不登校に苦しんだ現役高校生の2人。不安だった将来にも、今は陽が差した! 通うペースを選んで登校できる学校に通うふたりの不登校への思い、将来の夢とは

不登校の小学生や中学生を持つ保護者の方は、義務教育を終えた後のことも気になります。高校に通えるだろうか、将来は……。明光では、子どもたちの未来にも寄り添い、高等学院を東京・高田馬場に開校しました。ここに通う高校生のふたりが「なぜ不登校になったか」「どんなに苦しんだか」「何に助けられたか」「将来どうしたいか」をHugKumに語ってくれました。不登校の子どもたちの心の奥の声を聴く貴重な機会。どうかすべての保護者のみなさん、耳を傾けてください。学院長・小幡和輝さんによる学校の説明もあります。

学校の先生に理不尽なことを言われ……家に引きこもるようになった

――今日、お話いただくのは高校2年で週1日、明光義塾高等学院に通うエマさん(仮名)と、高校3年で週5日通うリツコさん(仮名)のおふたりです。おふたりが不登校になった経緯を教えてください。

エマさん 高1のときに担任の先生に些細なことで目をつけられ、その後ずっと叱られるようになったんです。先生とちゃんと話し合いたかったけれど、大人とうまく話せないし、言いたいことがあっても言えなくて、勝てないなって。もう「学校に行けない」とウツみたいになって、家にこもるようになりました。

休むようになってからも、なんとか学校に行こうとは思ったんです。でも、通っていた学校は小さな学校で、科も分かれていたので、ずっと同じ先生と同じ生徒が高3まで持ち上がるんです。そう思うと怖くて足を運べない、部屋から出られない。毎日ぼーっと生きていて、どうしていいかわからなくて。

お母さんはずっと心配していたけれど、お母さんも苦しんでいて、ある日、泣きながら抱きしめられました。「もう学校なんて行かなくていいから、とりあえず生きていて」って。

私ももう普通に高校に行くのはしんどいと思っていたから本当にホッとしました。ただ、高校卒業の資格は欲しいと思っていました。通信でもいい、なにかしら資格が取れればって。でも、どうしたらいいかわからなくて。

実は、もともと明光義塾の個別指導塾に通っていたので、塾長に相談したら、ちょうど明光義塾高等学院を開校するという話を教えてもらったんです。それで、自分が不登校になったいきさつを話したら、担当の先生が私の話を聞いて泣いちゃったんです。すごく感激したし安心しました。こういう先生たちなら、私のことを否定することはない、この人は私を認めてくれるって思えたんです。

ただ、もう人と関わることが怖くなっていて、体育祭や修学旅行も参加したくないって言ったら、「ここには両方ともないですよ。高田馬場の校舎には、自分が来られる日にちを中心に、無理なく来たらいいよ」と言ってくれたんです。

高田馬場にある明光義塾高等学院の内部。カフェのような雰囲気

スポーツ推薦で入学してケガをしたら学校に行きにくくなる

――リツコさんはどうですか。

リツコさん スポーツ推薦で高校に入ったのですが、足をケガしてしまって。きちんと治したかったけれど、治りかけでも練習に参加しないといけなくて、ぜんぜん治らなくて。もうレギュラーメンバーとして活動するのは難しくなりました。

高1のときなら、スポーツクラスではなくて、進学クラスに代わることもできました。でも2年生になると文系・理系に分かれていて、今更科を変えられません。

学校は楽しかったんです。でも、部活が……。故障した足で無理やり競技をすれば、本当にこの先どうなるかと心配なのです。でも、部活を辞めたら特待で入っていたから、学校も辞めなければならない。この仕組みの前ではどうすることもできませんでした。

気持ちの上でも崩れ始めていて、学校に行くのももう限界、となったのが高2の最後のほう。このまま進級しても希望が何もない、と思っていました。そんな中、お母さんが調べてくれて、明光義塾高等学院に行ってみたら、と言ってくれたんです。行ってみると、きれいな学校でできたばっかり。生徒も少なくてこぢんまりしていて、ここなら行ける、と思ったんです。

週3回でも5回でもいい。自分らしく高校に通う

――おふたりはそれぞれどんな学習をしているんですか?

エマさん ずっと学校に行っていなかったので、とりあえず週1回の登校から始めました。基本的な英語とか数学とかの授業はみんなと一緒に受けますが、コマが入っていないときはフリースタディとして好きな学習をしています。自分なりにプリントをやったりレポートを書いたり。ほかの学年の授業をのぞきに行ってもいいと言われています。

毎日登校するわけではないので、残りの日はアルバイトをしたり、自分らしく過ごしたりしています。よいリズムで毎日を送っています。

週3回登校の場合のモデル授業。残りの2日はアルバイトや習い事以外にも自宅学習など自分らしく過ごす

リツコさん 週5で通学しています。探究学習などは、受験勉強と違うもので、自分なりに研究を深めるなど、おもしろいです。もともと明光義塾が作った学校なので、受験勉強をしっかりやりたい子には受験サポートもしてくれます。私は法学部に進学したいので、法学部受験に最適な単位をとっていきます。英検を取得する授業もあります。まだ始まったばかりの学校なので、私たちから見ても改善の余地はあるかな(笑)。でもひとりひとりに最適なカリキュラムを作ってくれるので、ありがたいです。

週5日の場合のモデル授業

自分の意見をどんどん言える学びの場

――――明光義塾高等学院のカリキュラムは、小幡さんを含むチームの皆様で作られているんですよね。どういう意図で作成しているのですか?

小幡さん 学校側にあわせるのではなくて、生徒たちがやりたいことに学校が合わせる、がコンセプトです。今は生徒が少ないのでよけいですが、かなりオーダーメイドのような授業になっています。

カリキュラムの中に、「探究の時間」というのがあります。この授業では、NewsPicksと提携して、話題になったニュースを探し、深掘りしたり要約をしてプレゼンテーションをすることも含まれています。僕の学長講義を聴いてもらい、全員が1回は感想などを発表してもらうことも。自分の言葉で語ることを大事にしています。

実際に、アニメを見て意見を言ってもらう授業をしたのですが、これは1回限りでなく、5~6回続けて意見交流をするつもりです。

教科学習として美術がありますが、ただデッサンをするよりも、「プロフィール帳を作ろう」など、モチベーションがわくような内容にしたいと思っています。自分について何を書いてもいい、デコを楽しんでもいい。自分を表現する機会にしたいと思っています。

高3は政治経済も勉強すると、将来のためになる。講義を聴くだけの授業はつまらないと感じますよね。自分からどんどん質問して会話することを大事にしたい。

生徒主体でイベントもやりたいですね。自分も不登校だったのですが、高校時代には自分で文化祭を企画してスポンサーを集め、地域の公園にキッチンカーを呼んだりしていました。

少人数ですから、今後も内容は生徒の意見でフレキシブルにどんどん変えていきます。

この高校に通うようになってから将来が見えてきた

――この学校に来て、どう感じていますか?

エマさん 授業は寝る暇もなくおもしろいです! 少し疑問に思ったことはすぐ先生や仲間に聞けるのもうれしい。 学校の授業がつまらなかったのは、ただ先生の話を聴いているだけだったからだな、と思います。今は学校で勉強をしながらバイトもし、家の手伝いもしていて、家族にも褒められるようになりました。自分の行動に価値を感じられるようになりました。

――リツコさんは?

リツコさん この学校に通うようになってから「雰囲気、変わったね」って言われます。以前は早朝から朝練で夜も遅くて、制服があって髪型も短くしろといわれて全部しばられていました。今はそれがみんななくなって自分らしさを前に出せるようになって、「明るくなったね」って、親にも言われます。大学受験まであと1年を切っているので、勉強もしっかりがんばります。

――不登校当事者のリアルな思い。胸をギュッとつかまれそうな切なさです。でも、「生きているだけでいい」と言ってくれる親御さんや、ありのままを受け入れてくれる学校があれば、元気になっていくんですね。学校は自分らしくいられる場であるべき。子どもたちのために、そんな場をみつけたいですね。

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お話を聞いたのは

小幡和輝さん 明光義塾高等学院学院長

1994 年、和歌山県生まれ、和歌山大学卒業。10年の不登校を経験。不登校当時はフリースクールで学び、その後18 歳で起業。SNS を活用したマーケティングを専門とし、東京2020 オリンピック・パラリンピックでは総フォロワー1000万人以上の公式SNSアカウントを運用。不登校への偏見を払拭し、不登校になっても取り残されない社会を目指し活動。オンラインフリースクール『クラスジャパン小中学園』の代表として、これまでに1500人以上の不登校生徒をサポート。現在、株式会社明光みらい代表取締役社長として小中学生向けの明光フリースクールの代表、また明光義塾高等学院学院長を務める。

この記事を書いたのは

三輪泉 ライター

インタビューを中心に教育、子育て、医療、介護、食などのテーマで WEB・雑誌・書籍などの記事を執筆。お話を伺う方にたくさんの学びをいただいています。社会福祉士、法定成年後見人、中学校・高等学校教諭一種免許状、生涯学習2級インストラクター(栄養と料理)

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