「電気用図記号」を覚えて配線図を読み解く! 基本知識と主要な図記号をまとめて解説【親子でプチ科学】

子どもが工作などで回路を作るなら、電気用図記号を覚えておくと役に立ちます。回路図を素早く正確に書けるほか、部品の使い方や配線のやり方などのスキルも身につくでしょう。電気用図記号の基本知識と、主要な図記号を紹介します。

そもそも電気用図記号とは

電気用図記号とは、どのようなものを指しているのでしょうか。まずは電気用図記号の用途や規格について見ていきましょう。

回路図を簡易に示すもの

電気用図記号は、電気回路で使用する電球やスイッチ、電池などを記号化したものです。回路図を書くときに使うもので、「図記号」や「シンボル」とも呼ばれます。

図記号の一例

電気用図記号には統一規格があり、回路図を簡単に誰でも分かるように書けます。ただし日本では長い間、国際規格と異なる規格を使用しており、海外との貿易において問題がありました。

そこで1997年と1999年の2回に分け、国際規格と同じ規格を新たに制定しています。現在は新規格を使うことになっていますが、書く人や書かれた時期によっては、旧規格の図記号が使われている場合もあることを覚えておきましょう。

 

回路図で使う基本の電気用図記号

電気用図記号は専門的な機器まで含めると数が多く、全てを覚えるのは容易ではありません。まずはよく使われる基本の図記号をチェックしましょう。

配線の図記号

電気を運ぶ線(導体)が、どのようにつながっているのかを表す図記号です。複雑な回路になると、たくさんの導線が交差したり、接続したりします。

そのため回路図では、交差か接続なのかをはっきりと示さなくてはなりません。基本的には、導線が十字に交差する場合は何もつけず、接続する場合は黒丸をつけて示します。

T字型に接続する場合は、交差していないことが分かっているため黒丸は不要ですが、つける場合もあります。

電源の図記号

回路に電流や電圧を供給する「電源」を表す図記号です。電源には直流と交流があり、図記号もそれぞれ異なります。直流電源はプラスとマイナスがはっきりと分かるよう、長さに差をつけて書くのがポイントです。

なお家電製品の電源に記載されている「DC」や「AC」は、それぞれ直流と交流を表しています。DCは「Direct Current」、ACは「Alternating Current」の略です。

ランプの図記号

ランプを表すときは、円の内側にXを書いた記号が使われます。電気回路でのランプの役目は、通電状態を示すことです。回路内に電源を供給したときにランプが光れば、電気が切れ目なく流れていると分かります。

ランプにも豆電球やLEDなどの種類があるため、右下に「LED」などと表示する図記号もあります。

スイッチの図記号

スイッチは二つの接点をくっつけたり離したりして、回路の電流をコントロールする部品です。接点同士をくっつければ電気が流れ、離せば止まります。

平常時に二つの接点が離れているタイプを「メーク接点」、くっついているタイプを「ブレーク接点」といいます。スイッチの形状も、スライド式や押しボタン式などさまざまです。

基本的には上記の図記号で表しますが、専門的な回路図ではタイプ別・形状別の図記号も使われます。

電流計・電圧計の図記号

電流計と電圧計の図記号は、それぞれ円の中に「A」「V」の文字が入ります。「A」は1秒間に電気が流れる量を表す単位で、読み方は「アンペア」です。

「V」は電圧の単位で「ボルト」と読みます。電圧とは、「電気を押し出す力」のことです。電圧が高いほどたくさんの電気が押し出されるため、電流計の数値も大きくなります。

主な受動部品の電気用図記号も確認

受動部品とは、供給される電力の消費・蓄積・放出などを担う電子部品を指す言葉です。代表的な受動部品、抵抗器・インダクタ・コンデンサの電気用図記号を紹介します。なお受動部品については旧規格の図記号が使われることも多いため、両方掲載しています。

抵抗器の図記号

抵抗器とは電気をさまたげ、流れにくくする部品です。回路がスムーズに動くように、流れる電気の量を調整する役割があります。電気をさまたげる大きさを抵抗値といい、単位は「Ω(オーム)」です。

新規格の図記号はシンプルな長方形ですが、旧規格ではギザギザの形状が使われていました。現在もよく見かけるので、覚えておくとよいでしょう。

インダクタ(コイル)の図記号

インダクタは電気エネルギーを磁気エネルギーに換え、内部に蓄える部品です。導線をコイル状に巻いた形が特徴で、「コイル」とも呼ばれます。

インダクタの図記号は、巻かれている導線の形に見えるため、覚えやすいでしょう。ただし旧規格の図記号も、ループがあるだけで新規格のものと似ています。回路図を読み解く際はともかく、書くときには間違えないように注意しましょう。

コンデンサの図記号

コンデンサは電気を溜めておき、必要なときに放出する機能を持つ部品で、抵抗器やインダクタとともに回路には欠かせない受動部品の一つです。溜められる電気は電池に比べると少量で、電気を供給する時間も短い代わりに、繰り返し充放電ができます。

コンデンサの図記号は、同じ長さの線が平行になっています。書くときは直流電源と混同しないように、長さをそろえることを意識するとよいでしょう。

電気用図記号を覚えて回路図を書いてみよう

回路図作成に使用する電気用図記号と書き方のポイント、部品の特徴などを紹介しました。図記号を理解できれば回路図の意味がよく分かり、自分で書きたいという意欲もわくでしょう。

夏休み・冬休みなどに親子で電気用図記号を覚え、回路図を書いてみると個性的な自由研究になるかもしれません。

こちらの記事もおすすめ

「電気抵抗」って何? 単位から計算方法、電気抵抗器の働きまでを詳しく解説【親子で物理に親しむ】
電気抵抗って何?温度との関係も確認 電気抵抗は、電気の流れ方を決める要素の一つです。温度によって変化することも知られています。電気抵抗の意...

構成・文/HugKum編集部

編集部おすすめ

関連記事