【看護師監修】子どもが下痢のときの食事の進め方|おすすめの食べ物・避けたい食べ物

元気な子どもが熱を出したり、下痢、嘔吐など体調不良の時は、とても心配ですよね。今日は、子どもが下痢の時の食事について、看護師・保健師である楯岡由弥華が監修のもと、離乳食インストラクター協会代表理事の中田 馨(なかた かおり)と保育士の月野あさひが紹介します。

子どもが下痢のときの食事はどうすれば?

子どもが下痢をしたときは、脱水症状の予防が第一です。

子どもの体は大人に比べて必要とする水の割合が高く、体内の水分を調節する機能も未熟なため、脱水状態になりやすいです。水分や塩分をこまめに補給することが重要です。

ただし、嘔吐した場合は、直後に水分をとると再び嘔吐を誘発することがあるので、吐き気が治まってから少量ずつ飲ませましょう。まずは水分をこまめに飲ませ、食欲があるのであれば、普段のように離乳食や食事を食べてもOKですが、胃腸が弱っているので繊維、油脂の多いものは避けて、消化の良い食べ物を与えるなど、いつもよりも配慮が必要です。

子どもが下痢ときの食事の進め方

子どもが下痢をしている時は胃腸が弱っているサインです。消化の良い食べ物を少量ずつ与えましょう。

下痢のときの食事のポイント

乳児の場合は、消化の良いもの、少しずつ与える、今よりも1段階戻ったメニューを与えることがポイントです。

幼児や小学生の場合は、同じく消化の良いものを食べましょう。食材を調理する際には、細かく切り、柔らかくなるまで加熱してください。調理法としては、油を使用せず、茹でる・蒸す・煮る方法がおすすめです。一回で食べる量をいつもの半分ほどにし、食事の回数を増やしましょう。食欲がない場合は、無理に食事をする必要はありません。

水下痢のときの食事

水下痢の時は、体の中の水分、加えてカリウムが失われやすいので補給できる食べ物がよいと考えます。

具体的には、水分量、カリウムが含まれ、さらに食物繊維が少ない果物のイチゴ、スイカ、ぶどう、梨等を細かくして食べさせるとよいでしょう。

下痢回復におすすめの食べ物

エネルギー源になる主食、傷ついた胃腸の粘膜を修復するたんぱく質を多く含む食材を取り入れるとよいです。

おすすめの食事は、おかゆ、うどん、野菜スープなど消化の良いものに卵や豆腐を入れるとよいでしょう。

追加する食材は、食物繊維や脂肪の少ないものを選ぶことをおすすめします。例えば、野菜であれば、食物繊維の少ない人参やじゃがいも、ほうれん草など。お肉であれば胸肉やササミなど低脂肪のものなどです。

【離乳食中期の赤ちゃん~】 りんごとにんじんのおろし煮

りんごとにんじんの甘みで食べやすいレシピです。

<材料>

りんご 15g

にんじん 15g

水 100ml

<作り方>

・りんご、にんじんの皮をむいてすりおろす

小鍋にリンゴと水を入れて煮る

【離乳食後期の赤ちゃん~】 大根のだしがゆ

大根の甘みとだしの風味が美味しいメニューです

<材料>

5倍かゆ 50g

大根 15g

かつお昆布だし 50ml

<作り方>

・大根をすりおろす

1.5倍かゆに大根とだしを入れて煮る

【幼児・小学生なら】たまご雑炊

消化のよい人参やほうれん草などの野菜を加えてもよいでしょう。

【幼児・小学生なら】煮込みうどん

うどんを柔らかく煮込むことで、よりお腹に優しいです。

写真はイメージです

下痢のときは避けた方がいい食べ物

香辛料や酸味の強いものは、腸を刺激するので控えましょう。また、食物繊維を多く含むもの(きのこ類や海藻類など)や脂質の多いもの(脂肪の多い肉・揚げ物など)は消化が良くないため、避けましょう。

下痢以外の症状があるとき

下痢以外の症状で、特に熱や嘔吐のときの食事の進め方も紹介します。

熱があるとき

食欲がないときは、無理に食べさせる必要はありません。ただ、発熱時は非常に汗をかくので脱水症状に気をつけ十分に水分補給しましょう。消化吸収のよい卵雑炊、りんご果汁、煮込みうどんなどがおすすめ。油脂類、消化に悪い物、お菓子などは避けます。

0歳、1歳、2歳の乳児の場合

赤ちゃんの平熱は36.5~37.5度と言われているので、大人よりも少し高めです。高熱がある時は、汗をかくことで体から水分やナトリウム、カリウムなどのミネラルも失われます。それゆえ、水分補給やミネラルをとることが大切です。例えば、母乳、ミルク、湯冷まし、麦茶、果汁、乳幼児用のイオン水など。

小さい子どもの場合

脱水になりやすいので、いつもよりも水分をとることを心がけながら、食事のことを考えていきましょう。熱があっても普段通りの食欲があれば、食べてもOKです。

・消化がいい

・薄味のもの

・口当たりがいい

消化がいい食べ物は、おかゆ、煮込みうどん、野菜スープ、豆腐、乳製品などです。

まずは、おかゆやうどんなど、本人が食べられるものを中心にしながら与えてみましょう。体力の回復を考え、豆腐、白身魚、鶏ささみなどのたんぱく質を徐々に増やしていきましょう。

嘔吐があるとき

嘔吐を繰り返した直後は水や湯冷しなど何を飲ませても吐いてしまうので、何も与えず様子を見ます。徐々に吐き気がおさまり、飲み物を欲しがったら少しずつ水分補給します。湯冷し、または経口補水液を飲ませます。

おかゆ、うどん、消化のよい野菜、豆腐、脂肪の少ないササミ、白身魚などを煮たり蒸したりして、柔らかくし薄味にします。

柑橘類、桃、それらの果汁、牛乳、ヨーグルトは吐き気を誘うことがあるので避けましょう。

乳児が下痢のときの食事とケア

赤ちゃんの下痢はどんな状態を解説します。また、下痢のときのミルクや母乳の与え方やケアについても紹介します。  

新生児や乳児の下痢の特徴

新生児や乳児の下痢は便の回数が普段より多くなり、明らかに水っぽい便が何度も出て、においもいつもと違います。赤ちゃんが下痢をしたときにいつもの便との違いに気付くことができるように、日頃から赤ちゃんの便の回数と状態をチェックしておきましょう。

母乳やミルクはいつも通りに与える

下痢になっているときは、体の水分が大量に便とともに出てしまいます。母乳やミルクはいつも通りに与え、飲みたがらない時は徐々に回数を増やします。

無理に経口補水液を与えたり、ミルクを薄めたりする必要はありません。

頻繁にオムツを替える

下痢便は肌への刺激が強く、頻繁に下痢をするとオムツかぶれを起こすことがあります。オムツをしている場合は出来るだけ刺激を取り除くために下痢をしたらすぐ交換しましょう。

おしりのかぶれケア

かぶれないよう、おしりを座浴やシャワーで洗ったり、お湯で絞ったガーゼで綺麗に拭いてあげたりするのがよいでしょう。洗った後は、よく乾燥させてからオムツを当ててあげて。

おしりかぶれは初動が遅れると下痢などの消化器症状が治まった後も子どもを苦しめてしまうので気を付けてあげてください。

二次感染に注意する

下痢便のオムツ替え時は、細菌を大量に含む便が直接手に触れないよう使い捨てタイプの手袋をしましょう。空気中に飛び散った細菌を吸い込まないようにマスクも忘れずに。部屋に兄弟や家族がいる場合は別室で行うとよいです。

下痢をしたオムツ、手袋はすぐにゴミ袋に入れて袋の口を縛りましょう。その後石けんでよく手を洗い、オムツ替えをした部屋は窓を開けて換気します。

脱水症状に注意する

小児急性胃腸炎診療ガイドライン2017では、下痢嘔吐などの小児の腹部症状においての最も重要な課題として脱水予防を挙げています。(下痢による脱水での死亡は5歳以下の死因2位)

子ども、特に乳児は大人に比べて身体の水分量が多いため、嘔吐や下痢によって簡単に脱水症になり、場合によっては生命に関わることもあります。失われた水分や塩分(電解質)をこまめに補給することが重要です。

下痢や嘔吐の時の水分の取り方

経口補水液、湯冷し、麦茶などを少しずつ飲みましょう。

一番体の補給に良い、最初にいつも飲んでいる麦茶などを与えると飲まない可能性もあるため、まずは、経口補水液から開始してみてください。スプーン一口を嫌がるまであげてください。嫌がったら30分ほどあけてからもう一度行ってみてください。

下痢の時は避けた方がいい飲み物

カフェインを含む飲み物(濃い緑茶など)炭酸飲料、柑橘系のジュースなどは避けましょうこれらの飲み物は腸を刺激してしまいます。

カフェインに関しては、利尿作用もあり、脱水症状を悪化させる可能性があります。

また、冷たい飲み物や熱い飲み物は腸にとっては刺激となるので、人肌もしくは室温くらいの温度の飲み物を飲むとよいでしょう。一気に飲むのではなく、こまめにゆっくり時間をかけて飲むのがべスト。

脱水状態がみられる症状

不機嫌や体重の急激な減少、顔色が悪くなる、体の皮膚のしわ※やたるみが目立つなどの症状が出たら要注意です。

※しわの変化は分かりにくいため、皮膚を押して2秒以上戻らない皮膚のくぼみになるときは脱水症状と考えてよいでしょう。また、口腔内の乾燥も観察ポイントです。

下痢で病院を受診するタイミング

症状が下痢だけで、本人が元気そうな場合(食欲もあり、水分もとれる)は、しばらく様子をみてもよいでしょう。

ただ、脱水が疑われる場合や発熱・嘔吐・激しい腹痛・血便をともなう場合は、早めに受診しましょう。

乳児の場合

1歳未満の赤ちゃんが白色の下痢をしている場合はウイルス性胃腸炎の可能性が高いため、すぐに受診してください。

また、生後3ヶ月未満の赤ちゃんで38度以上の熱が出ているときは、解熱剤を使わず、すぐに受診しましょう。

下痢のとき食欲がなければ無理に与えない

子供が下痢をしているとき、食欲がなければ無理に与える必要はありません。食欲が出てきたら消化によいものから少しずつ与え、子どものペースに合わせて食事を食べさせてあげましょう。

ただし、下痢をしている時は、こまめな水分補給は大切です。また、少しでも疑問がある場合は、かかりつけの小児科を訪ねることをおすすめします。

記事監修

楯岡由弥華
看護師・保健師
東京女子医科大学 看護学研究科 博士前期課程修了。大学院を終了後、看護師相談の専門家として健康相談業務に従事。子どもの病気から生活習慣病、がん相談と幅広い経験を有する。患者さんの病気、そして人生に寄り添うパートナーでありたいという強い気持ちから健康相談窓口を開設。一児の母。

文/一般社団法人 離乳食インストラクター協会代表理事 中田 馨(離乳食インストラクター協会HP中田馨の和の離乳食レシピブログ)、保育士 月野あさひ(Instagram:asahi_3kids

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