家電リサイクル法をご存知でしょうか?冷蔵庫や洗濯機などを処分したいときには、この法律に従う必要があります。また小型の家電には別の法律が定められています。
この記事では、家電リサイクル法とはなにか、対象となる家電や処分料金、処分の流れなどを紹介。さらにより小型の家電を対象とした小型家電リサイクル法についても解説していきます。
目次
家電リサイクル法ってどんなもの? 家電の処分の仕方が知りたい!
買い替えなどで不要になった家電は、むやみに廃棄することはできません。また、特定の家電は、粗大ゴミに出すこともできず、処分方法が法律で定められています。家電のリサイクルについて見ていきましょう。
家電リサイクル法とは
「家電リサイクル法」は、一般的な呼び方で、正式には「特定家庭用機器再商品化法」といいます。法律で定められた家庭用機器の廃棄物を回収し、まだ使える部品や材料をリサイクルすることが目的。廃棄物の削減、資源の有効利用を推進します。
対象は家電4品目
家電リサイクル法で対象となる家電廃棄物は、以下の4品目です。
・エアコン
・テレビ
・冷蔵庫・冷凍庫
・洗濯機・衣類乾燥機
いずれも家庭用機器のみです。
いつから施行された?
家電リサイクル法は、1998年(平成10年)5月に国会で成立。2001年(平成13年)4月1日より施行されました。
罰則内容
家電リサイクル法は、個人に対して罰則や罰金は設けられていません。一方、家電を作っているメーカー、家電を売っている小売業者については、罰則が設けられています。
家電リサイクル法で個人が罰せられることはありませんが、家電を山林や川、山などに不法投棄すると、罪に問われます。
不法投棄は個人の場合、5年以下の懲役、または1,000万円以下の罰金となります。
家電を正しく処分しなくてはならない理由
家電を正しく処分しないと、以下のようなことが起こる可能性があります。
無許可業者の手にわたる可能性
「家電を無料で回収します」と宣伝して走る軽トラックを見かけたことはありませんか。「無料回収」をうたう業者のなかには、自治体が定める「一般廃棄物処理業」の許可を持っていないところもあります。また、そういった業者は、最初は「無料」と言っていたのに、あとで高額な料金を請求することもあります。
トラブルに巻き込まれないためにも、家電リサイクル法に従い、処分することが大切です。
不法投棄、不適切管理、不適切処理
前述したような無許可の業者は、不法投棄や不適正な管理、不適正な処理を行う可能性があります。そうした行為によって、有害物質が環境中に放出されたり、火災などの事例も発生しています。
家電リサイクル法には環境を守る役割もあります。一方、使わなくなった家電が無許可業者の手にわたってしまうと、環境を汚染してしまう可能性があります。
国内取引の適正化、海外への不適正輸出防止
無許可業者による国内取引の不適正、さらに海外への輸出を目的に廃棄家電などの解体を行う「ヤード業者」による不適正輸出が問題となっています。
それらを防止するためにも、家電リサイクル法によって、家電を正しく処分しなければなりません。
家電リサイクル法対象製品の処分にかかる料金
家電リサイクル法対象製品を処分するときには、料金がかかります。どのくらいかかるのか、見ていきましょう。
リサイクル料金+運搬料金
家電リサイクル法の対象となる家電を処分する際には、リサイクル料金に加えて、収集・運搬料金がかかります。
リサイクル料金は、対象家電の製造メーカーによって異なるので注意が必要です。また、収集・運搬料金も、小売業者によって異なります。依頼する際には、必ず料金を確認するようにしましょう。
エアコン
エアコンのリサイクル料金は、ほとんどのメーカーで990円となっています。
テレビ
テレビのリサイクル料金は、大きさ、ブラウン管か液晶・プラズマか、どのメーカーかによって異なります。以下は、一般的なリサイクル料金です。
・15型以下のブラウン管:1,320円〜
・16型以上のブラウン管:2,420円〜
・15型以下の液晶・プラズマ:1,870円〜
・16型以上の液晶・プラズマ:2,970円〜
冷蔵庫・冷凍庫
冷蔵庫や冷凍庫のリサイクル料金は、大きさ、どのメーカーかによって異なります。一般的なリサイクル料金は以下のとおりです。
・170リットル以下:3,740円〜
・171リットル以上:4,730円〜
洗濯機・衣類乾燥機
洗濯乾燥機、全自動洗濯機、2槽式洗濯機などの洗濯機、乾燥機は、大小の区分はありません。
一般的な料金:2,530円〜
家電リサイクル法に基づく処分の流れ
家電リサイクル法の対象となる家電は、どのような流れで処分するのでしょうか。見ていきましょう。
回収方法を確認
まずは回収方法を確認します。回収方法は、家電の買い換えなのか、処分だけなのかで異なります。
家電を買い換える場合は、新しい製品を購入するお店(家電量販店など)に古い家電の引き取りを依頼します。お店によって回収方法が異なりますので、事前に確認しましょう。
処分だけの場合は、処分する製品を購入したお店に問い合わせてみましょう。購入したお店を忘れてしまった、わからないなどの場合は、お住いの自治体の案内にしたがって処分してください。処分方法は、自治体のホームページに記載されているはずです。確認してみてください。
回収業者が引き取り、または指定引取場所に持ち込み
引き取りの場合は、業者が指定された回収日にやってくるので引き渡します。
そのほか、郵便局の窓口で家電リサイクル券(料金郵便局振込方式)を入手し、必要事項の記入して料金を支払ってから、指定引取場所に持ち込む方法もあります。
家電リサイクル法対象外の製品の処分方法
家電リサイクル法の対象となっている4品目以外にも、家電を処分することはあります。その場合、どのように処分すればよいのでしょうか。
家電リサイクル法以外に、小型家電リサイクル法もあります。
小型家電リサイクル法とは
小型家電リサイクル法とは、不要になった小型電子機器や家電などを回収、リサイクルして再利用するための法律です。
小型家電リサイクル法の対象は家電28品目
小型家電リサイクル法の対象となる家電は、28品目あります。携帯電話、パソコン、デジタルカメラ、ビデオカメラ、電子レンジ、電気掃除機、炊飯器、パソコン、アイロン、こたつ、ゲーム機などです。
ただし、対象品目は各自治体が各々の状況にあわせて選定していますので、自治体によって品目は異なります。
小型家電リサイクル法はいつから施行された?
小型家電リサイクル法は、2012年8月に公布され、2013年4月1日に施行されました。資源を有効活用し、環境汚染を防止することが目的です。
罰則内容
小型家電リサイクル法に違反すると、30万円以下の罰金が科されます。正しく処分しましょう。
小型家電リサイクル法対象製品の処分にかかる料金
小型家電リサイクル法の対象となる製品の処分は、お住まいの自治体によって異なります。
ここでは、東京都練馬区を例に料金をご紹介します。
パソコン・パソコンモニター
パソコン、パソコンモニターは、小型家電リサイクル法に加えて、資源有効利用促進法の対象品目になっています。
販売時期によっては、リサイクル料金がかからないケースもあります。平成15年10月以降に販売されたパソコンで、PCリサイクルマークが付いているものは、購入代金にリサイクル料金が含まれているので処分は無料です。
上記以外のパソコン等のリサイクル料金の一例は次のとおりです。
・デスクトップパソコン本体:3,000円~4,000円
・ノートブックパソコン: 3,000円~4,000円
・ブラウン管ディスプレイ:4,000円~5,000円
ブラウン管ディスプレイ一体型パソコン:4,000円~5,000円
液晶ディスプレイ:3,000円~4,000円
液晶ディスプレイ一体型パソコン:3,000円~4,000円
※料金はメーカーによって異なることがあります。詳細はメーカー等に確認してください。
電子レンジ
練馬区では、電子レンジは粗大ゴミとして回収されます。収集の場合は400円、持ち込みの場合は200円の手数料がかかります。
ビデオカメラ
ビデオカメラは無料で回収しています。公共施設やリサイクルセンターに設置された回収ボックスに投入します。
電気掃除機
練馬区では、掃除機は粗大ゴミとして回収されます。収集の場合は400円、持ち込みの場合は200円の手数料がかかります。
炊飯器
練馬区では、炊飯器も粗大ゴミとして回収されます。収集の場合は400円、持ち込みの場合は200円の手数料がかかります。
小型家電リサイクル法に基づく処分の流れ
小型家電リサイクル法の対象となる家電は、どのような流れで処分するのかチェックしましょう。
回収方法や回収場所を確認
まずは回収方法や回収場所を確認しましょう。
自治体によって、公共施設や家電小売店などに設置された「ボックス回収」、ゴミ回収区分に小型家電が設けられた「ステーション回収」、粗大ゴミや不燃ゴミと一緒に回収し、のちに自治体の職員が小型家電を取り出す「ピックアップ回収」などがあります。
回収した後は原則として認定事業者に引き渡し
回収後は、認定事業者に引き渡され、分解、破砕され、金属の種類やプラスチックなどに分別されます。
その後、金属は金属製練事業者によって、金属資源として再生されます。
家電は法律を守って正しい処分を!
エアコンや冷蔵庫、テレビ、洗濯機などの家電の処分は、法律で処分方法が定められています。法律にしたがって処分しないと、罰則が科されることもありますので注意してください。
小型家電は、自治体によって扱いが異なります。必ず自治体のホームページなどで確認してから処分してください。また「無料回収」をうたう無許可業者に回収を依頼しないように注意してください。
文・構成/HugKum編集部