七夕の行事食って?
七夕の日が近くなると、幼稚園や保育園で「短冊にお願い事をかく」という時間があることでしょう。我が子の幼稚園では、毎年立派な本物の笹をいただき、手作りの七夕飾りと、子どもたちの可愛らしいお願い事で心もほんわかしたものです。
今回はそんな七夕の行事食についてお伝えします。
七夕の由来
七夕は、7月7日、五節句のうちのひとつ「七夕(しちせき)の節句」です。
奈良時代に中国から伝わったとされる七夕は、江戸時代に幕府が「五節句」を定めたことにより、庶民が楽しむ年中行事になりました。七夕の由来には、諸説ありますが、機織りのお仕事をする織姫様と、農作業のお仕事をする彦星様が、年に一度出会える日。という七夕のストーリーがお子さんにはわかりやすいかもしれませんよね。
七夕の行事食は
ずばり「そうめん」です。これは、中国の「索餅」というお菓子から伝わってきたと言われているようです。そうめんの白くて細い麺を、「糸」に見立てて、織姫様の仕事である「機織り」にかけているとも言われています。
暑い夏、のどごしの良いそうめんは、疲れた体や胃腸に優しく、食べやすいかと思います。また、料理をするお母さんにとっても、「数分で茹でられる」という短時間調理は、暑い夏にはぴったりです。オクラを切ると、星型になったり、人参やハム、鮮やかなパプリカなどを型抜きして飾るだけで、とても可愛らしい華やかなそうめんになりますよ。
子どもの好奇心をくすぐる、まるで魔法な「魔法のカラフルそうめん」
今回は、ハムや野菜を飾るだけではなく、自由研究にもなりそうな子どもも驚く色が変わる!?そうめんのご紹介です。
まるで魔法な「魔法のカラフルそうめん」
材料(2人分)
そうめん 2束
紫キャベツ 2,3枚
レモン汁 小さじ1
重曹(食品) 小さじ1/2
オクラ 2本
茹で人参(輪切り) 4枚
ハム 1枚
お好みのめんつゆ 200ml
作り方
① オクラは塩(分量外)で板ずりをし、5㎜幅の輪切り、にんじん、ハムは星型に型抜きをする。
② 紫キャベツを1㎝角程度の大きさにちぎり、そうめんを茹でる鍋に入れ水を入れ、沸騰させ、3分キャベツを煮込む。
③ ②のキャベツを穴じゃくしや菜箸でとり出し、色のついた煮汁で、そうめんを表示時間通りに茹でる。
④ ざるにあけ、流水でよく洗う。
⑤ ④の茹でた紫色になったそうめんを3つにわけ、そのうち1つにレモン汁を振りかけよく混ぜるとピンク色に!
⑥ 残りの2つのうちの1つには、重曹を入れると……こちらも色が変化!
⑦ ⑥で色が変わったら、それぞれ再度流水で洗う。
⑧ ⑦を皿に盛り、オクラ、人参、ハム、コーンを飾ったら完成。
子どものお手伝いポイント
① オクラの板ずりをしてみよう!
これから旬を迎える「オクラ」は、一年を通してスーパーで見かける食材ですが、旬の時期のオクラはとても立派です。また新鮮なオクラほど、よく見ると、小さな毛がたくさん生えています。「よーく見てみて」「触った感じどうかしら?」と五感が働くような声掛けをしてみてください。「なんかざらざらするね!」「わ!白い毛がたくさん!」と気づいてくれるかもしれません。
オクラの観察が終わったら、まな板の上で、塩を一つまみかけてコロコロと転がす「板ずり」にチャレンジしてみて下さいね。
② 紫キャベツをちぎってみよう
「ちぎる」というお手伝いは、子どもの指先の感覚を豊かにしてくれるお手伝いです。大きめにちぎっている様子が見られたら、「もっと小さくちぎって」と伝えるのではなく、「どこまで小さくできるかママと競争してみる?」など、やる気をぐっとアップさせる声掛けができたら素敵ですね。
4,5歳くらいのお子さんの手先の感覚は、軍手を1枚はめたときの感覚です。イメージしただけでも、「やりにくそうだな」と感じられるかもしれません。大きさにこだわらず、一生懸命な姿や、「こんな形にちぎれたよー!」という楽しそうな表情を大切にしてお手伝いの時間を楽しんでください。
③ レモン汁、重曹を加えて混ぜてみよう
レモン汁や重曹を加える前に「これ入れたら、どうなるかなあ?」「変わるのかなあ?」「レモンだからすっぱくなっちゃうのかなあ?」「どうなると思う?」など、ドキドキワクワクを引き出す声掛けをしてみてください。
レモン汁を加えると……、驚きの瞬間を迎えます。
色が変わるのは、紫キャベツに含まれる「アントシアニン」という色素が、麺に移り、アントシアニンとレモン汁(酸性)、重曹(アルカリ性)が反応し、それぞれ色が変わる仕組みです。幼児さんにとって、理由が分からなくても、「何かを入れたら色が変わった!」「魔法みたい!」「おもしろい!」そう思えることが大切です。「○○ちゃん、魔法使いになっちゃったんじゃない!?」そんな声かけもとっても素敵ですね。
④ 盛り付けは子どもの感性を大切に
盛り付けは、安心してお任せできるお手伝いです。「こうしてほしい」「こうしたほうがきれい」という大人の思いはちょっと忘れてみましょう。この子はどんなことを考えて、ここに人参を置いたのかしら。何をイメージして盛り付けているんだろう。そんな風に思いながら、お子さまの真剣な眼差しや、楽しんでいる笑顔を見ていると我が子がより愛おしく充実した親子の時間が過ごせるかもしれません。
行事食ができないときには
2023年の七夕は平日です。行事食を用意することが難しいかもしれませんね。特別準備をしなくても、スライスチーズやハムを星型にしてご飯にのせる、星形の麩を味噌汁に入れるなど、ちょっとしたことでもお子さんは喜んでくれるはずです。
そんな楽しい食卓で、園で作った七夕飾りの話をしたり、どんな願い事をかいたのかな?お母さんはね……」などとお話ができたら、十分立派な食育です。
七夕の行事食にも、また夏休みのお楽しみにも、ぜひ「魔法のカラフルそうめん」お試しいただけたら嬉しいです。
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この記事を書いたのは
出産後、薬剤師として医療に携わる中で、子どもたちの心身の不調が増えていることに気づく。また、自身の子どもの喘息・アトピー性皮膚炎など、子どもの健康に不安を感じることが増えた。興味関心の幅が広い幼児期に「食選力」を身につけ、自分の身体、そして将来、大事な人の身体も大切にできる大人になってほしい。その想いで、青空キッチン、食育イベントを大田区を中心に開催している。また、「食」から広がる世界は無限大であり、「食」を通し、子どもの探究心に火をつけ学ぶ意欲のある子どもを育てることに注力している。