5歳児の2人に1人が貧血の疑いが!子どもの脳の土台を作る“鉄分”足りてますか?【栄養士監修】

子どもの脳が健やかに成長するには、栄養の摂取の仕方も大切なポイントになります。株式会社明治では、乳幼児の健全な発育を支える啓発活動の一環として「乳幼児の脳の発達と栄養」をテーマに、2021年10月4日、オンラインセミナーを開催しました。セミナーで「子どもの脳の土台を作る栄養」について講演した、予防医療・栄養コンサルタントで一般社団法人ラブテリ代表 細川モモさんの話を紹介します。細川さんは、子どもの脳の発達と食事には深いかかわりがあると言います。

脳の成長に欠かせない3つの栄養素とは?

乳幼児期の脳の成長に欠かせない「DHA」「たんぱく質」「鉄」

「乳幼児期から脳を育てる」というと、早期教育などをイメージするママもいるかも知れません。しかし乳幼児期の脳の成長にとって、まず必要なのは毎日の食事で「DHA」「たんぱく質」「鉄」を十分に摂ることです。

DHA」は、ドコサヘキサエン酸という脂肪の一種。体内で作ることができないため、イワシ、サバなど青背の魚や、サケ、マグロ(トロ部分)などの魚介類で摂ることがおすすめです。

「たんぱく質」は、アミノ酸が結合してできた栄養素です。アミノ酸は20種類ありますが、体内で合成できないアミノ酸(必須アミノ酸)も多いので、鶏、豚、牛の肉類、魚類、大豆などから摂りましょう。

脳の成長に欠かせないもう1つの栄養素が「鉄」です。鉄は、脳の神経回路を作るのに必要な栄養素ですが、食事では摂りにくいのが難点です。

また赤ちゃんは6カ月ごろに、胎児期にママからもらった鉄が枯渇します。それ以降は、離乳食などで鉄を摂っていくことが必要ですが、完全母乳でママ自身、鉄不足だと母乳に含まれる鉄は必要量を満たせません。そのため完全母乳の場合は、ママも鉄を摂ることを意識してください。

貧血の疑いがある子は、2~5歳で約40%

鉄不足になると、子どもでも貧血が心配されます。細川モモさんが代表を務める一般社団法人ラブテリでは、各地で「こども保健室」や「おやこ保健室」と名付け、親子の栄養状態を把握する取り組みを行っています。

2019年、採血不要の測定器を使って2~5歳の子ども106名のヘモグロビン測定を行いました。ヘモグロビンが少ないと貧血が疑われますが、結果は3~4歳では約3人に1人、5歳では約2人に1人の割合で貧血の疑いがあることがわかりました。

今回の検査は血液検査ではないため、測定値はあくまで推定値となりますが(※)、貧血の原因が必ずしも鉄不足とは限らないことを考慮しても、日本の子どもの鉄不足は想像以上に深刻な状態といえます。

※貧血検査は、本来は血液検査で行いますが、日本では乳幼児健診で血液検査を行わないため子どもの貧血の実態が把握できないのが現状です。

※貧血測定は、Mashimo Japan”Rad-67″で測定

諸外国は、乳幼児期から鉄強化食品で鉄を摂るのが主流

子どもの鉄不足の原因として考えられるのは、成長期の子どもは鉄不足になりやすいことと、日本は鉄強化食品を取り入れる割合が少ないためです。しかし海外では、国策として子どもの鉄不足を解消する取り組みを行っていて、市販の飲料や食品の中に鉄分が含まれている鉄強化食品が充実しています。

また1~3歳の1日の鉄の推奨量も日本は4.5mgに対し、たとえばニュージーランドやオーストラリアは9.0mgと倍です。

諸外国が幼児期の鉄の摂取に積極的なのは、幼児期の鉄不足は、脳や体の成長に大きく影響することが明らかになっているためです。過度に鉄が不足すると貧血だけでなく、運動機能、認知機能の低下につながることもわかっています。

おうちごはんで手軽に鉄を摂る4つのポイント

日本では、1~3歳の1日の鉄の推奨量は4.5mgとされています。しかしこの推奨量は、実は栄養の専門家でも摂らせるのが難しいです。そのため3食+おやつ(補食)で鉄を摂る工夫が必要です。手軽に鉄を摂るための4つのポイントを紹介します。

ポイント1 鉄は、毎日摂ることを心がける

鉄は、毎日摂り続けることが大切です。鉄は鶏や豚のレバー、赤身の肉、卵黄、あさり、小松菜などに多く含まれているので、積極的に食べさせましょう。鉄製のフライパンや鍋などを使うのも一案です。

ポイント2 ビタミンCも一緒に摂る

ビタミンCは鉄の吸収を助けます。ただし熱に弱い栄養素なので、副菜にサラダを用意するなどして鉄と一緒に摂ってください。

ポイント3 惣菜や缶詰などを使う

鉄は、レバーに多く含まれていますが「レバーを調理するのは大変」と感じるママも。そんなときは焼き鳥のレバーを買って、野菜と炒めたりするのも◎。ツナ缶、鮭フレーク、しらす、鰹節などからも鉄は摂れるので、ごはんに混ぜたりしてもいいでしょう。プルーンをヨーグルトなどに入れるのもおすすめです。

ポイント4 牛乳の代わりにフォローアップミルクを利用する

牛乳は、カルシウムは豊富ですが、鉄はほとんど含まれていません。そのため1歳以降は、牛乳の代わりにフォローアップミルクを飲ませても。シチューやグラタン、カレーなどを作るときは牛乳の代わりにフォローアップミルクを使ってもいいでしょう。

フォローアップミルクというと子ども用と思いがちですが、お料理に入れて使うとママ・パパも手軽に鉄が補給できます。またカルシウムも豊富なので、骨密度の回復も促されます。

子どもの脳の成長に欠かせない3大栄養素が含まれる「明治ステップ らくらくミルク」

 

記事監修

予防医療・栄養コンサルタント・一般社団法人ラブテリ代表

細川モモさん

2009年、日米の医師、栄養士、料理研究家による予防医療プロジェクト「ラブテリ トーキョー&ニューヨーク」を発足。病気になる前に予防する予防医学の専門家として、主に女性や母子の健康に関する調査や啓蒙活動を行っている。『成功する子は食べ物が9割』(主婦の友社)、『タニタとつくる美人の習慣』(講談社)など著書多数。二児の子育て中。

取材・資料協力/株式会社明治 取材・構成/麻生珠恵

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