【小児科医監修】突発性発疹はどんな病気?熱性けいれんの対処法や保育園登園のめやすも

突発性発疹とはどんな病気?いつ頃起こるの?

突発性発疹はヒトヘルペスウイルスによる感染症です。39~40度の高熱が3日程度続き、解熱後、全身に細かな赤い発疹が見られます。熱性けいれんを起こすこともあります。とくに生後6か月~1歳半くらいまでの乳幼児に多くみられます。

突発性発疹の症状とは

38~39度の高熱が4日くらい続き、多少下痢気味になることがあります。そのほかの症状は、あまりみられません。熱のわりには比較的きげんがよく、食欲もさほど落ちないことが多いようです。熱が下がるころから、腹部を中心に細かい発疹がでてきて、全身へと広がっていきます。全体に経過はよく、予後も良好ですが、ときに熱性けいれんのきっかけになったり、髄膜炎などの合併症を起こすこともあるので注意が必要です。

突発性発疹の原因ウィルスは?何度もかかる病気?

病原体としてはヒトヘルペスウイルス6型、7型が知られています。6型に感染して6型に対する免疫ができても、7型に感染していなければ、あらためて7型の突発性発疹にかかることがあるように、二度かかることもまれではありません。

病院での治療法は

特効薬があるわけではないので、突発性発疹だとわかれば、なにも治療する必要はありません。
しかし、実際には、はじめのうちは熱のわりにきげんがよいし、咽頭を見て多少、突発性発疹の診断に参考になる粘膜疹を見ることがありますが、たぶん突発性発疹だろうと思うだけで、発疹がでるまでは、はっきりわからないのがふつうです。
この病気自体は通常は自然に治るのですが、経過をみるあいだ、ほかの病気の可能性がないかどうかを考えながら、念のために薬を使うことはあります。
熱に対しての薬の使い方は症状にもよりますが、熱があってもきげんがよく、乳幼児用イオン飲料や果汁などの水分も十分にとれているようなら、解熱剤を使わなくても自然に治ってしまうことが少なくありません。

突発性発疹が起きた時の家庭でのケア

とくになにかをしなくてはならないということはありませんが、熱が原因で、ぐずるなどのことがあれば、解熱剤を使うことを考えてもよいでしょう。
また、水分がとれているか、比較的きげんよくすごしているかなどの一般的な状態に気を配れば十分です。

突発性発疹になった時の保育園登園のめやすは?

突発性発疹は感染力は弱 いが、発熱中 は感染力が あるため、解熱後1日 以上経過 し、全身状 態が良ければ登園は可能です(厚生労働省「保育所における感染症ガイドライン」より)。また、この病気自体が園内で流行することはあまりないという特徴があります。

子どもが熱性けいれんを起こした時、慌てないためには?

「熱性けいれん」について知っているお母さんは多いようですが、実際にわが子が起こしたら怖いと不安がる人も。予防法、対処法を詳しく知っておきましょう。

熱性けいれんは、発熱に伴ってけいれんを起こす状態をいいます。「単純型」「複雑型」「重積状態」の3種類がありますが、ほとんどは「単純型熱性けいれん」で、以下の特徴があります。

「単純型熱性けいれん」の特徴は

★38℃以上の熱が出た当日から翌日に、突然、次の発作を起こす。

●顔色が悪くなり、手足が左右対称に突っ張ったり曲がった状態で力が入り、ぴくんぴくんとした動きをする。

●視線が合わず、呼びかけに反応しない。

★けいれんは、ほとんどが5分以内に収まり、顔色や意識状態もすぐに回復する。24時間以内に繰り返すことはない。

★てんかんに移行したり、脳障害や発達障害になることはない。

「熱性けいれん」は何歳ごろ起こる?原因は?

多いのは1歳から2歳。親から子への遺伝的要因も

熱性けいれんは生後6か月~5歳ぐらいまでの子に見られますが、多いのは1~2歳ぐらい。3歳以上からは少なくなります。乳幼児の10~20人に1人は起こすといわれており、比較的よくある病気です。

前兆や、起こしやすい時間帯は特になく、初回の予防法はありません。原因は脳が未熟だからともいわれますが、はっきりとはわかっていません。両親やきょうだいが起こしたことがあると発症率が上がるため、遺伝的要因も考えられます。多くは1回の発症ですが、再発する子も。特に家族歴があったり1歳未満で発症した子は、2人に1人の割合で再発します。

 

熱性けいれんが起きた時の対処法

突然、子どものけいれんを目の前にして動揺するのは、親として無理のないことと思います。5分が非常に長く感じられるでしょう。でも、呼吸が止まることはまずないですから、努めて心を落ち着けて、次の処置をしてください。

★体を揺すってはいけません。体を(または顔だけでも)横向きに寝かせます。吐いて、吐物で気道がふさがれないためです。

★口の中にものを入れたり、人工呼吸をするのは禁物。窒息する恐れがあります。

★けいれんの持続時間を計ってください。5分以内にけいれんが収まり、その後、呼びかけに反応して、視線が合うなら、救急受診の必要はありません。

★けいれんが収まっても、発熱の原因を診察する必要があるので、日中、かかりつけの小児科を受診しましょう。

★5分以上続くようなら、救急車を呼びましょう。

15分以上続いたら救急受診を

15分以上けいれんが続くなどの症状がある場合は「複雑型熱性けいれん」という、てんかん発症の疑いが。ごくまれですが、けいれんや意識障害が30分以上続く時は、細菌性髄膜炎や脳炎・脳症などの重い病気が原因の、「熱性けいれん重積状態」の可能性があります。けいれんが収まっても、意識がはっきり戻っていなかったり、けいれんを繰り返す場合は、救急受診してください。

熱性けいれんの治療法や薬は?

5分以上けいれんが続く場合は、けいれんを止める薬を使います。ただ、受診する頃にはけいれんは収まり、意識もはっきりしていることが多いため、治療を必要としないケースがほとんどです。けいれんの持続時間が長かったり、繰り返す場合は、予防薬として座薬を使うことがあるので、かかりつけ医に相談を。

発熱時に解熱剤を使っても、けいれんの予防効果はありませんが、けいれんを誘発することもないので、解熱剤を適切に使うのは、さしつかえありません。

もしもの時に備えて、救急の電話番号の用意を

突然、子どもがけいれんを起こした時、親がパニックになることは、現場の医師も十分理解しています。とっさの時に指示が受けられると少し心が落ち着くので、かかりつけ医や小児救急電話相談(#8000)など、連絡できる場所を数か所決め、目につくところに電話番号を貼っておくといいでしょう。熱性けいれんの後でも、予防接種はすべて受けられます。かかりつけ医に相談してください。

 

 

健康担当

粂川好男(くめかわ よしお) 先生 

杉並堀ノ内クリニック院長。立教大卒業後、出版社に勤務した後、信州大医学部入学。国立国際医療センター、愛和病院で小児科全般の臨床経験を積む。安心と笑顔を持ち帰れるクリニックを目指す。小児科専門医。

 

出典:『めばえ』
イラスト/松木祐子

編集部おすすめ

関連記事