【小児科医監修】大人もうつるノロウイルス、ロタウイルスの感染経路や症状、対策は?

毎年、秋から冬にかけて流行する「ウイルス性胃腸炎」。特に多いのが、「ノロウイルス」や「ロタウイルス」によるものです。

冬になると流行する「ノロウイルス」「ロタウイルス」などの感染経路は?

感染者の排泄物などにウイルスが含まれる

毎年、秋から冬にかけて流行する「ウイルス性胃腸炎」。特に多いのが、「ノロウイルス」や「ロタウイルス」によるものです。感染者の排泄物や吐いたものに含まれるウイルスが手を介して体内に入ったり、ウイルスがついた食品を食べたりすることで感染します。

ノロやロタウイルス感染の具体的な症状は?

急に嘔吐や下痢が起こり、数日で治まる

おもな症状は、急な嘔吐や下痢。発熱や腹痛が起こることもあります。また、感染したウイルスの種類によっては、便が白っぽくなることもあります。ウイルスが原因の病気には特効薬がないため、病院では、ウイルスの種類を特定する検査などは行わず、症状から診断する場合がほとんどです。

ノロウイルス、ロタウイルスに感染したときの治療はどうすればいい?

安静と水分補給が基本。「経口補水液」も活用して

治療の基本は、安静と水分補給。通常、症状は数日で治まります。子どもは大人より脱水を起こしやすいため、家庭では、少量ずつこまめに水分補給を。食事がとれない場合の水分補給は「経口補水液」を利用するとよいでしょう。経口補水液は水分を効率よく吸収できるように成分が調整されているため、嘔吐や下痢による脱水の予防に適しています。ちなみにスポーツドリンクは、経口補水液とは糖分や塩分の濃度が異なります。

食事は消化によいものを

食欲がある場合は、消化がよいものを食べさせます。食事から塩分や糖分をとることができるので、水分は湯ざましや麦茶などで補うとよいでしょう。

予防が肝心!子供から大人にうつらないために手洗いや処理を徹底して

アルコールは効果なし!ロタウィルスには乳児期のワクチンも有効

ウイルス性胃腸炎は感染力が強いため、予防が大切です。食事の前や外から室内に戻ったときは、石けんと流水で手洗いを。石けんをつけてから30秒を目安にこすり洗いし、しっかりすすぎましょう。胃腸炎の原因となるウイルスにアルコールは効果がないので、アルコール除菌剤などに頼らず、こまめに手洗いをすることが大切です。

ロタウイルスにはワクチン(任意接種)がありますが、初回の接種を生後14週6日までに受けることが条件。この時期を逃すと受けることはできません。また、ロタウイルスには複数の型があるので、乳児期にワクチンを受けていても感染する可能性はあります。

感染者がいるときの排泄物などの正しい処理法

ウイルス性胃腸炎は、感染者の排泄物や吐いたものから広がることが多いので、家庭でも次のような手順で正しく処理することが大切です。
1、水1リットルに次亜塩素酸ナトリウム(台所用の塩素系除菌・漂白剤)20ミリリットルを加えて消毒液を作る。
2、使い捨ての手袋やマスクをつけ、エプロンなどで衣服を覆う。
3、ペーパータオルなどで外側から内側へ集めるようにして汚物を拭きとる。
4、別のペーパータオルを(1)に浸し、汚れた部分とその周りを拭く。
5、ペーパータオル類とマスク、手袋はポリ袋に密封して捨て、流水と石けんでていねいに手を洗う。

汚れた衣類は耐熱性の高いポリ袋に入れ、85度以上のお湯を加えて1分以上消毒するか、薄めた塩素系漂白剤(色落ちに注意)に浸します。その後、他の衣類と分けて洗濯します。

症状が治まった後も、しばらくは排泄物の中にウイルスが含まれていることが。トイレの掃除はこまめに行い、次亜塩素酸ナトリウムを薄めた消毒液でドアノブなども拭いておきましょう。

 

記事監修

金井正樹|小児科医

東京都八王子市・金井内科医院院長。「国立小児病院」、米国の小児病院などで小児外科の臨床・研究を行い、2008 年より現職。診療科目は内科、小児科、小児外科、外科。保育園の園医、小・中学校の校医も務める。

イラスト/小泉直子 出典/めばえ

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