小3~4年生頃から始まる「ギャングエイジ」。子供の特徴と上手な付き合い方、ママパパ体験談も!

心も体も小学校低学年のころとは違った発達過程がみられるようになる小学校中学年。この時期は、思春期の本格的な反抗期の前にみられる「中間反抗期」でもあり、「ギャングエイジ」ともよばれる時期です。この時期の子供は仲間や集団をつくって行動することが増えるだけでなく、反抗的な言動が増えるなどこれまでとは違った子供の行動の変化に戸惑う親御さんも多いようです。

そこで今回はギャングエイジ期を経験したママパパに体験談を伺いました。ギャングエイジ期の子供の特徴を探り、この時期の子供との上手な付き合い方をみていきましょう。

「ギャングエイジ」とは?

まずは、ギャングエイジ期の子供の特徴をくわしくみていきましょう。

ギャングエイジは社会性の基礎を身につける大切な時期

ギャングエイジと聞いて、非行にはしってしまう子供の反抗期?!と驚く方も少なくないかと思います。しかし、ギャングエイジの「ギャング」は「仲間」や「集団」を意味し、仲間集団で行動をすることが増える年頃であるため「ギャングエイジ」と呼ばれています。

ギャングエイジは、社会性を身につける子供の大切な発達過程であり、親からの自立に向けた第一歩を踏み出す時期でもあります。仲間を作り集団で行動をすることで、集団の中での役割や責任、ルールを守ることの大切さ、競争や対立で育む精神、自己主張の方法や対人関係の築き方など将来の社会生活に必要なさまざまなスキルや知識が得られます。ギャングエイジは大切な子供の発達過程のひとつであるということをまずは理解することが大切です。

ギャングエイジの時期はいつごろ?

ギャングエイジ期は、小学3~4年生くらいから高学年の時期に現れます。9歳頃から徐々に仲間意識が芽生えるようになり、仲間集団を作って共に行動することが増えてきます。友達との関係性にも変化が出てくる時期でもあり、家族より友達との結束が強まり、親への反抗的な態度や強い自己主張などが目立つようになる傾向があります。

ギャングエイジがない子もいる

現代社会では1人で遊べるテレビゲームなどの普及に加え、塾や習い事で遊び時間が減っている子供が増えています。近年の子供を取り巻く環境の変化を背景に、子供同士の密接した関わり合いが減ったことで、ギャングエイジを経験しない子供が増えてきているともいわれています。個人差はありますが、ギャングエイジを経験しないことで、社会性の基礎が学べないまま成長していく子供が増えてしまうのではないかと危惧されています。

この時期の子どもに見られる特徴

では、ギャングエイジの子供の特徴についてみていきましょうこの時期の子供の言動を具体的にみていきましょう。

同性・同年代での仲間づくり

幼児期から小学校低学年にかけては、性別や年齢に関係なくいろいろなお友達と遊ぶ傾向であったのが、ギャングエイジ期になると、同性で同年代の仲間集団をつくるようになり行動を共にするようになります。さらに、仲間と独自のきまりや秘密をつくるなどしてグループとしての一体感を築き、外部に対して閉鎖的になる傾向もあります。

親からの干渉を避ける

友達のことや学校での出来事などを親に話さないようになったり、嘘をついたりするなどして親から干渉されることを避ける傾向があります。さらに、家族よりも友達と一緒に行動をしたがるようになり、友達の存在が大きくなる時期でもあります。

親や教師への反抗的な言動

何を言っても「うるさい!」などと言い返したり言い訳が増えたりすることがふえ、反抗的な態度をとるのもこの時期の子供の特徴です。乱暴な言葉づかいをすることが目立つようになることもあり、ショックを受けるママも少なくないようです。

行動がオンライン化してくる

スマホやゲーム機を持つようになる子も多く、SNSやオンラインゲーム上で、子ども同士が親の知らないところで遊ぶ約束をしているケースもあります。また、悪意を持つ大人と接点がでてくるため、ギャングエイジ期の子どもを持つ親は十分注意が必要です。

ギャングエイジ期を経験した【ママパパの体験談】

子供にどのような変化が見られたのか、実際にギャングエイジ期を経験したママパパの体験談を教えてもらいました!

親の言うことを聞かなくなった

以前は素直に聞いてやっていたことが、反抗的な態度をとるように。ギャングエイジ期を経験したママパパの中で、親の言うことを聞かなくなったという回答が一番多くみられました。

「話を聞かない。 ママだって○○じゃんと言ってくる」(30代・東京都・子ども3人)
「今までは私の言うことをよく聞いていたが、反抗的な態度を取ることが多くなってきた。」(30代・埼玉県・子ども2人)

言葉使いが悪くなる

言葉使いの変化もギャングエイジ期の子供に多くみられる特徴です。「うるせぇ!」「ウザイ」「ババア」など言葉使いが急に悪くなったり怒鳴ったりすることも増えるようでびっくりするママも少なくないようですね。

「うるせえな、などの事を妻に言うようになった」 (30代・東京都・子ども2人)
「急激に言葉使いが悪くなり、怒鳴ったりするようになった」(40代・神奈川県・子ども2人)
「細かく世話をやくとウザいと言われた。冗談ではあったが、ババアと言うようになった。」(40代・福岡県・子ども2人)

友達関係の変化や、親に友達とのことを話したがらない

ちょっと前まではお友達との出来事をよく話してくれていたのに、まったく話さなくなったということも。友達との関係にも変化がでてくる時期でもあり、親はそれに気づいてあげることが大切です。

「友達とけんかをしているようだったので どうしてけんかになったのかを聞くと お母さんには関係ないことだからほっといてほしいといわれた。」(40代・大阪府・子ども1人)
「友達の輪から外されたり、悪口を聞いたりした。」(30代・秋田県・子ども3人

逆ギレや機嫌を悪くすることが増える

些細なことで機嫌を損ねることが増えたということも。この時期の子供への接し方に戸惑う親御さんも多いようですね。

「ダメなことをして注意すると逆に怒ってくる。 口答えが多くなってきた。」(40代・大阪府・子ども1人)
「声かけのタイミングが悪いとあからさまに不機嫌になる。」(40代・東京都・子ども2人)
「自分の思い通りにならないと、拗ねてご飯を食べなくなる。」(30代・長野県・子ども2人)

言い訳が多くなった

返ってくる言葉は言い訳ばかり…。子育ての難しさを改めて実感することも多々あるようです。

「なんで、なんで、と言い訳した (40代・神奈川県・子ども2人)
「○○したら?と言っても、今やろったうと思っていたのに、言われたからしたくなくなったと言うことが多くなった。」(50代・岩手県・子ども2人)

友達に同調し約束やルールを破ったりする

家族より友達とのことを優先したり、友達に同調して親との約束や学校や社会の規則を破るようになるのもギャングエイジ期の子供の特徴です。登下校のルートを破るなど今まできちんと守れていたことも友達と一緒にちょっぴり冒険してみるなんてことも増えてくるようです。

「 友達がしているからと、小学校の帰り道に寄り道する、登校下校のルートを破る、友達を勝手に家に入れる、近所の駐車場の車を傷つける」(40代・東京都・子ども2人)
「約束したことを守らず、悪びれもしない悪びれもしない」(30代・京都府・子ども2人)

子どもへの接し方で気を付けたいこと

では、ギャングエイジ期の子供に対して親はどのように接したらいいのでしょうか。文部科学省は「子どもの発達段階ごとの特徴と重視すべき課題」でギャングエイジについて言及しており、この時期の適切な対応と支援の重要性を指摘し、以下の5つのポイントを重視すべき課題とあげています。

  • 抽象的な思考への適応や他者の視点に対する理解
  • 自己肯定感の育成
  • 自他の尊重の意識や他者への思いやりなどの涵養
  • 集団における役割の自覚や主体的な責任意識の育成
  • 体験活動の実施など実社会 への興味・関心を持つきっかけづくり

ギャングエイジの子供の心を理解しながら、この時期の子供と上手な付き合い方をするための注意点をみていきましょう。

子供の変化に気付く

仲間を作ることで友人との絆を深めることができる一方、それぞれの集団が形成されることで仲間はずれやいじめが発生することもあり、子供だけでは解決できず親の支援が必要な場合もあります。反抗的な言葉や行動の裏に隠された子供の変化に気付いてあげ、いざというときには寄り添いじっくりと話し合うことを忘れずにしましょう。

感情的にならず子供と向き合う

子供の反抗的な態度や言葉づかいについイライラしてしまうこともあると思いますが、この時期の子供の反抗的な態度は成長段階のひとつであることを理解し冷静に受け止めることも大切です。この時期の子供は親や大人からの干渉を嫌いますが、そんな中でもいつでも頼れる存在であり続けるのは親。反抗的な態度を繰り返す子供に対し理解を示し、感情的になるのをぐっと抑えて子供と向き合ってコミュニケーションをとるように心がけましょう。

否定せず見守ることも大切

子供のことや仲間との遊びを否定することは避け、子供同士が深く関わる環境を見守ることも大切です。とはいっても、まだ十分な判断力がまだついていない子供であり、この時期は、仲間と一緒にいたずらをすることが増えることもあります。ギャングエイジだからとほったらかしにするのではなく、けっして目を離すことはせず、いいことと悪いことの判断を間違っていないかしっかり目を光らせておくことも必要です。

子供の成長を見守り、親子でギャングエイジを乗りきろう!

ギャングエイジは、思春期を前に友達から影響をうけながら社会性の基礎を身につける大切な発達過程です。親から離れて子供だけの集団で遊ぶことで、子供たちはさまざまな知識を育んでいます。ギャングエイジ期の子供の心を理解しながら、親子でこの時期を上手に乗り越えていきましょう。

 

記事監修

村田 学(https://www.oiedu.org/
国際教育評論家

アメリカ生まれ、日本育ち。インターナショナルスクールの経営経験から国際教育の現場を知る。国際バカロレアの教員研修を修了した国際教育評論家。
インターナショナルスクールとEduTech系ベンチャー2社に出資しており、海外から日本参入のEduTechベンチャーのアドバイスも増えている。

 

 

文・編集/HugKum編集部

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