梅雨の体調不良はなぜ起こるの?
梅雨になると、頭痛や倦怠感などの体調不良を感じる方が多くなります。この原因は、梅雨時は低気圧と高気圧が頻繁に入れ替わり、天気が崩れやすいことに関係があるといわれています。
また、雨が降って肌寒さを感じる日もあれば、梅雨の晴れ間に夏のような暑い日もあり、寒暖差が大きくなることも原因のひとつでしょう。さらに、それらが積み重なることによって、体にはもちろん、心にもストレスをもたらし、自律神経のバランスが崩れてしまうことも考えられます。
また、気候以外の要因として、6月は祝日がなく疲労を感じやすいことも関連があるかもしれません。
梅雨は子どもの体調にも影響はあるの?
大人が梅雨に体調を崩すのと同じように、抵抗力の弱い子どもも体調不良となりやすいものです。4月から幼稚園や小学校に入ったり、新しいクラスの仲間と新学期が始まり、6月は新しい環境による疲れがちょうど出てくる頃。そんなタイミングと梅雨が重なり、子どもも体調不良になりやすくなるのです。
子どもに起きる症状としては、体のだるさや立ちくらみ、めまいなど。ムシムシとして暑い日が続くと、知らないうちに水分不足となっている可能性も考えられます。
また梅雨時に心配なのは、子どもの体調を著しく損なってしまう食中毒でしょう。お弁当には抗菌シートを使うほか、食べ残したものは常温で保存しないなどの注意が必要です。また、口のまわりや手足に発疹が現れる「手足口病」は、梅雨や夏に流行します。梅雨の体調不良によって子どもの免疫力が落ち、このような病気にかかる可能性もあるでしょう。
梅雨の体調不良の症状と原因
ここでは、梅雨によくある体調不良の症状と、それぞれの原因についてご紹介しましょう。
だるい・ねむい
梅雨になると体のだるさが続いたり、眠気がとれなかったりすることがあります。この原因のひとつとして、梅雨時の気候や気圧の変化により、自律神経が影響を受けている可能性もあります。
人が活発に活動しているときは「交感神経」が優位となり、リラックスしたり眠ったりするときは「副交感神経」が優位になることで、自立神経はバランスよく機能しています。しかし、梅雨の気候や気圧の変化によって自律神経に影響が出ることで、交感神経と副交感神経のバランスが崩れてしまうことがあります。それによって、だるさや眠気を感じやすくなることが考えられるでしょう。
風邪をひきやすい
なんとなく体調が優れない…というだけではなく、梅雨になると「風邪をひきやすくなる」という方も多いでしょう。梅雨に入る前は夏日になるような暑い日もあったのに、梅雨になると気候が一変し、肌寒さを感じることもあります。さらに、梅雨の間は日によって暑くなったり寒くなったりします。そんな天気の変化に体がついていかなくなってしまい、風邪をひきやすくなることもあるでしょう。
むくみ
女性に多い梅雨時の悩みとして、むくみがあります。顔や体のあちこちがむくんでしまう経験がある方もいるでしょう。これは、梅雨になると湿度が高くなることが関係しています。私たちの体は気温が高くなれば汗をかいて、体温を調整します。しかし、湿度が高いと体内の水分が汗として体から蒸発しにくくなり、結果として汗をかきにくくなってしまうのです。すると体内に余分な水分がたまりやすくなり、それによってむくみが生じてしまうこともあります。
吐き気・めまい・頭痛
梅雨時は吐き気やめまい、頭痛を感じる方も多くいます。これも、気圧の変化が原因のひとつとされています。梅雨の低気圧によって交感神経が刺激されること、また、交感神経が優位な状態が続くことで体が緊張でこわばり、血行不良になりやすくなるなど、複数の要因が複雑に絡まって起きることもあります。
体の湿気をとる!梅雨の体調不良の対策法
もしかすると、梅雨時に何の体調不良も感じない人はいないのかもしれません。梅雨は1ヶ月以上続くもので、その間に体調を崩さずに過ごすためにはどんなことに注意するべきでしょうか? 食事や生活習慣のそれぞれについて見てみましょう。
食事・食生活
食事は体を作る素となるもの。梅雨を元気に乗り切るためには、食事内容を見直すこともとても大切になります。
先程ご紹介したように、梅雨時の体調不良は、体内に水分がたまることが原因のひとつ。そこで梅雨時には体内の水分を排出しやすくする食べ物が最適です。納豆やホウレン草、バナナ、きのこ、緑茶などには、水分排出を促すカリウムが多く含まれていておすすめ。
また、ショウガやニンニク、キムチなどは胃腸の働きを促進するので、内臓の働きも助けてくれます。冷たい飲み物を摂取しすぎると、内臓が冷えて体調不良につながることもあるので注意しましょう。
生活習慣
梅雨の気候の変化で自律神経が乱れやすくなるとご紹介しましたが、自律神経自体の働きを高めるためには、運動がおすすめ。ウォーキングやジョギングなどの有酸素運動を行うことで、血液循環もよくなります。
また、良質の睡眠をとるためにも、入浴のタイミングに気を配ってみましょう。人は体温が下がってきたときに眠りに入りやすくなるため、寝る1時間くらい前に入浴を済ませられるとスムーズに眠りにつくことができるようになります。入浴は、シャワーだけで済ませるのではなく、38~40℃のぬるめのお湯にゆったり浸かりましょう。
その他にも、早寝早起きや1日3回食事をとるなどの規則正しい生活を送ることも、梅雨の体調不良の予防には大事です。
原因不明の体調不良…改善しない場合は何科へ?
さまざまな対策を行っても体調不良になってしまったとき、何科を受診すればよいでしょうか?
梅雨の体調不良は原因がひとつに特定できなかったり、原因が不明であったりすることも多いもの。そんなときは、まずは内科もしくは、かかりつけ医に相談してみましょう。相談ののち、自律神経に関わる場合は神経内科、メンタル面の影響もある場合は心療内科の受診をすすめられることもあるかもしれません。
記事監修
小原 功裕(オバラ ヨシヒロ)
医師。おばら内科腎クリニック院長。1991 年、日本医科大学医学部卒業。長らく透析専門医として臨床経験を積む。2016年、おばら内科腎クリニックを開業。透析治療に特化したクリニックとして、血液透析・腹膜透析だけでなく、在宅透析やアフェレシス治療などさまざまな治療を導入。患者一人ひとりの体質や病状、ライフスタイルに合った透析治療を推奨している。日本透析医学会専門医。日本透析医学会指導医。日本アフェレシス学会専門医。埼玉城北腎疾患フォーラム世話人。埼玉南西部透析医会世話人。
おばら内科腎クリニック
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梅雨の体調不良には、適切な対策を
気候が大きく変化する梅雨時は、体調がすぐれない日が出てくるものです。その体調不良を最小限に抑えるためには、体調不良の原因を把握して日頃から食事や生活習慣で対策を行うことが大切です。雨が降っている日は必ず頭痛になりやすい…など、自分の不調のパターンを把握できるようになるといいですね。毎日の生活の中でできる対処法を行って、梅雨の不調を乗り切りましょう。
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文・構成/HugKum編集部