑戦で、まさに映画界のシンデレラガール誕生となりました。

主人公は、ミュージカル版とは違い、ロンドンのゴミ捨て場に迷い込んだ白猫のヴィクトリアです。彼女が交流していくのは、人間に飼いならされることなく、自由気ままに生きる“ジェリクルキャッツ”たち。ぐうたら猫やワイルドな猫、グルメな猫など、バラエティー溢れる猫たちとの出会いの中で、ヴィクトリアはもまれていき、希望を見出していきます。

そして、ある満月が輝く夜、新しい人生を生きることを許されるたった一匹の猫を選ぶ、一夜限りの舞踏会が開かれます。果たして、そこで選ばれる猫とは？

トム・フーパー監督は、8歳の時に初めてミュージカル版『キャッツ』を観て虜になったそうで、今回待望の映画版を手掛けました。先日開催されたジャパンプレミアで来日した監督は「子どもから大人まで観られるようなファミリー映画を目指した」と言われていましたが、確かに本作は、歌って踊る楽しいショータイムが散りばめられた娯楽映画に仕上がっています。

世界で吹替版が許されたのは、日本とドイツの2カ国のみ！

今回も日本語吹替え版キャストには、最高の面子が集結。ヴィクトリア役の葵わかなのほか、山崎育三郎(マンカストラップ役)、高橋あず美(グリザベラ役)、ロバート秋山(バストファージョーンズ役)、森崎ウィン(ミストフェリーズ役)、大貫勇輔(スキンブルシャンクス役)、大竹しのぶ(オールドデュトロノミー役)と、隅々まで完璧です。ちなみに、世界で吹替版の制作にOKが出たのは、日本とドイツの2か国のみで、トム・フーパー監督も吹替版を「スバラシイ！」と日本語で称えていました。

もともと歌唱力がものを言う声優陣たちですが、とりわけ注目したいのは、ヴィクトリア役の葵わかなです。NHKの朝ドラ「わろてんか」で人気者となった葵さんは、オーディションを勝ち抜き、ミュージカル「ロミオ&ジュリエット」でジュリエット役に大抜擢。映画『キャッツ』でも、今回新たに書き下ろされた名曲「ビューティフル・ゴースツ」を透き通った美声で歌い上げています。

そして、この「ビューティフル・ゴースツ」や『キャッツ』の代名詞とも言える名曲「メモリー」を歌うのは、グリザベラ役の高橋あず美。字幕版の原曲は、ジェニファー・ハドソンですが、高橋さんも負けず劣らずのソウルフルな歌声で、観る者を圧倒します。日本語吹替え版音楽プロデューサーを担当したのは蔦谷好位置で、そのクオリティーの高さにうなります。

映画版ミュージカルだからこそ、入門編として楽しみたい

これまでロングランヒットをしてきた本家のミュージカル『キャッツ』のすばらしさは言うまでもありませが、やはりミュージカル好きでない方々にとっては、劇場に足を運ぶというのはハードルが高い、という声もよく耳にします。その点、映画なら、家族揃って週末に気軽に出かけられるのではないでしょうか。

今回の『キャッツ』は、ただ単に舞台をそのまま撮影したものではなく、映画ならではのマジカルな仕掛けが満載だし、音響のいい映画館で観れば、ミュージカルばりに胸が弾みます。ストーリーもシンプルでわかりやすく、お子さんのミュージカルデビュー作品としてもおすすめなので、ぜひ家族でお出かけください。

文／山崎伸子