「妥協」という言葉を使ったり聞いたりする機会は、意外によくあります。言葉の意味を間違って覚えてしまうと、恥をかくだけでなく話し合いがうまくいかないこともあるでしょう。例文を交えながら、妥協の意味や類義語を紹介します。
妥協とは?
「妥協」はビジネスシーンだけでなく、日常でもよく使われる言葉です。正しい意味が分かっていないと、物事がスムーズに進まなくなる心配があります。正しい意味や使い方を見ていきましょう。
妥協の意味
「妥協」とは両者の間で意見や利害が対立していた場合に、双方あるいはどちらか一方が歩み寄り、意見を近づけることです。
互いの条件で譲り合える点がないかを探った後、不本意な部分を飲み込んで、妥当な線で折り合いをつけることを意味します。
注意したい点は、歩み寄る割合が必ずしも互いに同じではないところです。たとえ譲りたくない部分があったとしても、穏便にことを済ませたいときに使用される場合が少なくありません。
よく似た言葉に「妥結」がありますが、こちらはどちらか一方ではなく、互いに折り合いをつけて話をまとめることを意味します。
使い方
妥協はさまざまな状況で使われる言葉だといえます。家庭・学校・職場などで、誰かと意見が食い違うことはよくあることです。
時には、意見をぶつかり合わせるときだけでなく、自分の希望が通らないシーンでも使われます。例文を見て使い方をイメージしましょう。
- 互いの利益のためには妥協しなければならない
- A社が第一志望だったが、妥協してB社に入社した
- あの監督は妥協を許さない厳しい指導に定評がある
- 理想を目指すために、どうしても妥協できない部分がある
- 妥協点を見つける以外に手立てはない
妥協案・妥協策・妥協的というように、複合的に用いられることもあります。
語源
妥協という言葉の意味を深く知り、正しい使い方をマスターするには語源を知ることがおすすめです。
「妥」には「互いに折れ合う」「安らかにする」などの意味があり、女性をなだめようと手で制している様子を表しています。
「協」は三つの力で漢字が成り立っていることから分かるように、「力を合わせる」「調子が合う」などの意味を持つ言葉です。
この二つの漢字を組み合わせると、「対立をなだめて、力を合わせる」という意味になります。
妥協の類義語
妥協と似た意味の言葉は多く、使い方に迷うことが少なくありません。類義語をチェックして、正しく使い分けましょう。妥協の類義語と例文を紹介します。
「歩み寄る」の意味と使い方
「歩み寄る」は歩いて近づき、距離を縮めることです。単に体と体が近づく様子を表すのではなく、意見を一致させるために「互いが主張を譲り合って近づくこと」を意味します。
双方、あるいはどちらか一方が譲歩し合う関係を指して使用することがポイントです。名詞として使用するときは「歩み寄り」といいます。
「歩み寄る」の例文は以下の通りです。
- このプロジェクトを成功させるには、両者の歩み寄りが必要だと考えられる
- 間違った方法ではあったが、歩み寄ろうと努力してくれたことは評価したい
「折り合い」の意味と使い方
折り合いの意味は「譲り合って解決すること」です。名詞として使用するときは「折り合い」、動詞として使用するときは「折り合う」と使います。
「折る」という言葉には、物理的に物を折り曲げる以外に「意見を曲げる」という意味もあり、折り合いという言葉が生まれました。「折り」を合わせるということで、互いが主張を引っ込めて丸く収めることを表すようになったのです。
人間関係を指して「折り合いがよい」あるいは「折り合いがよくない」などと表現することもあります。
「折り合い」の例文は以下の通りです。
- 難しいことは分かっているが、何とか予算の折り合いをつけてほしい
- あの人達は昔から折り合いが悪く、揉め事ばかり起こしている
「譲歩」の意味と使い方
「譲歩」には自分の主張を抑えて、相手の考えを受け入れるという意味があります。妥協と似ていますが、違うのは自らが引くことで話をまとめようとするところです。同じように対立を和らげる意図はあっても、方法が異なる点を押さえておきましょう。
狭い道でどちらか一方が相手に道を譲る様子が語源とされ、名詞として使うほか「譲歩する」という動詞としても使用します。
「譲歩」の例文は以下の通りです。
- 以前助けてもらったのだから、今回はこちらが譲歩すべきだ
- 交渉した結果、譲歩を求められた
英語では「Compromise」
日本語だけでなく、英語にも妥協を意味する単語があります。使い方や意味を見ていきましょう。
Compromiseの使い方
英語で「妥協する」を意味する単語は「Compromise」です。例えば、「Let’s compromise(お互いに妥協し合いましょう)」というように使います。
相手の全てを受け入れるわけではなく、部分的に受け入れる意味を持っていることがポイントです。
互いの提案を少しずつ違ったものにし、意見をすり合わせたい場面で使用されます。ビジネスでの交渉事や、日常生活で考え方が対立したときなどに使われることが多いでしょう。
意味を混同しがちな単語に「Concede(譲歩)」があり、こちらは相手の意見を受け入れて主張を抑えることを意味します。自分の主張より、相手の考えが優れていることを認めるニュアンスがあることを押さえておきましょう。
妥協の意味について学ぼう
妥協は相手が出した条件に不本意な部分があったとしても、話を丸く収めるために意見を近づけ合うことを意味します。双方が考えを変えることもあれば、どちらか一方だけが考えを変える場合もあることがポイントです。
たくさんの類義語があるので、混同しないように正しい使い方を覚えましょう。
構成・文/HugKum編集部