「週刊ヤングジャンプ」で連載中の人気コミックを実写映画化した『キングダム』が4月19日(金)の公開を前に、映画や原作コミックファンがかなり色めき立っています。原作は中国春秋戦国時代を舞台にした壮大な歴史絵巻で、そのスケールの大きさから、実写化が困難とされてきたからです。でも、完成した映画は期待度のハードルを遥かに超えてきました!
天下の大将軍になるという大志を抱いた奴隷の少年・信と、中華統一を目指す若き王・嬴政(後の秦の始皇帝)の冒険譚をダイナミックに描く本作。主演の山崎賢人をはじめ、吉沢亮、長澤まさみ、橋本環奈、本郷奏多、高嶋政宏、満島真之介、要潤、大沢たかおという錚々たる顔ぶれの豪華キャストが集結し、「GANTZ」や「図書館戦争」の実写映画シリーズを手掛けた佐藤信介監督がメガホンをとりました。
映画は、注目の超絶アクションシーンだけではなく、人間ドラマのパートも実にエモーショナル。脚本にも関わった原作者の原泰久も「原作ファンの人も原作を知らない人も楽しめる、大興奮で大満足できる作品になっていると思います」とかなりテンション高し。ママやパパから子どもまで、どの世代の琴線をもふるわせる感動作となっているので、いち早く観ていただきたいです!
山崎賢人×吉沢亮の大熱演にママたちも前のめり!?
“困った時の山崎賢人”と言われるくらい、見るからに難しそうな人気コミックの実写映画で数多くの主演を務め、2次元のキャラクターに命を吹き込んできた山崎くん。『ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない 第一章』や『斉木楠雄のΨ難』も記憶に新しいところですが、こんなに難しいオーダーをこなせたのは、彼ならではです。その一方で、連ドラ「グッド・ドクター」で、自閉症スペクトラム障がいとサヴァン症候群を抱えたイノセントな青年役を演じ、改めてその演技力の高さが評判となりました。
今回彼が演じるのは、殺された親友の思いを受け継ぎ、王・嬴政を守って戦いながらも、自身も大きな夢を追いかけていく信役。山崎くんは製作発表で「原作の持っている熱さを胸に、死ぬ気で、そして自分の身を削る思いで撮影に挑みました」と、全身全霊で挑んだと言っていましたが、映像にもそのパッションがみなぎっています。
キレキレのアクションはもちろん、傷だらけになっても友のために、そして夢のために立ち上がる信を体現した山崎くんの闘魂に、涙腺を刺激されます。正直、いままでの山崎くんのベストワークなのでは?と思えるくらい、観る者の心を突き動かす熱演を魅せています。
そんな山崎くんの演技を受け、王・嬴政を演じた吉沢亮の士気も大いに上がったことでしょう。もともと見目麗しいマスクの吉沢くんですが、そこに凛としたオーラをまとい、王としての風格を体現しています。
信と嬴政の関係性をわかりやすく「西遊記」に置き換えると、悟空と三蔵法師のようなものですが、この悟空に守られるべき三蔵法師が高貴で魅力的でないと、悟空側の血気盛んなやんちゃキャラが引き立ちません。今回は、そこの相乗効果が秀逸です。信とは対照的に、沈着冷静かつ理路整然とした王ですが、信と同様に胸には熱い思いを秘めたキャラクターなので、ママたちも前のめりになって見てしまいそうです。
今の世相をも反映したメッセージ性に感動!
本作では、中国でも大掛かりなロケ撮影を敢行。広大なオープンセットや荒野の馬群など、どこを取っても驚嘆すべきスペクタクル映像が圧巻です。でも、その映像だけではなく、ドラマ自体が物語るメッセージ性も、大人だけではなく、新世代を担う子ども世代に響く内容となっています。
奴隷の身分の信ですが、どんな逆境に置かれても、夢を諦めずに、そして亡き友のために、自分を信じてアグレッシブに生きていきます。その屈強なスピリットは、後半では崇高ささえ帯びていきます。きっと親なら誰しもが思います。「こういう子たちに育ってほしい」と。
さらに、吉沢くん演じる王・嬴政は、動乱の世では珍しく、高い志を持ったリーダーで、器のでかさが違います。彼は幅広い視野を持ち、同民族で戦うことの愚かさを説いて、今でいうボーダレスで平和な国作りを目指していきます。さすがは後の秦の始皇帝となる男!
とにかく、他のキャラクターも含め、力強いメッセージをガツンと与えてくれる『キングダム』は、コミックの実写映画として、ハイレベルの仕上がりとなりました。GW中の映画としてもイチオシなので、パパも含め、ファミリー揃って出かけて、大きなスクリーンでその興奮を共有してみてください!
監督・脚本:佐藤信介 脚本:黒岩勉
原作・脚本:原泰久「キングダム」(集英社「週刊ヤングジャンプ」連載中)
出演:山崎賢人、吉沢亮、長澤まさみ、橋本環奈、本郷奏多、大沢たかお…ほか
公式HP:https://kingdom-the-movie.jp/
文/山崎伸子