幼児の「生活リズム」整えると免疫力が高まり、健康な子に!とはいえ守れないときは、こうやって乗り切って

早寝早起きを習慣づけるといいとは聞くけれど、簡単にはいかないもの。実は、日照時間が長くなり始めるこの時期は、生活リズムの見直しにベストな季節なのです。ちょっとした毎日の過ごし方を変えるだけで、親も子も笑顔が増えるはず。幼児教育の専門家・鈴木みゆき先生にお話を伺いました。

幼児にとって「生活リズム」って大切なの?

そもそも、なぜ生活リズムを整えたほうがよいのでしょうか?

理由は2つあります。1つは、人間は日が出ている時間に活動し、日が沈めば睡眠をとる昼行性の生き物なので、そのリズムに合わせて生活するのが自然だからです。もう1つは、人間の脳が他の動物と比べて発達していて、脳を使って疲れたら睡眠をとって休ませる必要があるからです。

生活リズムが整っていることのメリット

子どもの生活リズムが整うと、いいことがいっぱいあります。

まず、朝、子どもが自分から起きてくる。自分から起きてくる子は起き抜けから機嫌がよく、保育園や幼稚園でも、すんなり活動に入れます。

日中に元気よく遊ぶので、夜もすんなり寝つき、眠りが深くなることで睡眠中に成長ホルモンがしっかり出ます。成長ホルモンは、骨や筋肉を作ったり、免疫力を高めたりするのに必要なホルモンです。つまり、早寝早起きができて、十分に睡眠が取れていると、健康に過ごせるというわけです。

また、親にとっては、子どもが夜早く寝てくれることで、家事や趣味に没頭する時間を多く確保できるというメリットもあります。

「できること」から始めればOK

しかし、生活リズムを整えるのは、決して簡単ではないのも事実です。子どもも日々成長しますし、大人だって日によってコンディションが違うもの。

めばえっ子世代(2~4歳)なら、できれば夜21時ごろまでに寝るのが望ましいですが、予定した時間に行動できずに目標の就寝時間から30分~1時間程度ズレてしまったとしても、「そんな日もある」と気にしすぎずに。

以下で紹介していることを参考に、できそうなことから1つずつ始めていきましょう。早いうちに日が昇り、早起きしやすい今の時期こそ、生活リズムを整えるのにぴったりです!

生活リズムを整えるために始めたい3つのこと

鈴木みゆき先生が生活リズムを整えるために始めたい3つのことについて解説してくれました。

①起床・就寝時間を決める

まず「定点」となる起床時間、就寝時間を決めましょう。スタートとゴールが決まると日中の生活も安定します。もちろん365日きっちり守れなくても構いません。

②日中はよく遊ぶ

日中にたくさん遊ぶことで、夜の寝つきがよくなり、睡眠も深くなります。遊びは外でよく体を動かすことに限りません。子ども自身が夢中になって遊べるならそれでOK。

③夕飯後はおだやかに過ごす

寝る直前に激しい遊びをするのは避けて。照明の明るさを落とす、暖色系の色味に変える、間接照明にするなど、屋外と近い状態に。暗いと自然に眠くなるものです。

生活リズムつまずきポイントはこう乗り越えて!!

生活リズムを整えようとがんばるものの、1 日の中でうまくいかないことも。そんなつまずきポイントを乗り越えるためのちょっとした工夫をお伝えします。

【起床】眠くて起きられない!

起きられないのは睡眠が足りていないサイン。ここでゆっくり寝かせてしまうと就寝時間に影響するため、無理にでも起こします。カーテンを開け朝日を浴びたら、好きなテレビ番組などで誘ってみて。朝食を楽しい献立にするのも◎。

■カーテンを開けて朝日を浴びる
■型抜きごはんなど朝食を楽しく
■好きなテレビ番組を流す

【日中の過ごし方】体を動かして遊ぶのが苦手…

近所を散歩するのも十分な運動です。また、砂場でのお山づくり、アリの行列を眺めるなど、動きが少なくても夢中になっていれば十分脳を使っています。たくさん体を動かしてほしければ、ハンカチでしっぽとりゲームなど親も一緒に遊んでみて。

■動きの少ない外遊びでもOK
■一緒に近所を散歩してみる
■親も一緒に体を動かす遊びを

【昼寝】時間がズレこみがち

昼寝から起きる時間が15 時を過ぎると、夕方以降の生活にもズレが。体がモゾモゾと動いたタイミングで起こすと、スムーズに起きられます。幼稚園や保育園から帰った後、夕飯前・夕飯中に寝てしまうようなら、そのまま朝まで寝かせて。

■15時を過ぎたら親が起こす
■体が動いたタイミングで起こす
■夕飯前・夕飯中に寝たら朝まで寝かす

おすすめ!おうちでの遊び方

雨の日など外に出て遊べない時はおうちで「忍者ごっこ」を。低い位置にはったロープに鈴をつけて、鈴を鳴らさないようにまたぐ、くぐる、ほふく前進で移動などに挑戦!  紙を小さくちぎって紙吹雪のようにまき、最後に一緒に掃除などお手伝いを兼ねた遊びも。

【夕食】食べるのに飽きてしまい終わらない!

ある程度食べているなら「おしまいね」と切り上げてしまっても。「レタスをちぎって盛り付ける」など、子どもと一緒に作る献立を取り入れるのもいいでしょう。夕食後は寝るだけなので、楽しさ、食べやすさを重視しても構わないと思います。

■ある程度食べたら切り上げる
■子どもと一緒に作ってみる
■楽しさ、食べやすさを重視して

【お風呂】お風呂に入るのを嫌がる!

お風呂にお楽しみがあると入りたくなるものです。中におもちゃが入った入浴剤など、お風呂ならではの遊びやおもちゃを用意して誘ってみては。どうしても嫌がるなら熱いタオルで体をふくだけの日があってもいいですね。

■おもちゃ入りの入浴剤で誘う
■お風呂だけでできる遊びをする
■タオルで体をふくだけでもOK

おすすめ!お風呂での遊び方

お風呂の壁に描けるペンを用意すると、お風呂の時だけは壁にお絵かきができて特別感がありますね。また、2L ペットボトルの下のほうをカットして、切り口が痛くないようビニールテープを貼ると、水中をのぞけるメガネに。仲良しのぬいぐるみと入浴すると洗濯も兼ねられます。

【就寝】いつまでも続く「絵本読んで!」

「今日は〇回」「〇冊」と約束はしましょう。ただ、子どもにとって夜は親とゆっくりふれあえる時間。時には約束の回数を超えても、満足するまでつきあってあげて。入眠儀式には家中の電気を消す「おやすみなさいツアー」もおすすめ。

■読む回数、冊数を約束する
■時にはオーバーしてもOK
■家中の電気を消す入眠儀式も

こんな我が家はどうしたら? 生活リズムの困った!!

生活リズムの困った!! に鈴木みゆき先生がお答えします。

Q.共働きで保育園のお迎えが遅く、食事や入浴をしていると、子どもの就寝時間も遅くなりがちです。

A.完璧でなくてもOK。できるところは積極的に手抜きをして無理せず!

テレワークが進むなど改善されつつありますが、日本はまだ長時間労働が目立ちます。各家庭の事情もあるでしょうが、21時~遅くとも21時半までには寝かせましょう。

夕食の品数を減らす、入浴をシャワーだけにする、掃除の頻度を減らすなど、時短できるところを見つけて、できるだけ子どもの生活リズムを整えることを優先してください。

Q.上に小学生のきょうだいがいて、 習い事があると就寝が遅くなります。

A.上の子と下の子、別々に寝かしつけると就寝時間のズレも防げて、子どもの満足感も

下の子の就寝時間が2時間以上ズレるのは避けたいところ。習い事から帰宅した上の子の夕飯中などに下の子を寝かしつけるようにすると、下の子も上の子も自分が寝る時だけは親を独占できて、それぞれに満足感があるでしょう。

逆に下の子がいて、上の子の遊び時間が確保できない時は、近隣の保育園・こども園の子育て支援を利用してみて。

Q.仕事で帰宅が遅く、子どもの就寝時間に間に合いません。子どもとふれあう時間はどう確保するべき?

A.普段の朝の時間を上手に使えば、特別なことをしなくても大丈夫

子どもとのふれあいは朝、出勤前に。特別なことはしなくても、朝食を一緒に食べ、着替えを手伝うなど通常の朝のお世話も貴重な機会になります。

慌ただしい朝の育児を手分けすることでパートナーも助かり、子どもにも喜ばれ、自分自身の仕事への活力にもつながるかもしれません。子どもの起床より早く出勤するなら、休日の育児を積極的に担当しても。

Q,休日は親もゆっくり眠りたくて起床時間が遅くなってしまいます。

A.1 時間程度なら平日より遅く起きてもOK。子どもだけ先に起きて、待っていてもらう方法も

2時間以上起きる時間が遅くなると、その日の寝る時間にも影響が出て、元のリズムに戻すのに苦労します。平日より1時間程度遅くなるくらいなら大丈夫でしょう。

ある程度、子どもが成長していて、安全が確保できるなら、子どもだけ先に起きて好きなテレビを観てもらっている間、親だけもう少し寝かせてもらってもいいかもしれません。

教えてくれたのは

鈴木みゆき先生
お茶の水女子大学大学院家政学研究科児童学専攻修了。医学博士。日本音楽著作権協会正会員。著書に『早起き・早寝・朝ごはん―生活リズム見直しのススメ』(芽ばえ社)など。母として3児の子育てを経験。現在は孫育てにも関わる。

『めばえ』2022年5月号 イラスト/nachicco 構成/童夢

親と子をつなぐ、2・3・4歳の学習絵本『めばえ』。アンパンマン、きかんしゃトーマスなど人気キャラクターと一緒に、お店やさんごっこや乗り物あそび、シールあそび、ドリル、さがしっこ、めいろ、パズル、工作、お絵かきなど、様々なあそびを体験できる一冊。大好きなパパ・ママとのあそびを通して、心の成長と絆が深まります。

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再構成/HugKum編集部

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