電気抵抗って何?温度との関係も確認
電気抵抗は、電気の流れ方を決める要素の一つです。温度によって変化することも知られています。電気抵抗の意味と、温度との関係を見ていきましょう。
電気の流れにくさを表すもの
電気抵抗は「電気の流れにくさ」を表すものです。電気の流れ方は、電流・電圧・電気抵抗の組み合わせで決まります。電気が流れる様子は目に見えませんが、下図のように水の流れに例えると分かりやすくなります。
この場合、電流は水量・電圧は水圧(水を流そうとする力)・電気抵抗は水の流れを妨げる物体です。川にたくさんの岩があると水が流れにくくなるように、電気抵抗が大きな物質では電気が流れにくくなります。
電気抵抗の大きさは、物質によって異なります。金属は抵抗は小さいですが、その他の物質は抵抗が大きく電気をほとんど通しません。なお電気を通しやすい金属を「導体」、ゴム・皮などのように電気を通しにくい物質を「不導体」や「絶縁体」といいます。
また電子機器によく使われる「半導体」は、導体・不導体の間の性質を持ちます。
温度との関係
同じ物質でも、温度が変わると電気抵抗の大きさが変わります。一般的に、金属は温度が上がるほど抵抗が大きくなります。
金属が電気を通す理由は、「自由電子」を持つ物質だからです。金属の中では電子が自由に移動できるため、電気が流れやすいのです。
金属を構成する原子は規則的に配列され、その場で絶えず振動しています。振動が波のように原子間を伝わっていく運動を「格子振動」といい、温度が上がるほど振動が激しくなります。
格子運動が激しくなると自由電子の移動が阻害されるため、金属では温度が上がると電気抵抗が大きくなるのです。一方、電気を通さない不導体や半導体は、金属とは逆に温度が上がるほど電気抵抗が小さくなります。
金属別に見る電気の流れにくさ
金属にはさまざまな種類があり、中には導体としては使えないほど電気が流れにくいものもあります。電気の流れやすさを示す数値を電気伝導率といいますが、この数値が高いほど、導体に適した金属と考えてよいでしょう。
電気伝導率が最も高い金属は銀で、銅・金・アルミニウムが続きます。銅は銀と電気伝導率がほぼ変わらない上に、銀に比べるとずっと安価です。
そのため、電気ケーブルなどの材料としてよく利用されています。なお身近な金属の一つといえる鉄は、電気伝導率が低いため導体には適していません。
電気抵抗の計算方法
電気抵抗の大きさは、どのように計算するのでしょうか。電気抵抗の理解に役立つ法則や公式を紹介します。
公式を当てはめて計算しよう
電気抵抗の値を求める公式は「電圧÷電流」です。抵抗値の単位は「Ω(オーム)」といい、電圧は「V(ボルト)」、電流は「A(アンペア)」で表されます。
例えばある物体に8Vの電圧をかけて、4Aの電流が流れたとき、公式に当てはめるとその物体の抵抗値は「8V÷4A=2Ω」だと分かります。
この公式は、ドイツの物理学者ゲオルク・ジーモン・オームが発表した「オームの法則」を応用したものです。オームの法則は「物体を流れる電流の大きさは電圧に比例する」というもので、物体の抵抗値に電流量をかけると、必要な電圧の大きさが分かるとしています。
「電圧=抵抗値×電流」なので、抵抗値を求めたいときは、電圧を電流で割ればよいのです。
長さ・断面積が変わると抵抗値も変わる
物体の実際の抵抗値は、その物体のサイズによって変わります。同じ量の水を同じ高さから流す場合、水路の幅や深さ、長さによって流れやすさが違うのは当然です。
電気も同じで、「物体が長い」または「断面積が狭い(細い)」ほど抵抗値は小さく、電気は流れにくくなるのです。物体の抵抗値は、物体の長さに比例し、断面積に反比例すると覚えておくとよいでしょう。
重要な役割を持つ「電気抵抗器」
電気抵抗の仕組みは、「電気抵抗器」と呼ばれる機器に活用されています。電気抵抗器の特徴と、身近な利用例を見ていきましょう。
電流や電圧を調整する電子部品
電気抵抗器は電気抵抗を用いて、電流や電圧を調整するための電子部品です。主に電気抵抗の大きい(電気の流れにくい)導体で作られ、電流を防げて回路に適した量に調整したり、大きな電圧を複数に分けたりするなどの役割を持っています。
また電気抵抗器は、大きく抵抗値を変えられる「可変抵抗器」と、変えられない「固定抵抗器」に分けられます。可変抵抗器は、つまみを動かして抵抗体の長さを変える仕組みです。
身近な例をチェック
電気抵抗器は表に出ているわけではないため、分解して回路を取り出さない限り、存在に気付かないでしょう。そこで、身近な電気製品での抵抗器の使用例を紹介します。
最も分かりやすい例は、ラジオやステレオなど、オーディオ製品の音量調節つまみです。つまみには可変抵抗器が使われており、回す角度で音の大きさを調節します。
とはいえ、現代の家庭には音量調節つまみのあるオーディオ製品がないかもしれません。もし防災用ラジオなどがあれば、子どもと一緒につまみを動かしてみるとよいでしょう。
他の例としては、LED回路への電流制御が知られています。LEDは電流量過多になると壊れてしまうため、回路と電源との間に抵抗器をつなげて、電流量を制御しています。
目に見えない電気の世界を知ってみよう
電気抵抗の知識があれば、目に見えない電気の世界をより理解しやすくなるでしょう。身の回りの電気製品のどこに電気抵抗器が使われているのかを、考えてみるのも面白いかもしれません。
子どもと一緒に電気抵抗について学び、物理学への興味を後押ししてあげましょう。
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構成・文/HugKum編集部