新茶とは?
新茶には、通常のお茶にはない特徴があります。新茶の意味や収穫時期、希少なお茶として知られる「出物(でもの)」を紹介します。
その年の最初に摘み取りつくったお茶
新茶は、その年の最初に、茶の木から摘んだ新芽を原料にした茶葉です。「一番茶」にも同じ意味があります。摘み取られた新芽は、しばらくすると再び生えてくるので、年に数回の収穫が可能です。2回目に収穫したものは二番茶、その次は三番茶のように呼ばれています。
日本では昔から、その季節に初めて収穫された農作物や魚介類などを「初物(はつもの)」と呼んで、大切にしてきました。新茶はお茶の初物として人々に愛されており、飲めば1年を健康に過ごせる縁起のよい飲み物とされています。
新茶の収穫時期
新茶の収穫時期は、地域によって異なります。鹿児島では4月10日ごろ、静岡・京都・三重などは4月下旬ごろ、奈良・滋賀などは5月上旬ごろです。
茶の木は冬の寒さを乗り越え、春になり暖かくなると芽吹きます。地域によって気候が違うため、成長の仕方は一律ではありません。
茶の木の生育状況を見極め、その年初めて新芽を摘むのに適した時期に摘み取るので、茶農家によっても収穫時期が異なります。
また、唱歌「茶摘み」で知られる「八十八夜」は、立春(2月3日ごろ)を起算日として88日目のことです。昔から、茶摘みの目安となる時期として知られてきました。
新茶の出物
新茶には、「出物(でもの)」と呼ばれる希少品が存在します。新茶が出回る時期の中盤以降に登場し、個性豊かでうまみが凝縮された味が特徴です。
新茶を加工するときは茶葉の大きさをそろえて、味や香りが一定になるようにしています。その際により分けられた、茎や芽などを使ったお茶が出物です。
部位や大きさによって「芽茶」「茎茶」「粉茶」に分けられ、それぞれ違った味わいを楽しめます。ただし数が少ないため、見かける機会はあまりないかもしれません。
新茶とその他のお茶との違い
その年の最初に収穫された新茶は、通常のお茶とは味や香りが異なります。どのように違うのか、二番茶以降の特徴についても見ていきましょう。
新茶の特徴
お茶の味わいは、原料となる茶の葉を摘んだ時期によって変化し、新茶は甘みが強く渋みが少ないとされます。新茶には通常のお茶に比べて、甘みやうまみの成分となるアミノ酸の一種「テアニン」が多く含まれているからです。
茶の木がたくさん日光を浴び成熟が進んでいくと、渋みのもとになるポリフェノールの「カテキン」が増えるため、二番茶以降は甘みやうまみが減り、あっさりとした味わいを楽しめます。
爽やかで清々しい香りも、新茶の大きな特徴です。新茶を手に入れたら、二番茶以降のお茶との味わいを比較してみましょう。
二番茶以降の特徴
二番茶は新茶に比べると品質が劣るとされ、値段も安くなる傾向です。地域によっても異なりますが、二番茶は6月上旬ごろ、三番茶は8月上旬ごろに採取されます。あっさりとした味わいの二番茶以降は、普段使いのお茶として楽しむとよいでしょう。
他にも、秋冬番茶(しゅうとうばんちゃ)と呼ばれる種類があります。秋冬番茶は三番茶を摘み取らず、秋になってから摘み取って加工したお茶のことです。
また、鹿児島などの温暖な地域にある産地では、新茶を含め年に5回程度収穫する場合もあります。
新茶の入れ方
お茶は入れ方次第で味わいが大きく変化します。お茶の基本の入れ方と、新茶をおいしく入れるポイントをチェックしましょう。
基本的なお茶の入れ方
まずは基本的なお茶の入れ方を紹介します。
1.ティースプーン2杯程度の茶葉(1人分)を急須に入れる
2.湯呑にいったんお湯を注ぎ、70~80度まで冷ました状態にして急須に移す
3.40~60秒程度放置したら、2~3回急須を回して茶葉を開かせる
4.湯呑に注ぐ
沸騰直後のお湯ではなく、低温のお湯を使用してお茶の味わいをじっくりと引き出します。使用するお湯の量は、湯呑の8分目程度までが目安です。
急須を回しすぎると、うまみだけでなく苦み成分も多く抽出される点に注意しましょう。
新茶をおいしく入れるポイント
新茶の清々しい香りを楽しみたいときは、急須にお湯を注いでから放置する時間を30秒程度にするのがおすすめです。茶葉の量を基準よりも少々多めにして入れると、濃い味わいになります。
お湯の温度が低すぎると十分な香りを感じられませんが、高すぎても渋みや苦みが多い仕上がりになります。70度程度のお湯でゆっくりと抽出し、新茶の香りを楽しみましょう。
また、お茶特有の渋みが好きな人は、あえて90度程度のお湯を使用しても構いません。好みや気分で温度を変えてみましょう。
縁起ものである新茶を楽しもう
新茶は初物として知られ、古くから縁起を担ぐ人々の間で親しまれてきました。通常のお茶と比べ、清々しい香りや甘みが特徴です。
その年の最初に収穫された新茶は、他のお茶よりも価値が高いとされています。地域によって収穫時期が異なるので、早く新茶を飲みたい場合は、鹿児島などの温暖な産地のものを選ぶとよいでしょう。
ややぬるめのお湯で抽出すると、新茶特有の味わいが堪能できます。入れ方にもこだわって、新茶の味や香りを楽しみましょう。
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構成・文/HugKum編集部