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小学校での英語必修化スタート。学び方を英語教育のプロに聞いた!
4月から、小学校3、4年生は外国語活動、5、6年生は教科としての英語学習がスタートします。小学校での英語学習は、英語を覚えるというより、英語を好きになって興味関心を育てることが大事です。そのために、英語の辞書が大きな役割を果たしてくれる、と話すのは、小学生向けの英語辞典『プログレッシブ』の編集委員で、小学校の英語教育に詳しい相田眞喜子先生。「辞書」と聞くと、読むものではなく調べるものと思いがちですが、実は、お子さんの幅広い興味関心に応えてくれる存在。どんな英語の辞書を最初の一冊として選べばよいのか、また、思わず子どもが手に取る上手な辞書との付き合い方についても教えていただきました。
ファースト辞書を選ぶときに大切な5つのこと
英語の辞書には、英語の意味を調べるときに使う“英和辞典”と、英語で何と言うかを調べる“和英辞典”の2種類があります。
「そのどちらも、子どもにとっては“翼”のようなもの」と相田先生。「辞書は大人の力を借りずに、子ども自身が自由に表現の世界を飛び回り、知りたいことを知ることのできる魔法の道具なんです」
その辞書が本物の翼となるためには、次の5つのポイントがあると言います。辞書を選ぶときには、これらを満たしているかどうかをチェックしましょう。
ファースト辞書を選ぶときに大切な 5つのポイント
1 子どものわかる表現で意味が書かれている
辞書を引いたけれど、そこに書いてある言葉の意味がわからないでは困りもの。意味が子どもでもわかる言葉、かつ子どもが使うような言葉で書いてあることが大切です。
2 漢字にルビがふってある
子どもが自分で調べて自分で読むなら、漢字にルビがふられていないと読めないことがあります。大人が辞書をめくって、ルビがふってあるかどうか確認しておきましょう。
3 イラストに意味がある
単に楽しげなイラストは×。子どもがイラストを見て「ああ、そういうことか」と、直感的に意味が理解できるイラストが載っているものを選びましょう。
4 ずっと眺めたくなる誌面である
子どもが開いたら、ずっと眺めたくなるような美しく楽しい誌面が理想的。文字だけが詰まっている誌面では、子どもの興味をひきません。
5 音声が聴けるオプションがついている
子どもの英語学習は音から始まります。辞書を引いたら、必ずその音声を聞かせることが大切。CDや音声サイトなど音声がついている辞書を選んで。
まず、親が日常に英語の辞書を使う場面を子どもに見せて!置き場所はリビングがベスト
辞書を手に入れても、いきなり子どもに辞書を与えるのはNG。「この英語はどういう意味か知りたい」「あの言葉は英語でなんて言うのかな」という気持ちが子どもの中から自然に出てきたときが辞書の与えどきだからです。そのためには、生活の中で英語を使うチャンスを作ることが大事になってきます。
臆せず、子どもに英語で話しかけ、辞書で調べるきっかけを
「たとえば、美味しそうなアイスクリームがあれば“Do you like ice cream?”と子どもに聞いてみる。オレンジジュースとリンゴジュースがあったら、“Which do you want,orange juice or apple juice?”と問いかけてみる。状況からさりげなく意味がわかるように使うと、子どもは抵抗なく“Yes”とか“orange juice”と答えます。
子どもは説明がなくても言語を獲得する力を持っているんですね。小さいお子さんを持つ親御さんに、まず知ってほしいのは『英語をまるごと楽しむ』ということですね。そうした経験を積むうちに、子どもの中で知りたいという欲求が生まれます。いざ辞書を手に入れたら、しまいこまず、すぐに手の届くところに置いてほしい」
親が「なるほど!」と便利に使う姿を子どもに見せましょう
「わからないことがあったら引く、というのが辞書の基本的な使い方ですから、食卓のすぐそばやテレビの隣など、パッと手に取れるところに置いておき、わからないことがあったら、まずお母さんが引いてほしいですね。そして『辞書って便利だわ』というところを、言葉でなくても全身からあらわして、また元の場所に戻す。今はわからないことがあったら、すぐにスマホで調べますよね。それと同じ便利さを辞書でも味わえることをお子さんに見せてほしいです」
子どもが辞書に親しむためには「辞書で調べなさい」と押しつけるのではなく、日々の生活の中で、親が「なるほど!」と便利に使う姿を子どもに見せて、“辞書はあると便利なもの”というイメージを子どもに与えるということです。
引き方を覚えて辞書を見ているうちに、英語に慣れ親しんで好きになる
引き方を教えたら、見守って
「これってどういう意味なのかな」「英語で何ていうのかな」と子どもが言い出したら、国語辞典は「あいうえお順」だけど、英和辞典ならアルファベット順になっていることなど引き方を教えます。
「アルファベットを覚えた子なら『A、B、C……』と言いながら引き始めますから、そうしたら放っておきましょう。いったんページを開くと、イラストのあるところや、囲みで強調してあるところなど、目的を忘れて読みふけります。
お母さんは『ほら、ここにあるでしょう』とか『なんて書いてあったの』なんて言わないで、子どもが辞書を閉じるまで、そっとしておいてあげてください。子どもがいつまでも見ているなら、辞書と仲良くなってくれたということです」(相田先生)
今は電子辞書も便利に使われていますが、紙の辞書のよさは、こうした当初の目的からそれて、どんどん違うところを見ていくところ。
「子どもは、いろいろなことを吸収しています。そこから得られる副産物は大きいんですよね。大人がピンポイントで、ここだけ効率的に知りたいというときは電子辞書が便利ですが、子どもの英語学習に効率を求めるのは逆効果。たくさん英語を見ているうちに、英語に慣れ親しんで好きになるわけです」
アルファベットの順番や、扱われている語の量に気づく…。“英語感覚”を身につけられるのは、紙の辞書ならでは
「たとえばQの単語は少ないので、紙の辞書ならQのページが少ないことがわかります。Sは多いんですね。また“goldfish”の説明はわずかなのに、“go”はたっぷりページを割いて説明してある。こういった絶対量を目で見ることが、英語感覚を養うことになるのです」
アルファベットの順番を覚えたり、その順番の見当をつけたりできるようになるのも紙の辞書ならでは、と相田先生は続けます。
「辞書がいつでもそばにあって、ちょこちょこ引いていると、わからないことをわからないままにしておきたくないという感覚がちゃんと育ちます。英語の辞書だけでなく、国語辞典や百科事典などもいっしょにいつでも手の届くところ置いておくことをお勧めします」
英語の発音が全部聞ける、小学生のための英語辞典『プログレッシブ』
『プログレッシブ小学英和・和英辞典』『プログレッシブ小学和英辞典』『プログレッシブ小学英和辞典』は、小学生のための本格的な英語辞典。2020年4月から使われる検定教科書に対応し、英和辞典は英検®5級、4級、3級の語彙をカバー。子どもたちの知りたい“frozen(=凍った)”“wicked witch(=悪い魔女)”なども収録しています。
和英辞典の例文は、小学生のアンケートを元に作成しているため、“やっと給食の時間だ!(=Finally it`s lunchtime!)”“宿題を忘れました(=I forgot my homework.)”など、読んでいるだけで楽しい表現が満載。子どもの言いたい表現がすぐに見つかります。
「何といっても、英和辞典も和英辞典もすべての単語や例文がネイティブスピーカーの音声で聞けるのがいいところ。音声が単語毎に区切られているので、聞きたいところをパッとみつけられますし、調べたらすぐに聞く習慣をつけることができます」(編集委員の相田先生)
本書掲載のアドレスにアクセスすると、辞書の英語の音がまるごと全部、PC、スマホ、タブレットで聞けます!
取材・構成/池田純子