カヌレとは?
カヌレはフランス南西部にある街、ボルドー発祥の焼き菓子。正式名称は、発祥地にちなんで「カヌレ・ド・ボルドー(Cannelé de Bordeaux)」といいます。
外はカリッと、中はもっちりと弾力のあるカヌレの材料は、小麦粉や卵、砂糖、バター、牛乳などと、いたってシンプル。風味づけとしてラム酒やバニラビーンズを入れ、カヌレの特徴である丸くコロンとした形の専用の型を使って焼くのが特徴です。伝統的なカヌレはこの専用の型に蜜蝋を塗って焼かれます。
カヌレの由来は?
フランス語で「cannelé」は、「溝がついた」という意味。「溝をつける」という意味の動詞、「canneler」に由来するとされています。カヌレは縦に長く溝が入っている形をしていることから、そう呼ばれるようになったようです。
カヌレの歴史とは?
カヌレの歴史は明確ではありませんが、16~18世紀ごろ、ボルドーのとある修道院で誕生したとされています。ボルドーはワインの産地として有名です。ワインをつくる工程の1つに大量の卵白が使用されるのですが、その際に大量の卵黄が余ってしまいます。その余った卵黄を使って作られたお菓子がカヌレなんです。
カヌレは自宅で作れる?
カヌレは自宅で作ることができます。その際は、カヌレ専用の型の購入がおすすめ。
現在、さまざまな素材のカヌレ型が売られていますが、型の素材によって、そのメリット・デメリットもさまざまです。カヌレの型の素材別に特徴をみていきましょう。
銅製
本格的なカヌレに使われているのが銅製の型。熱伝道性に優れているのが特徴で、外はこんがりと焦げ目がつき、中はモチモチの美味しいカヌレが作れます。
しかしデメリットとしてあげられるのは、高価であることと、お手入れが必要だということ。お店で売られているような本格的なカヌレを焼きたい場合には、銅製の型がおすすめです。
鉄製テフロン加工
鉄製のテフロン加工された型は、丈夫で扱いやすいのが特徴です。テフロン加工されているため型離れも良く、失敗が少ないでしょう。使用後は水洗いもOK。
デメリットは、テフロン加工は使い続けると剥がれていくことです。しかし銅製のものより比較的安く購入することができるため、カヌレを初めて作るという方には、鉄製のテフロン加工された型がおすすめです。
シリコン製
柔らかいシリコンのカヌレ型は、型離れしやすいのが特徴。丸洗いすることができ、お手入れも簡単です。デメリットとしてあげられるのが、熱伝導性の低さ。どうしてもシリコン製の型は、カリッと香ばしい表面になりにくくなります。
しかし値段はリーズナブルで、お手に入れやすいため、お子さんと一緒にカヌレを作ってみたい方や、手軽にカヌレを作ってみたいという方などにはシリコン製の型がおすすめです。
カヌレを成功させる2つのポイント
初めてカヌレを作る方でも大丈夫! カヌレを成功させるポイント、簡単レシピを紹介していきます。今回は鉄製テフロン加工されたカヌレ型を使ったレシピの紹介です。では、一緒に作っていきましょう!
ポイントその1:生地をしっかり寝かせる
カヌレの生地は、冷蔵庫で一晩(最低12時間以上)寝かせてから焼くのがポイントです。カヌレを作る際、薄力粉や強力粉などのグルテンを落ち着かせることが重要。生地を寝かせないと、焼く際に生地が膨張しすぎて型から飛び出る原因になります。
ポイントその2:オーブンはしっかり予熱しておく
カヌレは高温で焼き上げる焼き菓子。オーブンの温度を下げないのがポイント。オーブンはしっかりと予熱します。その際、天板も一緒に予熱するのを忘れないでください。
カヌレのレシピ
カヌレの材料、作り方を紹介。では一緒にカヌレ作りに挑戦していきましょう!
材料(5.5cm 12個分)
・牛乳… 550g
・無塩バター… 35g
・バニラビーンズ… 1本
・薄力粉… 75g
・強力粉… 45g
・全卵(Lサイズ)… 1個
・卵黄(Lサイズ)… 3個分
・グラニュー糖… 240g
・ラム酒… 50g
生地を作る
1、牛乳とバニラビーンズを火にかける
牛乳とバニラビーンズ(タネとさや)を鍋に入れ、中火で軽く沸騰させます。火から下ろし、人肌ぐらいになるまで冷ましましょう。
2、粉類をふるう
薄力粉、強力粉、グラニュー糖を合わせ、ふるっておきましょう。
3、卵を混ぜる
ボウルに全卵と卵黄を入れ、混ぜます。
4、粉類と卵を混ぜる
卵を混ぜたボウルに、ふるっておいた薄力粉、強力粉、グラニュー糖を軽く混ぜ合わせます。
5、牛乳を入れて混ぜる
卵と粉類を混ぜたものに、人肌ぐらいに冷ました牛乳を数回に分けて混ぜ入れます。この際、混ぜすぎないのがポイント。ダマが残ってもOK。練りすぎないようにしてください。
6、バターを溶かす
電子レンジに入れてバターを溶かし、粗熱をとります。
7、生地に溶かしバター、ラム酒を入れる
作った生地に、最後、溶かしバター、ラム酒を入れ軽く混ぜます。
8、生地をこして、冷蔵庫で一晩寝かせる
溶かしバターとラム酒を混ぜ合わせた生地は、ザルなどでこし、保存容器に入れます。生地の上にラップをかけます。保存容器のフタをして、冷蔵庫で一晩(12時間以上がベスト)寝かせましょう。
カヌレを焼く
1、オーブンを予熱する
オーブンは天板と一緒に230℃で予熱しておきます。
2、カヌレの型にバターを塗る
カヌレの型にバター(分量外)を塗っておきます。
3、生地を型に流し入れる
寝かせておいた生地は、もう一度ザルなどでこし、均等にカヌレの型に流し入れます。
4、カヌレを焼く
予熱が終わったら、いざカヌレを焼いていきましょう。230℃で15分、190℃に温度を下げて50分~1時間、様子をみながら加熱します。
5、型からカヌレを出す
焼き上がったら、カヌレを型から出します。アミの上に、型をひっくり返してカヌレを出して完成です。
買ってきたカヌレの美味しい食べ方は?
買ってきたカヌレをさらに美味しく食べる方法を紹介します。
トースターで軽く焼く
買ってきたカヌレは、表面のカリッと感が失われがちです。そこで、オーブントースターで軽く焼くことで、表面のカリッと香ばしさが蘇ります。
冷やして食べる
表面のカリッと感よりも、中のもっちり感を楽しみたい場合は、冷蔵庫で冷やすのがおすすめ。中の生地が引き締まり、さらにもっちりとした食感を楽しむことができます。
カヌレ失敗談
カヌレは自宅でも作ることができます。しかし、失敗することも少なくありません。筆者がカヌレを初めて作ってみた際の失敗談を紹介します!
失敗その1:焼き過ぎた
1回目は、オープンの温度を下げないことを意識していたため、入念に予熱を行ないました。そのためか、カヌレの底になる部分が丸焦げに… 。オーブンで焼いている際、臭ってくる明らかに焦げている臭い。しかし、「カヌレはこんがり焼けているもの!」と、様子をみていたら本当に真っ黒に焦げていました。
もし「焦げてそう」と思ったら上からアルミホイルをかけると良いそうです!
失敗その2:焼きが不十分
1回目の失敗のトラウマで、焦げ目が少し付いてきたら、アルミホイルかけてみることに。そうしたら、今度は焼きが不十分なカヌレに。しっかり焼くほうがパリッとしたカヌレに仕上がるでしょう。
カヌレは、火加減が非常に難しいです。 しかし、中まで火が通っていれば、味は美味しかったです。お菓子作り上級者でも、たまに失敗するとのこと。それほどカヌレは奥が深いのでしょうか。
カヌレを自宅で作ってみよう!
独特な形と食感で、作るのが難しいと思われがちなカヌレ。型さえあれば、あとの材料は揃えやすいもので作ることができます。作る工程も思ったより複雑ではないと感じた方も多いのでは? カヌレを作ったことがない方も、ぜひチャレンジしてみてください。
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構成・文・写真(一部を除く)/松田慶子(京都メディアライン)