いよいよ受験期に突入
―1月校は受験しましたか?
二人とも1月校は受験しませんでした。
―都立中高一貫校の試験日は、例年2月3日です。2月1日、2日の私立校は受験しましたか?
2月1日は、娘は私立のÐ校を受験。結果は×。息子はこの日はお休みでした。2日、息子は本人の第一志望校であるC校(MRACHの大学付属校)を受験しました。ちなみに、娘も同じくC校を受験しました。
―合格発表は当日でしたか?
当日(2日)の夜でした。息子も娘も×。息子は自信がありそうな感じだったのですが、結果としては×でした。子どもたちはもう寝ていたので、明日(3日)のB校(都立中高一貫校)の試験前に、この結果を伝えるかどうか、主人と悩みました。
―悩みどころですね。
実は、予めシミュレーションしていたんです。もしもC校が〇場合、「都立中高一貫校の試験はもういいや」と気が抜けてしまうかもしれないから、3日の試験後まで結果は伝えないようにしようと、決めていました。×なら×でショックだろうから、わざわざ試験前に伝えなくてもいいだろう…と。一応、そういうふうに決めていたのに関わらず、結局、主人が試験前に伝えちゃったんですよ。
―それはどういう経緯で伝えてしまったのでしょうか?
コロナ禍の影響で、受験生一人に親が一人付き添わなくてはいけなかったんです。私は娘に付き添いA校へ、主人が息子に付き添いB校に行きました。そのときに、息子に結果を聞かれたのか、話の流れでそうなったのか、「C校は残念だった」ということを伝えることになったそうです。
―B校受験に響いたと思われますか?
息子は、ちょっと打たれ弱いタイプというか、「ガラスの心臓」の持ち主タイプ。ショックだっただろうな…と心配していたら、案の定、試験後、息子が真っ青な表情で、うなだれて会場から出てきたと、主人から電話がありました。「難しかった。全く解けない問題もあった」と…。
ああ~、これはダメだったかも…と思いました。でも、主人はそのあたりがイマイチ分かっていなかったのか、それとも合格発表まで希望をつなぎたかったのか、「本人は、『受かったかも…』とも言っているよ」とも言っていて…。「でも、真っ青だったんでしょ⁉ うなだれていたんでしょ⁉」「それはそうだけど…」なんて会話を交わしました。
―お父さんは、あまり受験に積極的ではなかったのでしょうか?
主人は、子どもに期待はするけど、実際の世話は母親任せのタイプ。ショックを受けている息子に対して励ます言葉をかけるのは、難しかったと思います。もともと、中学受験に伴走して、子どもたちのモチベーションあげることも私の役目でしたから。実際、息子に対して「できたね!すごいね」「この偏差値なら、私立の難関校も合格できるんじゃない?」とあおったり、娘に注意したりするのも私でした。
―都立中高一貫校の発表は1週間ほど先ですね。4日以降の受験スケジュールも教えてください。
5日に、二人ともÐ校を受けました。Ð校は複数回受験日があるのですが、5日の試験の場合、合格者の枠はわずか10人です。それでも、二人ともチャレンジしました。
―結果はいかがでしたか?
息子は〇でした。娘のほうは、微妙な結果で…。希望していた進学クラスではなく、別のコースでのスライド合格をいただきました。
―本命のA校、B校の結果はどうでしたか?
娘はA校〇、本人の希望通り進学しました。一方、息子は、B校はやはり×で、Ð校に進学することにしました。
進学後も人生の選択は続く
本人の意思で入学当初とは方針転換
―お二人の中学進学後の様子を教えてください。
娘は憧れた学校に進学でき、ひとまず楽しく通っています。ただ、部活動に関して、小学生のときから頑張ってきた器械体操がないので、陸上部に所属することに。器械体操のほうはクラブチームに入って続けていますが、それがちょっと問題でして…。
―というと?
現状のルールですと、後期生(高校生)になったとき、個人として高校総体などの大会に出場することはできません。娘はそれが気になるようで、器械体操部のある高校を受験することも考え始めているようです。
―中高一貫校をやめて、高校受験にチャレンジする道を選ぶということでしょうか?
その場合、別の問題が…。都立高校受験には内申書が影響しますが、受験を経て生徒が集まっているA校では公立中学のように成績を取るのは難しいですから…。
―息子さんはどうですか?
息子は、Ð校に進学したものの、うまく馴染めなかったようで、学校を休みがちになりました。結局、Ð校から地元の公立中学へ転校しました。
―衝撃的な展開ですが、お子さんの気持ちや考えを尊重されているのですね。
正直、せっかく中学受験して、それぞれ進学もしたのに…と、親として受け止めきれない思いを抱えた時期もありましたが、仕方ありませんよね。息子の場合、「受験が不本意な結果に終わり、自分の希望していない学校に行かされた」という思いがあったのかもしれません。主人と息子でÐ校から転校するかどうか考えて、結論を出しました。
―「中学受験は通過点に過ぎない」とも言われますが、確かに進学した後も、人生は続くし、いろいろ自分の道を選択していかなければならないのですね。
本当にそうですね。息子も娘も、それぞれ自分の道を考えているのだと思います。
中学受験を振り返って
受験は自分ごとという意識がないと現実は厳しい
―中学受験をしてよかったと思いますか?
どっちもどっちかな…。息子は成績がよく、親はあまり心配はしていませんでした。でも、2校×になり、急遽Ð校を受けることに。Ð校は、もともと本人が行きたいと希望していた学校ではありませんでした。親としては、合格したのだからと進学させたのですが、本人は「行かせられた」という思いが強かったのでしょう。結局、不登校になりました。本人に、中学受験は自分のことだという意識がないと、その後、厳しいことになることもあると分かりました。
―娘さんのほうはどうでしょうか?
娘は中学受験を通して、基礎学力がついたと思います。娘とは親子げんかになったこともありましたが、娘は芯が強いので、多少泣かせるくらいの勢いでも大丈夫。けんかしながらも、どうにか勉強を続けてきたおかげで、合格できたのだと思います。今後、高校受験をするにせよ、A校の後期生になることを選択するにせよ、中学受験を通して学力アップにつながったのはメリットでした。
―お子さんたちにメッセージと伝えるとしたら。
「よくがんばったね」と伝えたいです。二人とも、中学受験を頑張ったことは、間違いない事実です。それぞれ、自分なりにストレスに打ち勝ったことを誇りに思います。この経験を大事にして、これからも歩んでいってほしいと願っています。
―ありがとうございました。
双子ちゃんの中学受験と人生の選択のお話、いかがでしたか。子ども一人ひとりに寄り添い、それぞれの思いをしっかり受け止めてきたWさんの姿や言葉は、中学受験真っ最中の親御さんにとって参考になるところが多いはず。
今年度も、受験期に突入しています。がんばれ、受験生! がんばれ、お父さんお母さん! 春の訪れはもう少しです。
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取材・文/ひだいますみ