秋は気温とともに湿度も下がる季節
少しずつ過ごしやすい日が増えてきました。気温が下がってくるとともに空気の乾燥を感じている方もいらっしゃるかもしれません。実際に秋から冬にかけては湿度が低くなります。東京の相対湿度を見てみると10月から11月にかけてぐっと下がり、晩秋から春にかけての湿度が低くなっています。特に10月は気温も湿度も急に下がる季節、体調管理には気をつけなければいけません。
ちなみにこのグラフの湿度の数字は東京の平年値。「平年値」というのは過去30年の平均の値です。東京では都市化の影響もあり、近年湿度が下がってきていますので、最近の実際の数字はもう少し低いものになります。
なぜ冬の方が乾燥を感じるの?
このように冬になると相対湿度が下がりますが、 この数字以上に寒い日は乾燥を感じることになります。これは気温が低いと空気中に存在できる水分量が少ないからです。同じ湿度でも気温が低い時の方が空気中の水分量は少なくなり絶対湿度が低くなるため、寒い冬の方がより乾燥するのです。
部屋の湿度は何パーセントがベスト?
みなさんは部屋に湿度計は置いていますか? 冬は屋外の湿度が下がりますが、部屋の中では暖房を使うため、さらに湿度が低くなっていることも多いです。また、料理をすると湿度が上がったり外気が入ってくると湿度が下がったり、1日のなかでも部屋の湿度は大きく変化します。ぜひ湿度計で管理することをおすすめします。
人間が快適に過ごせる湿度は40~60%と言われています。湿度が40%を下回ると肌や目などが乾燥するだけではなく、のどや気管支の粘膜の乾燥によって風邪やインフルエンザなどのウイルスが体内に侵入しやすくなります。
インフルエンザ予防のためにも加湿を
インフルエンザウイルスは、湿度が低く温度も低い環境で生存率が上がります。そのため寒く乾燥した冬にインフルエンザが流行するのです。感染リスクを下げるためには50~60%の湿度が推奨されているので、加湿器などでコントロールするのがいいですね。
「実効湿度」が低いときは火の取り扱いにも注意
また、乾燥した日がしばらく続くと実効湿度が下がります。実効湿度というのは過去数日間の湿度の履歴を考慮して算出された湿度のことで、屋外に置かれた木材の乾き具合を表したものです。実効湿度が低いということは、木材の中の水分量が下がっていて、火事が起こりやすいということになります。コンロ、ストーブ、たばこなど、火の取り扱いにも注意が必要です。気象台からはこの実効湿度も考慮した上で乾燥注意報が発表されるので、気を付けてください。
乾燥の季節、のどの保湿も
空気が乾燥してくると、起きた時にのどがいがいがしたり、違和感を感じたりする方も多いと思います。乾燥する季節はお肌の保湿だけではなく、のどの保湿もしっかりすることをおすすめします。
個人的な話になりますが、私は地方局のアナウンサーから始めて気象キャスターとして10年以上、毎日声を使う仕事をしてきました。決してのどが強いわけではないので、特に乾燥する季節は気を使っています。
数年前、声帯炎になってしまったことがありました。はじめは風邪の諸症状、のどの違和感から始まり、それでものどを酷使し続けた結果、声がまったく出なくなってしまったのです。 それ以来、少しの違和感でも見逃さないよう、のどのケアは慎重に行うようになりました。ケアの基本は乾燥しないようにすることです。部屋では加湿器を活用したり、水分をこまめにとることが大切です。
またのどに負担をかけやすいのがしゃべりすぎ。友達との会話に夢中になるとついついのどを酷使してしまいがちですが、声を使っている時は意識的に水分をとって、のどを潤すことを心がけています。 咳や咳払いも喉にはよくないので我慢します。
はちみつものどの保湿におすすめです。はちみつは保湿力が高く適度な粘度があるので、のどの粘膜を乾燥から守ってくれます。また雑菌の感染を抑える抗菌力もあると言われているので、不調を感じた時はぜひ取り入れてみてくださいね。
【注意】授乳中のママがはちみつを食べても問題ありませんが、1歳未満の赤ちゃんには絶対に、はちみつを与えてはいけません。
■加湿、保湿をして快適な環境を
急に寒くなって体調を崩しやすい季節。気温だけではなく、部屋の湿度もコントロールして、健康で快適な生活を送ってくださいね。
文・構成/酒井千佳
京都大学 工学部建築学科卒業。
北陸放送アナウンサー、テレビ大阪アナウンサーを経て2012年よりフリーキャスターに。
NHK「おはよう日本」、フジテレビ「Live news it」、読売テレビ「ミヤネ屋」などで気象キャスターを務める。
現在は株式会社トウキト代表として陶芸の普及に努めているほか、2歳からの空の教室「そらり」を主宰、子どもの防災教育に携わっている。