高等教育無償化とはどんな制度? 条件や内容、手続き方法を把握しよう

「高等教育の無償化」という話を聞いて気になっているものの、どのような制度なのかよく分からない人は多いかもしれません。支援制度の内容を条件や手続きの方法とともに紹介します。注意点にも触れるので、しっかり確認しましょう。

高等教育の無償化制度とは

「高等教育の無償化制度」の正式名称は「高等教育の修学支援新制度」で、高校生や大学生の学びたいという気持ちを応援する制度です。まずは、具体的にどのような制度なのか、概要を把握しましょう。

対象は指定の大学・短大・専門学校・高専

この制度は、進学したくても経済的理由で難しい家庭の経済的負担を減らすことを目的とし、2020年にスタートしました。文部科学省が指定する学校が対象で、大学・短期大学・専門学校・高等専門学校と幅広くカバーされています。

学問と実践的教育のバランスがよいなどの基準で、国や自治体による条件をクリアしている学校が対象です。47都道府県全体で約3000校あり、有名校の多くが認可を受けています。

参考:学びたい気持ちを応援します 高等教育の修学支援新制度:文部科学省

授業料等減免

「授業料等減免」は授業料と入学金を減免し、就学者の負担を減らすための方策です。入学金や授業料を支払うには、ある程度まとまった資金が必要なため、経済的不安を抱える家庭を支援することを目的としています。

減免額は、学校の種類や世帯収入によって変わりますが、上限額(年額)は以下の通りです。

<国公立(入学金・授業料)>
・大学:約28万円・約54万円
・短期大学:約17万円・約39万円
・高等専門学校:約8万円・約23万円
・専門学校:約7万円・約17万円

<私立(入学金・授業料)>
・大学:約26万円・約70万円・
・短期大学:約25万円・約62万円
・高等専門学校:約13万円・約70万円
・専門学校:約16万円・約59万円

参考:高等教育の修学支援新制度について

給付型奨学金

家庭の事情などで、生活費のために多大な時間をバイトに費やす必要がある学生もいるでしょう。「給付型奨学金」は学生の生活費を支援することで、学業に専念できるようにすることが目的です。

給付額(年間)は、学校の種類や自宅生・自宅外生かによって異なります。

<国公立(自宅生・自宅外生)>
・大学・短期大学・専門学校:約35万円・約80万円
・高等専門学校:約21万円・約41万円

<私立(自宅生・自宅外生)>
・大学・短期大学・専門学校:約46万円・約91万円
・高等専門学校:約32万円・約52万円

参考:高等教育の修学支援新制度について

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制度を受けるにはどのような条件がある?

制度は、誰でも利用できるわけではありません。利用を検討する前に、まず、利用条件に当てはまるか確認しましょう。

資産や世帯年収が基準以下

経済支援を目的とした制度であるため、資産や世帯年収が基準以下であることが条件の一つです。

資産とは現金や有価証券のことで、不動産は含まれません。生計維持者の人数によって基準が異なり、1人の場合は1250万円、2人の場合は2000万円未満です。

対象となる年収の目安は、家族構成によって細かく分けられています。例えば、両親のうち1人の親だけが働いており、もう1人の親は無収入、子どもが1人で年収が約220万以下であれば満額が支給されます。

「進学資金シミュレーター」を使うと、おおよその支給額が分かるので利用してみましょう。

参考:
支援措置の対象となる学生等の認定要件について
進学資金シミュレーター|日本学生支援機構

一定の学力・学習意欲がある

一定の学力を有していることや、学習意欲があることも条件です。

具体的には、高校3年生であれば「高校2年次までの評価平均値が3.5以上」であることが求められます。ただし、3.5未満の場合でもレポートや面談によって、学習意欲があると確認されれば条件を満たせるので諦めなくてもよいでしょう。

大学などにすでに在学している場合は、次のいずれかを満たしている必要があります。「平均成績が上位1/2以上」、あるいは「修得単位数が標準以上で学修計画書を提出し意欲や目的が確認できること」です。

学力だけで判断されるわけではないので、詳細をしっかり確認することが大切です。

参考:支援措置の対象となる学生等の認定要件について

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申し込みの手続き方法

条件を満たしていても申し込みの手続きに不備があると、支援が受けられない可能性があります。トラブルなくスムーズに手続きを済ませられるように、具体的な方法を確認しておきましょう。

給付型奨学金には2種類の方法が

「給付型奨学金」には、「予約採用」と「在学採用」の2種類の手続き方法があります。「予約採用」の場合は、在籍している高校を通して4月下旬頃から申し込みが可能です。

「在学採用」の場合は、在学している大学などを通して4月頃と9月頃に申し込みができます。予約採用の申請に間に合わなかった人も、申し込みが可能です。詳細については、「日本学生支援機構(JASSO)」から学校を通して案内がされるので確認しましょう。

「授業料等減免」については、高校を通してではなく、進学先の学校で申し込みをします。申し込みの期間は学校によって異なるため、進学先の学校が定める期間を確認し申し込みましょう。

参考:高等教育の修学支援新制度について P16

高等教育無償化制度の注意点

制度をしっかり利用するための注意点を紹介します。思わぬトラブルを避けるためにも、きちんと確認しておきましょう。

学業を怠ると打ち切りの可能性も

高等教育無償化は「学びたい気持ちを応援」する制度です。そのため、学業成績の低下や学修意欲がないと判断されたときは、支援を受けられなくなる可能性があります。

具体的には、卒業や修了ができないと確定したときや修得単位数が標準単位数の5割以下であるとき、出席率が5割以下のときなどです。毎年、学年末に判定が行われます。

また、支援は継続されますが、学業成績や出席率が満たないときは成績向上に努めるように促す「警告」も設けられています。連続して警告を受けると、支援が打ち切られるので注意しましょう。

支援を受け続けるには、しっかりと授業に参加して単位を取得し、好成績を維持できるよう勉強に励むことが大切です。

参考:高等教育の修学支援新制度について P14,15

制度を利用することで選択肢が増える

「授業料等減免」と「給付型奨学金」からなる「高等教育の無償化制度」は、子どもの学びたい気持ちを応援する制度です。この制度を利用すれば、経済的理由で大学などへの進学を諦めずに学業に励めるなど、人生の選択肢が増えます。

ただし、利用するための条件や支援を受け続けるための注意点などもあるため、きちんと制度の内容を確認することが大切です。

制度を利用して子どもの学習の後押しをし、将来の可能性を広げてあげましょう。

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文・構成/HugKum編集部

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