近視になりやすいのはどんな子?近視の進行を止める3大対策を眼科医に聞いた!

子どもが近視と言われたら、「めがね?」と不安になりますよね。
今回は子どもの目の健康啓発に尽力している公益社団法人 日本眼科医会の理事の丸山耕一医師に子どもの目の健康を守るためにできることや近視を進行させない方法などをお聞きしましたので、ご紹介します。

子どもの近視を進行させないために

皆さんは、お子さんの目の健康に不安はありませんか?

スマホのようなデジタルデバイスの急速な普及で、私たちの子ども時代と比べて、子どもたちの目に負担がかかっています。

近視があると、歳を重ねるうちに緑内障や網膜剥離などの目の病気にかかるリスクが高いと言われています。例えば、軽度の近視でも緑内障になるリスクは4倍になることがわかっています。

近視は20歳頃まで進行する

最近ではスマホの多用により20歳以降もわずかに進行する可能性もあるそう!

特に、小学生から中学生の頃に近視の進行が目立つとか。

ゆえに、子どもが近視になったら眼鏡をかければ解決ではなく、近視予防策を徹底して近視の進行を遅らせることが非常に重要となってくるそう。

筆者は近視が進行したら、眼鏡をかけたり、眼鏡の度を変えたりしたらいいとしか思っていませんでしたが、それだけの問題ではないことがわかりました。

今回は子どもの目の健康啓発に尽力している公益社団法人 日本眼科医会の理事の丸山耕一医師に「子どもの目の健康を守るためにできること」を詳しくお聞きしてきました!

近視になりやすいのは、どんな子?

丸山医師は、乳児の頃からスマホ、タブレット、テレビばかりを見せていませんか?とインタビューの冒頭から警鐘を鳴らします。

近業が多いほど、近視になりやすい傾向があるとされ、特にデジタルデバイスは目に負担をかけるそうです。

【近業とは】

目と近い距離で作業する行動のこと。

丸山医師:まずはお子さんが近視にならないようにするためには、スマホやタブレット、テレビなどを見続ける時間であるスクリーンタイムを的確にコントロールすることが大切と語ります。

公益社団法人 日本眼科医会の理事の丸山耕一医師にオンライン取材させて頂きました

スクリーンタイムと視力低下の間に明確なエビデンスはないのですが、小児の健康な成長に関するWHOのガイドラインによると、2歳未満ではスクリーンタイムは推奨されない2〜4歳ではスクリーンタイムは1日1時間未満とされています。

なるべく短い方が望ましいとされているのです。

急性内斜視にも注意

丸山医師:スマホのようなデジタルデバイスの長時間使用によって、急性内斜視になることがあります。スマホを顔から離したあとでも片目もしくは両目が内側を向いた状態から戻りにくくなり、物が二重に見えます

急性内斜視は20歳を過ぎてもなりうる病気なので、大人も注意が必要です。異常を見つけたら迷わず眼科を受診してください。

GIGAスクール構想が始まり、今やデジタルデバイスは教育の必需品で、スクリーンタイムをゼロにするのは、もはや難しいでしょう。

目の健康のためにすべき、3つの行動

丸山医師に教えていただいた、目の健康のために何をすべきかをご紹介します。

子どもも保護者も知ってほしい内容ですので、ぜひ参考にしてください。

【1】 画面を見るときは30cm以上離す

近くを凝視するほど、目の負担は大きくなるので、デジタルデバイスの画面から最低でも30cmは目を離し、目線は画面と垂直にしましょう。画面がぎらついたり天井の照明の映りこみがあると見にくくなりますので、画面の明るさや角度を適切に調節することが大切

【2】 30分に1回は目を休める

画面を30分見たら、できるだけ遠くを 20秒以上見ましょう。窓の外の木々、体育館の屋根などを見てください。遠くの景色を見るのが難しい場合は、5~6m先を見るだけでも効果があります。

このとき、心がけてほしいのが、目を休めるといっても、ぼんやりではなく、「しっかり」遠くをみることを心がけましょう。

画面から必ず目を離して遠くを見ることが大切です。

ちなみに、寝る前にデジタルデバイスの強い光を浴びると睡眠に悪影響が出るので、デジタルデバイスは遅くとも就寝1時間前には使用を終えましょう。

【3】 屋外活動を積極的にする

屋外活動での子どもの近視発症・進行遅延効果は海外で実証されていて、この予防策は一番エビデンスがあり、おすすめします。

太陽光のもとでの活動によって、近視の原因である眼軸進展を抑制する、ドーパミンという物質が眼内に放出されます。直射日光を浴びることではなく、明るさが重要です。

必要な明るさの目安の下限が1000ルクスで、木陰でも十分得られる明るさです。

屋外活動の時間は2時間を目安にしてください。

もちろん、屋外活動の際には熱中症や紫外線対策はしっかりしましょう。

近視になっても予防策の実行が大切

今回、丸山医師のお話を聞いて、子どもに言う前に私が近視予防策を実行できていないと反省しました。健康習慣は子どもの将来の財産にもなりますよね。

親子一緒に近視予防策を実行したいと思いました。

日本眼科医会では、丸山医師らが中心になって子どもの目の健康啓発コンテンツを作っていてホームページに公開しています。マンガや動画になっていて、とてもわかりやすいので、親子でこちらもご覧ください。

動画でチェック

記事監修

丸山耕一|眼科専門医  医療法人視恩会 川添丸山眼科 院長

日本眼科医会の理事。公衆衛生、広報、乳幼児・学校保健担当として、子どもの目の健康について携わる。また、日本眼科医会の下記コンテンツを監修し、子どもや保護者、学校関係者に目の健康に関する情報を発信。

目の健康啓発マンガ 『ギガっこ デジたん!』

ICT教育・GIGAスクール構想と眼科学校医の関わり 〜眼科学校医が知っておくべき25のポイント~

取材・文/峯 あきら ※写真はイメージです。

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