「子どもには本好きになってほしい」と願う保護者の方は多いことでしょう。そこで今回は、小学生が本を読むメリットや読書の効能をご紹介します。また、低学年向け・高学年向けの読書感想文におすすめの本や、お子さまへの読書のヒントとして、小学生によく読まれている人気の本をピックアップしました。
小学生が本を読むメリット
読書は心を豊かにするといいますが、具体的にどのようなメリットや効果があるのでしょうか。
読書には、思わぬ出合いがある!
知りたいことがあればインターネットで検索すると、すぐに出てきますが、本はそのようにはいきません。本で何かを調べるのは時間も労力も数倍以上かかってしまいます。なにしろ、本で自分の知りたいことをピンポイントに探すのは至難の技。無関係なことが書かれていたり、肝心の知りたいところは、やけに難かしかったりすることもあります。
自分の知りたいことに関連のありそうな本を探し、読み進めていく作業は、こうした期待はずれや問題意識のずれをくり返します。しかし、その「寄り道」によって、面白いと思えるものに出会うこともあるのです。すると、そこにまた興味が湧いて、新たな観点からさらに本を探し求めることになり、本がどんどん好きになっていきます。
語彙が増える
本の中には、さまざまな言葉が使われています。たとえば「楽しい」という気持ちを表現する言葉には、「うきうきする」、「心おどる」、「愉快」などがあるようにです。作品の中の「生きた言葉」として入ってくるので、子どもの語彙は自然に増えていきます。これは、辞書や参考書では身につきません。
疑似体験ができて、免疫をつけられる
名作といわれる作品には、読み継がれる理由があります。その理由は、人間や現実社会が赤裸々に描かれていること。たとえば、権力を持った者、弱者へのむごい仕打ちや心ない態度、本来助け合うべき弱者同士のいがみ合いやいじわる、拒絶などです。また、それに対してどう向き合ったのか、という対処の仕方や知恵も描かれています。読書を通して人間の醜さや愚かさを疑似体験していれば、現実社会で経験できないことに対するさまざまな免疫を身につけることができるのです。
物語や小説の中には、ネガティブな感情が描かれたものもあります。作品の中で「どのようにこらえるか」をあらかじめ体験しておけば、実際に気持ちのはけ口のない状況に立たされても、どこか「ため」がでてこらえられるようになります。
読書感想文にもおすすめ!小学生低学年向けの本
読書感想文は、作文が苦手な子どもにとっては苦痛そのもの。しかしながら、今からご紹介する本なら、思わず感想を綴りたくなるはず。小学生がえらぶ!こどもの本総選挙 結果発表(主催:こどもの本総選挙事務局/特別協力:朝の読書推進協議会)からいくつかピックアップしてみたので、ぜひ読んでみてくださいね。
クマの名前は日曜日(岩波書店)
少年のもとにやってきたぬいぐるみのクマの名前は「日曜日」。でも「日曜日」は口もきいてくれないし、一緒に食事もしてくれません。ぼくのことをどう思っているのだろう。ある日少年は、夢でクマの国へ…。
この本を読むときには、少年の心の成長や進化に注目。人とモノ、人と人のコミュニケーションとは何かを考えさせられます。大人でも読み応えのある本なので、親子で読んで感想を話してみてはいかがでしょうか。
ちいさいモモちゃん(講談社)
1964年に第1巻が発売されてから第6巻で完結するまで、ほぼ30年を要した「モモちゃんとアカネちゃんの本」シリーズ。そのシリーズ第1巻が「ちいさいモモちゃん」です。この本では、モモちゃんが生まれた日から3歳までが描かれています。
この本が気に入ったら、2巻以降も読んでみてください。2巻では、妹のアカネちゃんが生まれ、モモちゃんがお姉さんになります。
モモちゃんを自分に当てはめながら読むと、自分の成長を感じ得ずにはいられないはず。親子で、お子さんの赤ちゃんのときの話をするのもいいですね。
はじめてのキャンプ (福音館書店)
ハラハラする物語と同時に、林明子さんの描く色の美しさ、夜の表現も秀逸。キャンプに行く前に、行った後に読んでも楽しい本です。
物語は、なほちゃんが大きい子たちにまざって、ひとりでキャンプに行く話です。なほちゃんは大きい子たちに負けまいと、重い荷物もひとりで背負い、まきを集め、懸命にがんばります。なほちゃんの不安や怖れ、勇気など、女の子のがんばりを垣間見ることができます。自分だったらどれくらいできるか、なほちゃんみたいにがんばれるか、などを考えるきっかけになるのではないでしょうか。
読書感想文に最適!小学生高学年向けの本
高学年になったら、自分で本を選ぶのをおすすめします。ですが、あまり本に親しんでいない、読書感想文におすすめの本が知りたい方に、3冊ピックアップしました。
霧のむこうのふしぎな町(講談社青い鳥文庫)
この本は、『千と千尋の神隠し』に影響を与えたファンタジーで、永遠の名作。自分がこの本の主人公となって読みすすめると、想像の世界を楽しめるはずです!
ストーリーは、主人公の6年生のリナが一人旅に出ます。霧の谷の森を抜けると、どこか風変わりな町が現れ…。リナが出会った、めちゃくちゃ通りに住んでいる、へんてこりんな人々との交流が、みずみずしく描かかれています。
新版 宿題ひきうけ株式会社(理論社)
タイトルから「おもしろそう! 読んでみたい!」と思わせてくれる本です。読めば、勉強する本当の意味や、教育を受けることなどを、子どもなりに考えさせてくれます。
タケシたち6人は、お金をもらってかわりに宿題をやってあげる“宿題ひきうけ株式会社”をつくります。やがてみんなは考えだします。何のために勉強するのか…。
きよしこ(新潮文庫)
吃音に悩む「きよし」少年。彼は、転校を繰り返し、いつもひとりぼっち。思ったことを何でも話せる友だちが欲しかった。ある年の聖夜に出会ったふしぎな「きよしこ」は「伝わるよ、きっと──」と少年に言う…。
大切なことを言えなかったすべての人に捧げたい珠玉の少年小説です。きよしの悔しさ、苦しさに共感し、自分の悩みにも向き合えるのではないでしょうか。
小学生によく読まれている人気の本
小学生に人気の本をご紹介します。気になる本があったら、図書館や本屋さんで見てみてくださいね。
ふしぎ駄菓子屋 銭天堂(偕成社)
「小学生がえらぶ!こどもの本総選挙」9位にランクインし、読書感想文用の本としてもおすすめなのがこちらの「ふしぎ駄菓子屋 銭天堂」。2019年3月現在、11巻まで出版されています。
ふしぎな駄菓子屋で売っているふしぎな駄菓子が持つパワーとは?女主人紅子が、きょうもお客さんの運命を駄菓子で翻弄する…という内容。読んだあとに、自分ならこんなふしぎな駄菓子があったら…と想像してしまうかもしれません。
おしりたんてい かいとう VS たんてい (おしりたんていファイル) (ポプラ社)
アニメ化もされている「おしりたんてい」の大人気シリーズ第4弾。表題のほかに、「ばんがいへん ブラウンものがたり」と、迷路、絵さがしが掲載されています。小学校低学年のお子さんにおすすめの本です。
オオヤギ家の執事ヤギスチャンが「大泥棒かいとうUからの予告状が届いた」と、おしりたんていに事件解決を依頼。おしりたんていは最強のライバル・かいとうUからオオヤギ家に代々伝わるお宝「ほしぞらのかがやき」を守れるのか!?
★ママパパの口コミ
「モチーフや世界観がユニークなので、自分たちでも何度も読み返してくれる。」(30代・福岡県・子ども3人)
おもしろい! 進化のふしぎ ざんねんないきもの事典(高橋書店)
「小学生がえらぶ!こどもの本総選挙」第1位に輝き、たくさんの子どもに読まれた本です。本の内容は、一生懸命なのに、どこか“ざんねん”ないきものの事典。「紫外線をあびると光る」サソリや、「敵におそわれると死んだふりをする」オポッサムなど、思わず「どうしてそうなった! ?」 とつっこみたくなる“ざんねん”な生き物がたくさん登場します。どのページから読んでも面白いので、気になる生き物のページから読んでもOK。また、各動物の「プロフィール」 欄を見れば、生息地、大きさ、特徴が、ひと目でわかるようになっています。あまり本を読まない子にも最適です。読み終わったときには、生き物博士になっているかも!?
★ママパパの口コミ
読書体験はかけがえのない宝物
本を読むと、知らない世界や味わったことのない体験ができます。それが読書の醍醐味です。小学生のときの読書体験は、一生忘れられない宝物になります。ご紹介した本などを参考に、1冊でも多くの本と出会ってくださいね。
関連サイト
小学生がえらぶ!こどもの本総選挙 結果発表(主催:こどもの本総選挙事務局/特別協力:朝の読書推進協議会)
文・構成/HugKum編集部