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子どもの気質には5つのタイプがある
「気質とは、持って生まれた個性のようなもので、成長しても本質的に大きく変わることはないもの。個性と受け止めて、育児に取り入れてほしいですね」と話す竹内先生。
竹内先生によると、気質はおもに5つのタイプに分けられるといいます。気質によしあしはありませんが、ときに気質が育てにくさとして現れ、困りごとや心配のタネとなるのです。
気質は大きく以下の5つに分類できます。お子さんがどのタイプに属するか、また、「気質タイプ別子育て」について詳しくは、この記事の最後をご覧ください。
1. エンジェルタイプ……愛嬌たっぷりで人気者だけど、のんびり屋
2. テキストタイプ……知的で優等生だけど、ませていて理屈っぽい
3. アクティブタイプ……好奇心旺盛で行動派だけど、落ち着きがない
4. デリケートタイプ……感受性豊かでやさしいけれど、引っ込み思案
5. ネガティブタイプ……粘り強く努力家だけど、こだわりが強い
竹内エリカ先生がお答えします。「テキストタイプ」のお子さんのお悩み
テキストタイプ チェックリスト
あてはまる項目が多いほどテキストタイプの気質あり!
□ ささいなことでも、パッと反応して目で追う
□ 視界に入ったものを指さして、親の注意を引くことが多い
□ 覚えたことをすぐに理解し、覚えるのが早い
□ 親の言うことを何でもよく聞く
□ おしゃべり好きで、口が立って生意気
□ 言い訳や嘘、告げ口をすることが多い
テキストタイプの特徴
5つのタイプの中で、いちばん優等生タイプ。順応性が高く、言葉の習得も早く、扱いやすい子です。
集中力があり、プライドが高く完璧主義ですが、失敗を恐れるあまり言い訳や嘘でごまかすこともありそうです。
相談 文字を丁寧に書くことにこだわり、宿題が進まない7歳男の子
【テキストタイプ・7歳男の子】ママのお悩み
基本に忠実で、先生に言われたことはきちんとこなすタイプです。
ただ、応用がきかず、なかなか宿題が進まないことがあります。ひとつの文字がきれいに書けないことが気になり、進まなかったり、本人の納得がいかないみたいです。
急いでほしいときもあり、どのように時間の制限について伝えたらよいのか悩みます。
竹内先生がお答えします!
文字をきれいに書くのは、とてもいいことですね。
自分なりのこだわりを持って勉強に集中できる子という意味では能力が高く、適当な文字を書いて平気な子より、よほどいいと思います。
他のネガティブタイプのお子さんだと、うまく文字を書けないことに癇癪を起こして怒ったりするんです。そうすると厄介なのですが、このお子さんの場合はそうではなく、最後まで進まなくて時間がかかることが困り事なのだと思います。
お子さんのモチベーションを大切に
この子は「ものすごくきれいに字を書きたい」という目標を持って勉強に取り組んでいて、それがモチベーションになっているんですね。
それに対して「宿題をここまでやる」というのは先生の指示であって、子どものモチベーションではないんですよね。
先生の指示を聞くことだけが子どもの能力を伸ばすかといえば、決してそうではないので、最後までやることを大切にする一方、とことんきれいに書いてみて、それでも宿題が終わらなかったら「うちの子は今、文字をきれいに書くことに夢中になっています」と状況を先生に伝えておくことも大切です。
お子さんの今やりたいことを先生に相談してみる
学校の宿題は「明日までに、ここからここまで」などと細かく決められていると思いますが、この場合だと一字一字をきちんと書くことにモチベーションがあるので、途中で終わらないこともあると思うのです。
もともと子どもは、学ぶことが好きでたまりません。
しかし、先生が言う通りのことは、必ずしも子どもがやりたいことではないので「勉強をやりたくない」と思うようになったり、嫌いになったりするのです。
先生と話せるときに、「今は文字を書くことに夢中になっていてスピードが遅いのですが、宿題を楽しんでやっています」とお伝えするだけでも全然違ってくると思います。先生も「この子はそうなんだな」と思ってくれて、文字のきれいさに気づいてくれるはずです。
子どもの興味を伸ばすことを大切に
先生ももちろん、子どものことを考えてくれていますが、多すぎて細かく見られないのです。親がちゃんと伝えると、それを意識し、褒めてくれるようにもなるので、どんどん伝えていったほうがいいです。
実際に教育現場の先生方から、「お子さんの特性などを伝えてもらえるのはありがたい」と聞いたことがあります。教育のあり方も以前と比べて一律に横並びを目指すのではなく、宿題などの課題は出すけれども絶対ではない、という場合が増えてきましたから。
その子の興味のあることを伸ばしていく方が大切だと思いますし、先生もお子さん一人ひとりに個別な評価判定をしてくださることと思います。
タイマーの活用で時間通りに進める工夫を
しかし、早くしてほしいというのがお母さんの願いですよね。
テキストタイプのお子さんは時間の予測がつきやすいので、前もって約束をしたりタイマーを使ったりするとできるようになりやすいです。
何も言わないままに始めてしまうと、きれいに書くことだけが楽しくなってしまうので、初めに「この後は遊びたいから20分で終わらせよう」とか「10分でここまでできるかな?」「ここまでの時間で2ページ終わらせようね」などと、進めるスピードの目標を言ってあげるといいでしょう。
タイマーは自分で!
そして、キッチンタイマーなどを自分で押させるのです。
人に言われてするのでなく、「自分で押した」ということで、人に文句を言いにくくなり、時間を守る確率が上がりますよ。
「気質タイプ別子育て」で子育てをラクに!
テキストタイプのお子さんは基本的には親の言うことをよく聞くタイプです。でも、「こういうお悩み、うちの子にもあるかも」と思われた親御さんもいるではないでしょうか。
竹内先生には、この他の「気質タイプ」のお子さんのお悩みにも答えていただきます。
子どもの気質に合った育て方をして、その伸ばし方を知ることで、育児はもっと楽になるといいます。「困った」事態に備えることができるので、親のイライラや不安も軽減されます。
竹内先生の「気質タイプ別子育て」については、HugKumの他記事をどうぞ参考にしてみてください。
参考書籍/『0歳から6歳までは 生まれながらの「気質タイプ別育て方」でラクになる!』 (KADOKAWA)
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記事監修
竹内エリカ先生
お茶の水女子大学大学院人文科学研究科修士課程修了。20 年にわたって子どもの心理、教育、育成について研究し、これまで約 20,000 人、子どもから大学生までを指導してきた。あそび学を専門とし保育・幼児教育関係者への講演活動や執筆、ラジオパーソナリティーなども務める。
写真/写真AC イラスト/よしだゆう 文・構成/村重真紀