目次
炭水化物って何?
まずは炭水化物の基本情報を説明します。
炭水化物とは?基本を知ろう
炭水化物とは、糖質と食物繊維をあわせた栄養素のことです。脂質、タンパク質と並ぶ3大栄養素です。
炭水化物が多く含まれている食べ物には、雑穀類、いも・でんぷん類、砂糖などの甘味料類・果物類があります。
炭水化物と糖質は混同されることがありますが、炭水化物は糖質と食物繊維をあわせた総称のこと。一方、糖質は炭水化物の種類のひとつです。
炭水化物の体内での旅
口から入ってきた炭水化物は、咽頭、食道、胃といった消化器官を通過する過程で消化酵素によって分解されていきます。
小腸でブドウ糖や果糖などに分解されると、小腸粘膜から吸収され、その後に肝臓に運ばれます。
肝臓に運ばれたブドウ糖はそのまま血液中に運ばれ、各組織に届き、それぞれの組織でエネルギー源となるのです。
炭水化物が私たちの体でどんな役割を果たしているの?
炭水化物が私たち人間の体でどのような役割を果たしているのか、くわしく解説していきましょう。
エネルギーを生み出す
炭水化物のおもな役割は、エネルギー源になることです。炭水化物が体の中でブドウ糖に分解されると、そのブドウ糖は体内の各組織にエネルギーを供給します。
炭水化物のひとつである糖質は、体内に入ると1gあたり約4kcalのエネルギーをつくり出します。
脳を活発にさせる
炭水化物は、脳の働きを活発にさせる役割もあります。これは、炭水化物が体の中でブドウ糖に分解されるためです。
なお、人間が 1回の食事で体内に蓄えられるブドウ糖の量は、約 12時間分といわれています。そのため食事をしてから12時間経過すると、脳がエネルギー不足を起こし、うまく頭がまわらないことがあるのです。
炭水化物の種類とその特徴
炭水化物には、いくつか種類があります。その種類と特徴を見ていきましょう。
単糖類、二糖類、多糖類って?
炭水化物は、体内に吸収されてエネルギー源になる「糖質」と、消化吸収されずエネルギーにならない「食物繊維」の大きく2つに分けられます。
糖質には「糖類(単糖類と二糖類)」「少糖類」「多糖類」「糖アルコール」「その他」があります。
「糖類」「少糖類」「多糖類」は、炭水化物を構成している単糖の数によって名前が変わります。単糖の数が1個のものを「単糖類」、2個のものを「二糖類」、2~10数個のものを「少糖類」、それ以上のものを「多糖類」と分類しているのです。それぞれの特徴は次の通りです。
単糖類:体の中でエネルギーになる糖質
少糖類:腸内の善玉菌を増やす効果がある。別名「オリゴ糖」
多糖類:ブドウ糖が多数結合したもの
良い炭水化物と悪い炭水化物がある?
炭水化物のなかには、良い炭水化物と悪い炭水化物があるとされています。
良い炭水化物とは、健康に良く、食べてもあまり太らないもの。悪い炭水化物とは、食べると太るものといわれています。良い炭水化物と太りやすい炭水化物、それぞれの食品は次のとおりです。
良い炭水化物:玄米、全粒粉、蕎麦、キヌア、オートミールなどの自然に近く、茶色いもの
太りやすい炭水化物:小麦粉、白米、うどんなどの精製されているもの
健康な体を作るための炭水化物の摂り方
健康な体作りのための炭水化物の摂り方と、炭水化物を摂るタイミングについて解説していきます。
バランスの良い食事とは?
バランスの良い食事というものの、どのように考えればよいか悩んでしまうものです。そういったときにおすすめなのが、厚生労働省および農林水産省より発表された「食事バランスガイド」です。これを活用すれば、栄養バランスが取りやすくなります。
食事バランスガイドでは「主食」「副菜」「主菜」「牛乳・乳製品」「果物」の5つの料理グループに分け、1日分の量が示されています。炭水化物は、おもに主食が該当します。これらに従って献立を作るとよいでしょう。
炭水化物をとるタイミング
炭水化物はエネルギーとなる重要な栄養素です。だからこそ、炭水化物をとるタイミングは大切です。おすすめのタイミングは、朝食時です。1日のはじまりに炭水化物を摂れば、活動のエネルギーとなります。
また食事で炭水化物をとる順番は、食事の最後にするのがおすすめです。最後にタンパク質を摂ることで、血糖値の上昇を抑えることができます。また先に野菜や肉、魚などを食べれば、炭水化物の食べ過ぎも防げるでしょう。
炭水化物とダイエットの真実
昨今流行っているダイエット方法のひとつに「炭水化物抜きダイエット」があります。手軽にできて魅力ですが、このダイエットには落とし穴があります。ここでは、炭水化物とダイエットの関係について解説していきましょう。
炭水化物抜きダイエットの落とし穴
炭水化物抜きダイエットには、以下の3つのリスクがあります。
●エネルギー不足になりやすい
炭水化物はエネルギー源です。そのため炭水化物抜きダイエットをスタートしてから数週間は、エネルギー不足になるリスクがあります。これはエネルギー源を「糖質」から「脂質(脂肪)」に移行する期間だからです。
エネルギー不足になると、疲れやすくなったり集中力が欠けたり、頭がぼうっとするなどの症状が出ることがあります。
●便秘になりやすい
炭水化物の一種に「食物繊維」があります。食物繊維には整腸作用や血糖値上昇の抑制、血液中のコレステロール濃度の低下などの効果があります。
そのため炭水化物を抜くと食物繊維の量が不足し、便秘になりやすくなることがあるため注意が必要です。
●筋肉量が減り、痩せにくい体質に変わる
炭水化物抜きダイエットによって、太りやすい体質に変わることもあります。炭水化物が不足すると、エネルギー源を「糖質」から「脂質(脂肪)」に変えます。このとき、カロリーが脂質だけで補えない場合は筋肉が分解されてしまいます。筋肉が分解されるということは、筋肉量が減ることです。
筋肉量が減ると痩せにくい体になってしまうため、炭水化物は適量摂るほうがダイエットには有効といえます。
健康的に体重を管理するには?
健康的に体重を管理するためには「バランスの良い食事」「適度な運動」「規則正しい生活」が不可欠です。
食事面では、まずは日頃の食生活を見直すことからはじめてみましょう。バランスの良い食事を摂っているか、間食を食べすぎていないか、甘いものや脂っこいものを食べすぎていないかなどを、今一度確認してみてください。
また身体活動量を増やすために、適度な運動を習慣化しましょう。たとえばウォーキングやスポーツ、筋トレ、ストレッチなどの運動を取り入れたり、散歩や掃除といった生活のなかでこまめに体を動かす機会を増やしたりするのも有効です。
規則正しい生活も、体重管理には欠かせません。早寝・早起き、湯船に浸かる、ストレスを発散するなどで体内リズムを整え、質の高い睡眠ができるよう心がけましょう。
炭水化物を味方につけて、エネルギッシュな毎日を
炭水化物をとると太りやすくなるというネガティブなイメージがありますが、実は人間が生きていく上で欠かせない、エネルギー源となる栄養素です。炭水化物を抜くことなくしっかり食べて、健康的でエネルギッシュな毎日を過ごしましょう。
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文・構成/HugKum編集部