サッカーマンガ『アオアシ』母子家庭にネグレクト…細かく背景が描かれた人物ドラマに注目!【子育て世代は号泣必至】

PR

『アオアシ』を知っていますか? サッカーマンガとしては珍しく、Jユースと呼ばれるJリーグのユース年代(高校生年代)を題材とし、既刊32巻で累計発行部数は1900万部を突破(2023年9月時点)。2022年にはTVアニメ化されるなど、話題を集め続けている作品です。
躍動感たっぷりなサッカーシーンの読みごたえは言わずもがなですが、実は深すぎる人物描写に定評がある作品なんです。各選手の家庭環境についてもしっかりと描写されていて、子育て世代には涙なしには読めない名場面も多数。この記事では、そうした面から『アオアシ』の魅力をご紹介していきます。

名場面も多数!『アオアシ』の魅力をご紹介

物語は、愛媛で暮らす中学3年生の主人公・青井葦人(あおいあしと・以下アシト)の元に、東京シティ・エスペリオンFCのユース監督・福田達也が現れることから動き出します。誰よりもサッカーを愛しているけれど気が短いアシトは、中学最後のサッカー部の大会で相手チームの挑発に激昂し、推薦入学のチャンスを逃してしまいます。そんなアシトの才能を福田は見出し、「入団試験を受けに来い」と声をかけるのでした。

意を決して上京したアシトは、周囲との実力の差に愕然とし、数多の壁にぶつかりながらも、チームメイトと切磋琢磨しながら成長していきます。

入団試験を突破しチームメイトとなった仲間との再会を喜ぶアシト。

アシトが上京する際に、母から贈られた手紙のシーンに号泣

母子家庭で育ったアシト。女手ひとつで育ててくれた母へ苦労をかけまいと、「母ちゃんに楽をさせたい」ためにプロ選手になりたいと繰り返し口にします。一方、母・紀子は上京するアシトを見送りに行かないなど一見ドライにも見えるのですが、実は深い愛情でアシトを見守っていました。息子が何を自分に話したいかはわかっていたけれど、「『母を楽にさせたい』と、直接言われるのはちょっと無理」と思ってしまう母の思い……親ならば共感してしまいますよね。アシトが上京する際に母から贈られた手紙は、子どもへの大きな愛に満ちていて号泣必至です。

「辛気臭いのは性に合わない」と、見送りにも来なかった母・紀子。しかしその内に秘められた本心が手紙で明かされる。読者もアシトと共に号泣してしまうこと間違いなし。(3巻より)

サッカーに打ち込む陰にある、それぞれの人物の背景にも注目

またアシトにシビアな言葉を浴びせる阿久津は、実は母からネグレクトを受け、サッカーが自分の唯一の生きる理由だと考えているキャラクター。さらにハーフのトリポネは幼い頃から人種差別を受けていたり、家庭を持つ40歳のベテラン選手・司馬はやるべきことをすべてやり切ったと感じて引退を考えていたりと、サッカーに打ち込む陰にあるそれぞれの人物の背景がとにかく細かく描写されていて、物語への没入感を高めます。

中学時代、対戦校の選手から心ない言葉を浴びせられたトリポネ。この頃の彼は、「仲間」という概念が理解できないでいた。(19巻より)

「人を育てること、成長させること」のヒントが詰まった作品

また「アオアシ」は実は、経営者、ビジネスリーダーの間でも「読むべきマンガ」としてたびたび話題に上がっている作品。「人を育てること、成長させること」にまつわるヒントが詰まっています。

監督の福田達也(中央)と、コーチの伊達望(右)。(6巻より)

福田は「思い通りに動く選手などいらない」と豪語し、常に「思考力」を重視します。無謀とも感じられる要求を選手に課すこともありますが、アシトが自分の中に生まれた思考を拙くも言葉にした際には、答えを教えてあげるのではなく「いいぞ、言語化できてる」と、思考が深まる過程を見守っていました。

福田が求めるのは、自分で思考できる選手。それゆえ彼が直接声を掛ける選手は、一筋縄ではいかない変わった人間が多くなる。(3巻より)

また伊達望は、一見強面な風貌ですが、誰よりも選手に寄り添うコーチ。Bチーム(2軍)からAチーム(1軍)に昇格したアシトが「望さんのおかげや」と繰り返し礼を伝えると「Aは甘くない」と冷静に釘を刺しつつも、最後には「自分の可能性を信じ、少しずつ足下を固めろ。お前ならできる」と激励します。そしてアシトはさらなる成長を誓うのでした。誰かを育成・マネジメントする立場にある大人世代には、声のかけ方や伝え方など、学ぶ部分が非常に多い作品だと思います。

かなり強面の望コーチだが、選手への思いは人一倍。鉄仮面が崩れた笑顔が覗く、レアなシーン。(12巻より)

魅力あふれる主要キャラクター

青井葦人(あおいあしと)

愛媛県出身。「全盛期ロナウドの生まれ変わり」を自称する自信家で短気なのが玉に瑕だが、サッカーへの愛情は人一倍。FW(フォワード)からDF(ディフェンダー)転向を命じられて反発するも、類まれな視野の広さを生かし、司令塔としての才能を花開かせていく

DF転向から悶々とした思いを抱え続けるも、次第に守備の楽しさに目覚めていくアシト。前向きな姿勢が彼の成長を促している。(16巻より)

大友栄作(おおともえいさく)

MF(ミッドフィルダー)。極度の緊張しいだが、いざ試合が始まると冷静沈着にチームをコントロール。コーチ陣から主将になれる器だと期待されている。普段はお調子者でムードメーカー。女の子にモテようと必死。

DF転向を命じられ「サイドバックは俺の居場所じゃない」と集中できずにいたアシトに気づき、守備に回った大友。仲間思いであることがよく伝わる。(7巻より)

橘総一朗(たちばなそういちろう)

FW。強豪の横山武蔵野ジュニアユースに所属していたが、自分が成長できていないと感じ、エスペリオンへの入団を志願。責任感が強く真面目な性格で、仲間のことを蔑まれた際は激昂した。

アシトのことをかつてのチームメイトに悪く言われ、憤って言い返す橘。(9巻より)

阿久津渚(あくつなぎさ)

DF。学年はアシトの1つ上。1年時から1軍レギュラーに入る実力の持ち主で、U-18日本代表にも選出。ストイックで気性が荒く、アシトにことごとく突っかかる。複雑な家庭環境で育ち、自分の生きる道はサッカーしかないと考えている。

育児放棄をした母が病気であると知り、悩みながらも帰省することを決めた阿久津。母親が唯一自分に買い与えてくれたものが、サッカーボールなのだという。(27巻より)

司馬明孝(しばあきたか)

エスペリオンのトップチーム所属。過去にワールドカップ出場経験もある、40歳のベテラン。引退を考えていたが、臆せずぶつかってくるアシトと出会い、考えを改めるようになる。

アシトと出会い刺激を受け、現役引退を延期した司馬。家族との時間を増やせなくなったことを詫びるが、夫が愛するサッカーを続けることを願っていた妻は涙を流す。ここにもひとつの感動的な家族の形がある。(30巻より)

『アオアシ』も無料でたっぷり読める!あなたの“好き”を見つける「小学館 漫祭!2023」開催中

小学館の電子コミックが約250作品・合計1000冊以上も無料で楽しめる期間限定キャンペーン「漫祭!2023」を電子コミック各ストアにて開催中。同キャンペーンでは小学館の人気作品・おすすめ作品を8つの特集に分けて紹介している。915日からは「読み応えたっぷり青年漫画」と題し、人気青年マンガを一部無料公開。『アオアシ』は928日までの間、第1~第13巻を試し読み無料!

「小学館 漫祭!2023」公式サイトは>>こちら

作品について詳しくはこちら!

著:小林有吾715円(税込)

愛媛に暮らす中学三年生・青井葦人(あおいアシト)。粗削りながら、強烈なサッカーの才能を秘めているアシトだったが、まっすぐすぎる性格が災いして、大きな挫折を経験することに―――そんなアシトの前に、東京にある強豪Jクラブ「東京シティ・エスペリオン」のユースチーム監督・福田達也(ふくだたつや)が現れる。将来、日本のサッカーに革命を起こすことになる少年の運命は、ここから急速に回り始める!!

編集協力/コミックナタリー 構成/HugKum編集部

編集部おすすめ

関連記事