出産適齢期とキャリアの過渡期がかぶると困ることは
キャリアコンサルタントの筆者のところへやってくる30代ワーママからの相談の大半は、出産適齢期とキャリアの過渡期がかぶり悩むと言った内容です。
下記のアンケート調査でも、30代女性の転職理由で最も多いのが『結婚・出産のため』という結果も出ています。
では、女性の出産適齢期とキャリアの過渡期がかぶることで、どんな障壁が出てくるのでしょうか。
①いつ子どもを授かるか先が読めず、キャリアの計画が立てにくい
自分が妊娠・出産希望していても予測不能なので、今後のキャリアの計画を立てようにも立てづらいということがあげられます。不妊治療を経験した私自身だからこそ言えることは、妊娠ほど先行きが全く見えないものはないということ。
そんな中で、キャリアの進みたい方向や目標をもっても、「いつ妊娠するか分からない」が頭に常に付きまとい、キャリアの将来設計にどうも前向きになれませんでした。
②出産適齢期というだけで、キャリア上マイナスに捉えられることも
特に30歳前後~30代半ばの女性は、仮に本人がまだ希望していなかったとしても、周りからの見られ方が、「すぐ結婚・妊娠するかもしれない」「もう一人子どもを持つかもしれない」など、勘ぐられる傾向も。
一番顕著なのが、転職時で30歳前後~30代半ばの女性というだけで、面接官から「採用してもすぐに産休に入られるかもしれない」「育休復帰後、時短勤務になると即戦力にはなれないかもしれない」など、聞かれてもいないのに勝手に想像され敬遠されることがあると聞きます。
私もかつて転職エージェントに話を聞きに行ったことがあるのですが、キャリアアドバイザーの方から「スキル的に問題がなくても、妊娠・出産の可能性で男性よりマイナス評価をする企業もある」とストレートに言われました。
③どちらかを優先的に選ばなければいけないケースが多い
そして、妊娠・出産などのライフイベントを実現しようとすると、仕事をセーブせざるを得なかったり、仕事と育児の両立で働き方を変えざるを得なかったりと、なかなか理想通りのキャリアが築けず、どちらを優先で考えるかを決めないといけません。
仕事を優先した場合は、妊娠・出産がいつできるか不安が付きまとうかもしれません。
自分が人生でどちらを大切にしたいか、選ばないといけない場面が出てくるのです。
どうやって人生設計をして行くべきなのか考え方をご紹介
ここからは、キャリアコンサルタントの私が、このようなお悩みに対して、どのようにアドバイスをしているかご紹介いたします。
子どもを授かるタイミングは読めないので、いつキャリアアップ・キャリアチェンジするか、世の中に”お手本”も”正解”もありません。
よって、こればかりは自分で最後決断するしかありませんよね。そこで、どうやって決めて行くかの考え方をご紹介します。ぜひ一度、当記事を参考に整理してみて下さい。
ステップ① いろいろな働き方を知って選択肢を広げる
まず、働き方の選択肢が凝り固まっていないか確認しましょう。
もちろん、今まで正社員として働いて来た方は、「次も絶対正社員がいい」と思われると思いますが、ご本人の希望として、柔軟に働くことやリモートワークであれば、もう少し視野を広げて、フリーランスとして独立する道などもあります。
実際にママになった方が、どうキャリアチェンジをして行ったか、人に聞いたり、ネットで調べたり情報収集をして、自分が希望する最適な働き方を探しましょう。
ステップ② すべての選択肢の優先度、メリット・デメリットを整理する
いろいろな働き方や選択肢を洗い出したら、次はそれぞれの選択肢のメリット・デメリット、さらには時間的なリミットがあるかどうか、などをすべて書き出してみます。
頭の中でぐちゃぐちゃしていた考えや感情が、書き出すことによって一気に見える化し、頭も心も整理されると思います。
そうすると、自ずと自分にとってアリな選択肢とナシな選択肢が見えてくるのです。選択肢上位のものが出揃ったら、改めて自分の気持ちを整理してから、家族にも相談してみるとよいでしょう。
ステップ③ 転職市場にも妊活にもアンテナを張って情報収集をする
いろいろな働き方の選択肢を知って、メリット・デメリットまで整理ができたら、今度は転職市場の情報を集め、妊活にもアンテナを張って、客観的な判断基準を持ちましょう。
転職市場でいうと、転職エージェントとの面談を受けてみて、自分の市場価値を知り、職務経歴書などの制作を行い、自分のキャリアポートフォリオを俯瞰で見て、転職が決まりやすくなるよう強化すべきスキルなどを洗い出します。
妊活の場合は、今すぐ不妊治療をするつもりがなくても、基礎的な検査をして、自分の妊孕性(妊娠のしやすさ)を知り、そこから自分の体質的にいつまでに妊娠した方が良いか逆算して計画を立てましょう。
特に、オススメなのがAMH検査で、血液検査のみで自分の残りの卵子数の値が分かります。AMHは、個人差があり年齢に比例しないので、若いけど意外と卵子の残り数が少なく妊娠を急いだほうがいいケースもあります。
私自身もAMH検査をした時、実年齢よりも6歳程上の数値が出てしまったので、焦って不妊治療に舵を切りました。
自分の意思だけでは判断できないことも、転職エージェントやクリニックに言われたら、案外あっさり決断できることもあります。
いざという時すぐに判断できるよう、転職市場にも妊活にもアンテナを常に張っておくことをオススメします。
ステップ④ 死ぬとき何を後悔するか考えてみる
情報が出揃ったら、最後に「死ぬとき自分は何に後悔するか」を考えてみましょう。
「今、やりたい仕事にチャレンジできなかったことに後悔するのか……」
「子どもを持たなったことを後悔するのか……」
何に後悔するかは人それぞれだと思います。
私自身もキャリアを優先すべきか、不妊治療を優先すべきか迷った時、真剣に考えました。
すると、キャリアは後から挽回しようと思えばできるけど、妊娠・出産だけはどうしても年齢に抗えないことに気づきました。そして、自分の子どもを産んで人生を共にし、死ぬときはたくさんの家族に囲まれたいと思いました。
死ぬときのことはイメージしづらいと思いますが、一度真剣に考えてみて下さい。きっと自分なりに納得した答えが見つかると思います。
他人の意見に惑わされず自分なりの”正解”を見つけて!
キャリアも子どももどちらも自分の人生にとって大事なので、とても悩みますよね。子どもを持つ持たないに関わらず、キャリアを推し進めることのできる男性にちょっと嫉妬もしますよね。
30代は何かを選んだら何かを諦めなければいけないかもしれません。
その決断はとても勇気がいるし、後から後悔するかもしれないと不安にもなるし、自分が選ばなかった道を歩んでいる人を羨ましく感じることがあるかもしれません。
しかし、今は人生100年時代と言われるように、長い目で見たキャリア形成の視点が今後重要になってきます。
決断は苦しいと思いますが、他人の意見に惑わされず自分なりの”正解”を導いて頂ければと思います。
迷った時や、自分だけではモヤモヤ解決しないときは、キャリアコンサルタントなどのキャリアの専門家のサポートを受けるのもオススメです。
是非、自分なりの”正解”を見つけて、選んだ道が”正解”となるよう前進しましょう。
30代のワーママのよくある悩みが丸わかり!前編はこちら
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