肌のバリア機能が保たれれば感染症も怖くない!
夏に限らず肌トラブルを起こさないためには、肌のバリア機能を保つことが基本になります。肌に汚れが付着して炎症が起きると、バリア機能が低下。そこから菌やウイルスが侵入して湿疹等を伴う感染症を引き起こすことになります。
まずは肌を清潔に保つことがスキンケアの第一歩。夏は汗をたくさんかきますが、汗も汚れと捉えて、こまめにふき取ることや洗い流すことを心がけてください。
また、肌の乾燥もバリア機能の低下を招きます。夏も手足やひざ頭などが乾燥しているお子さんもいますので、乾燥している部位は保湿も怠らないようにしましょう。
スキンケアを続けることで子どもの生活の質も向上する
肌のバリア機能の低下は、あせもなどかゆみを伴う炎症も引き起こします。炎症によってかゆみが続くのは、大人でも不快なものです。子どもも同様で、眠りが浅くなり、睡眠の質や日中の集中力、免疫力の低下も起こりかねません。学齢期に入ってからは学業にも影響があると言われています。
また、最近では経皮感作(けいひかんさ)といって、皮膚からアレルゲンが入ることでアレルギー反応が起きることもわかってきました。"たかが肌〟と考えず、子どもの生活の質向上にもつながると捉え、季節に合ったスキンケアを続けていただきたいです。
夏のスキンケア3か条
汗や紫外線の気になる夏に肌を健康に保つためには、この3 つを覚えておきましょう。
①肌を清潔に保つ
汗、日焼け止め、虫よけ剤などは肌に付着する“汚れ”と捉えます。こまめにふき取る、可能な限り石けんで洗い流すことが大切に。
②適度な保湿
コロナ禍で頻繁に手洗い、消毒をするため手が乾燥しているお子さんも増えています。乾燥している部位は油分の少ないローションタイプの保湿剤などを塗って。
③適度な紫外線対策
強い日差しを長時間浴びるのは避けたいですが、紫外線を浴びることでビタミンD が活性化するメリットも。日焼け止めを活用しながら、適度に外遊びもしましょう。
夏の肌トラブル対処法
夏に起こりがちな肌トラブルについて、家庭でできる予防法、そして起きてしまった時の対処法を知っておきましょう。よくある疑問にもお答えします!
日焼け
日焼け止めを欠かさず長時間の外遊びは避けて
日焼け後の肌は軽いやけどをしているようなもの。バリア機能が低下するので、しっかり保湿します。
多少の日焼けは免疫力アップにもつながりますが、日焼け止めを塗ったとしても気温30℃以上の炎天下で何時間も外遊びするのは熱中症の危険も。控えたほうがよいでしょう。
予防のためには
外遊びをする時は日焼け止めを塗って出かけます。顔に塗る場合は、おでこや頬の上部、上唇など、日光をうけとめやすいエリアにしっかり塗るようにしましょう。屋内に入って日焼け止めが必要なくなったら、すぐにふき取るようにします。
ホームケア
熱をもっている場合は氷などをあてて冷やします。痛がったり水疱ができたりしている場合は受診が必要でしょう。
Q.日焼け止めは大人と同じものでいい?
A.子ども用でなくても問題はないでしょう。ただ、SPF値が極端に高いものは肌に負担がかかるので、日常の外出であれば、SPF20~25程度で十分です。
Q.外で遊ぶ時は日ざしを遮る服装がよい?
A.発汗量が多く体温調節が難しい2~4歳児は、いくら通気性の高い素材でも長袖はすすめません。半袖など過ごしやすい服装を選びます。
あせも
汗をかいたままにしないことを徹底!
体温調節のために、汗をかくこと自体は必要なことです。ただ、大量に発汗し、汗に含まれる汚れ成分が汗を出す管をつまらせると、炎症=あせもが起こります。マスクで覆った部分が蒸れて赤くなるマスクかぶれも、同様の理由で起こります。
予防のためには
汗をかいた後は、涼しい場所に移動して乾いたとしても、濡れたタオルやウエットティッシュでふき取ります。石けんで洗い流せるとさらによいでしょう。
ホームケア
炎症を起こした部分に汗がしみるので、汗のふき取りはあせもになった後も続けます。かゆみが続く場合は、かきむしってとびひになるのを防ぐためにも受診を。
Q.暑くてお風呂を嫌がります。どうすればいい?
A.肌を清潔にできれば、シャワーでもお風呂でも、嫌がらないほうでOK。頻繁に石けんで洗うと肌を保護する皮脂も落ちるので、入浴後は保湿を忘れずに。
Q.夜、寝ている間もエアコンをつけていて問題はない?
A.今の日本の気候で安眠するためには、ゆるくエアコンをかけた方がよいでしょう。それでも寝ている間に汗をかくので、起きたら肌着を替えるのがおすすめ。
虫さされ
かきこわしに注意!虫よけを使ってしっかり予防を
夏によく刺されるのは蚊だと思います。2~4歳児は、刺された場所が大人よりも大きく腫れる、赤くなる、熱をもつなどの場合があります。かゆみからかきこわすと炎症を起こしてとびひになる可能性もあり、さらに蚊を媒介にした感染症もあるので注意が必要です。
予防のためには
肌が露出している部分に虫よけをつけます。虫よけを長くつけたままにするのは肌の負担になるため、必要がなくなったらふき取るようにしてください。
ホームケア
かゆみがあるなら、市販のかゆみ止めを塗ります。かゆみが強く、かきむしってしまうようなら、小児科を受診して処方薬をもらったほうがよいでしょう。
Q.いろいろな種類がある虫よけ。2~4歳児に使うならどんなものがいい?
A.電池式やパッチタイプは誤飲の危険性が。スプレータイプが使いやすいでしょう。肌に直接つけることに抵抗がある場合は、服にスプレーしてもよいでしょう。
Q.かゆがって、かきこわしてしまうのが心配。どうしたらいい?
A.「かかないで」と声をかけたとしてもがまんするのは大人でも辛いもの。濡れたタオルでふいたり、冷やしたりするとかゆみを抑える効果があります。
夏にかかりやすい! 肌トラブルをともなう感染症
手足口病
夏場に流行することが多い風邪の一種で、口の中や手足に発疹が出ます。発疹だけでは、水いぼやとびひにも似ていて診断が難しいので、気になる発疹があるようなら小児科を受診して、適切な治療を受けましょう。
水いぼ・とびひ
どちらも夏によくみられます。皮膚にウイルスが感染すれば水いぼ、雑菌が感染すればとびひになります。比較的どこにでも存在するウイルス・菌であり、皮膚についても感染しない子もいます。分かれ目はやはり皮膚のバリア機能。肌が荒れやすい子は感染しやすいので注意が必要です。
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教えてくれたのは
https://www.kitahama-kidsclinic.jp/index.html
『めばえ』2022年7月号 イラスト/ニシハマカオリ デザイン/島 寿・飯坂祐子(ビーワークス) 文/古川はる香 構成/童夢
親と子をつなぐ、2・3・4歳の学習絵本『めばえ』。アンパンマン、きかんしゃトーマスなど人気キャラクターと一緒に、お店やさんごっこや乗り物あそび、シールあそび、ドリル、さがしっこ、めいろ、パズル、工作、お絵かきなど、様々なあそびを体験できる一冊。大好きなパパ・ママとのあそびを通して、心の成長と絆が深まります。
再構成/HugKum編集部