「私服でおいでください」と言われたら?
就職説明会の案内などで、「当日は私服でおいでください」と書かれていることがあります。そのように言われたら、皆さんは何を着て行きますか?
まさか、ジャージ姿で行く人はいないでしょうが、かなり悩むかもしれませんね。スーツだって、ふだん自宅で着ている服だって、みんな自分の服なのだから、どれも私服ではないかと思う人もいるかもしれません。
元来、「私服」は「制服」の対義語
そもそも、「私服」とはどういう語なのでしょう。
もともとは、「制服」に対する語なのです。「制服」は、一定の集団や団体に属する人が着るように定められている服装のことです。「私服」はそのような服装ではないということです。制服を着ずに私服で勤務する刑事のことを「私服刑事」と言いますが、これも「制服」に対してのことなのです。
これが、いつのころからかはわかりませんが、「私服=ふだん着」というとらえ方が生まれました。ただ、ふだん着とまったく同じ意味かというと、必ずしもそうではなさそうです。「私服で」と言っているのは、ふだん出掛けるような服という意味でしょう。実は、このような「私服」の意味は、すべてではありませんが、ほとんどの国語辞典には載っていません。制服に対する意味だけなのです。
「礼服」に対する語が「平服」
ところで、「私服」と同じような意味で使われる語に「平服」があります。「平服」も「ふだん着」同様、平常着る衣服のことです。儀式などの晴れの場で着用する服である「礼服」に対する語です。
従って、パーティーなどの招待状で使う語としては、「平服」の方がふさわしい気がします。
カジュアルウェアは避けた方が無難
いずれにしても、「私服」「平服」ともに、そのような通知を受け取った側は、ふつうは略礼装またはそれに近い服装のこと指していて、カジュアルウエアは含まないと考えた方が無難なようです。